トップライター眞鍋 知子さん飯綱町の価値交換型ワーケーションに密着! 冬の飯綱町で癒しの時間を過ごすプログラム

飯綱町の価値交換型ワーケーションに密着! 冬の飯綱町で癒しの時間を過ごすプログラム

コロナ禍をきっかけに、飯綱町は移住や多拠点居住などを考える人たちからの注目度が高くなっています。都心からの利便性がよいだけでなく、周辺市街地までの距離が近いために暮らしやすく、自然が豊かで農村の雰囲気がほどよく残ったほのぼのとした景観が美しい……。飯綱町が選ばれる理由は、こうした交通アクセスと環境のよさにあるといわれています。そして最近では、町内にまざまなタイプのコワーキングスペースが複数個所あることもポイントになっているようです(https://iizuna.jp/docs/5433.html)。ふだんは、町内外の在宅勤務の方やフリーランスの方はもちろん、子どものいる主婦の方、地元の中学生や高校生などが仕事や勉強で利用しています。テレワークやオンラインの普及により多様な働き方が選べる時代となり、これらの点がワーケーション(ワーク:仕事とバケーション:休暇を組み合わせた造語)にぴったりだとして訪れてくださるケースも増えてきました。

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飯綱町では、ワーケーションを通じて町のことを知ってもらい、さらにはファンになってもらおうと、これまで2回のワーケーション企画を実施しています。第1回目は、せっかく田舎まで足を運んでもらうのであれば、その土地の方や移住して暮らしている方との交流を楽しんでもらいたい、というコンセプトで「地域とつながる2日間」を実施しました(https://iizuna.jp/docs/4523.html)。2回目は、「“くらし”に新たな選択肢を! 親子ワーケーション」と題し、ワーク(仕事)、エデュケーション(子どもの教育)、バケーション(親子の休暇)のすべてを楽しむ過ごし方を体感していただけるプログラムを企画しました。そして第3回目となる今回のコンセプトは「持ち寄る・繋がる・混ざりあう」。どんなワーケーションだったのか、企画した(株)カンマッセいいづなの吉川剛史さんにうかがいました。

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2020年に実施した「地域とつながる2日間」のようす

「過去2回企画してみて、飯綱町に合っているのは、ワーケーション参加者・地域の方それぞれがサービスを提供しあい交流する、“価値交換型”ではないかと感じました。飯綱町に暮らす『人』と関係性を深めてもらい、そこから新しい『仕事』という価値が生まれることを目指したい。迎える側・訪れる側の双方にとってよいことがなければ、せっかくできた関係性が続かないと思ったんです」と吉川さん。3回目となる今回は、年間を通して3つのプランで構成しました。1つ目は地元企業とのコラボ、2つ目は地元イベントへの共同参加、そして3つ目は、参加者の「休息」をテーマとしたプラン。飯綱町の冬の魅力を体験してもらうため2月に実施しました。たしかに冬の飯綱町は雪がしんしんと降り積もり、農繁期と違って人々の活動は控えめになります。休息のために訪れる地域にはぴったりかもしれません。
「先が読めない時代に仕事を継続していくためには、休息や自己と対話する時間が必要なのではないかと考えていたんです。非日常な場に自分自身を置いてリラックスしてもらうのであれば、町中が雪に覆われる冬がぴったりだと思ったんです」(吉川さん)

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休息というと、眠るなどして体を休めることをイメージしますが、ひと口に休息と言っても、休息には次の7つのタイプがあるそうです。身体だけでなく、心を休ませることも大切なんですね。 
(参考:https://www.youtube.com/watch?v=ZGNN4EPJzGk
私たちが疲れている本当の理由とその対処法|サンドラ・ダルトン=スミス)
①メンタルの休息:脳を休ませる。
例)仕事と違うことをしてリフレッシュする
②感覚の休息:外部からの刺激を減らし、感覚を休ませる時間をもつ。
例)寝る前にはスマホを見ない、照明の明るさを少し落としてみる
③クリエイティブな休息:新しいアイデアを出し続けるのを一旦やめ、創造性を育むようなことをする。
例)自然の美しさに感動する、芸術を楽しむ
④感情の休息:気持ちを抑えこまずにすむよう感情を処理し、本当の自分でいられるようにする。
例)親しい人に話を聞いてもらう、映画を見て思い切り泣く
⑤社会からの休息:人付き合いに疲れたら、1人になる時間をもつ。
例)一人きりの時間をとる、美容院やカウンセリングに行く
⑥魂の休息:身体的、メンタル的なものを超えた何かとつながりをもつ。例)家の前を掃除する、瞑想をする
⑦身体の休息:睡眠をとって体を休めるか、休憩してリラックスする。
例)散歩する、湯船につかる、マッサージをする

「休息」のワーケーションとはいったいどんなものなのか、2月に実施された企画に同行しました。
行程は2泊3日で、スケジュールにはあえて自由に過ごせる時間も用意してあります。仕事をするのもよし、アクティビティを楽しむもよしと、あまりスケジュールに縛られることがないよう構成したそうです。参加者は、東京で働く女性5人と男性1人の計6人。年代は20歳台から50歳台まで、お子さんがいる方や自営業の方、会社員の方などさまざまですが、普段はバリバリとお仕事で活躍している方ばかりです。今回のイベントは、「日常から解放して癒されたい」という気持ちで来たと、皆さん口々におっしゃっていました。

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2月10日(金)
1日目は、各自で飯綱東高原にあるグランピング施設「グランルーク」にチェックイン。この日の天気はあいにくの大雪でしたが、参加者にとっては雪もまためずらしく、静かに降り積もる雪を見ているだけでもよいと、感動しきりでした。いつもと違う風景に感動してリフレッシュするのは、メンタルの休息やクリエイティブの休息になるそうです。その後、参加者同士の自己紹介と企画のオリエンテーションが行われました。夜は、グランルークのちょっと贅沢で落ち着いた雰囲気のなかで、参加者同士が食事をしたりお酒を飲んだりして、懇親を深める時間となりました。

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2月11日(土)
2日目は、午前中はフリータイムで冬の飯綱町を楽しんでいただきました。タイミングよく解禁となったワカサギ釣りを霊仙寺湖で楽しむ人、いいづなリゾートスキー場でスキーをする人、のんびりグランルークで過ごす人など、思い思いの時間を過ごしました。そして宿泊は、グランルークから袖之山地区に移動し、古民家カフェ&ファームステイ「のらのら」さんへ。どっしりとした梁が重厚な田舎の古民家で過ごす時間は、また格別な趣があります。1日目は、初めましてのメンバーで心なしか緊張の表情も見えましたが、2日目になって、皆さんがのんびりゆったりとほぐれた表情になっていました。

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 のらのらさんの大広間で催されたのが、2019年に埼玉県からファミリーで移住して活動している大平香織さんによる「感情の休息プログラム」。年齢・性別・国籍問わず、人が誰しも持っているニーズを言語化したニーズカードと呼ばれるカードを使ったワークを体験。最近あった心がモヤモヤした出来事を思い出し、その感情の奥にある、自分が本当に大事にしたいこと(ニーズ)を周りのサポートで見つけていくものです。誰もが社会で生きていくうえでさまざまなストレスにさらされていますが、飯綱町で過ごす時間によって、そうした要因を解き放ってもらえたらうれしいですね。頭と心が整理できると、モヤモヤが晴れてスッキリとした気持ちに。

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大広間にカードを広げ自分の感情を言語化していきます

参加者の皆さん全員と感情を共有し、すっかり打ち解けたところで、おまちかねの夕食です。のらのらさんの滋味あふれるお料理の数々に、心もお腹も満たされていきます。炎が揺らぐ薪ストーブが部屋をあたため、食事が終わっても懇親会は続きました。初めて会ったメンバーにもかかわらず、そこにはとてもあたたかで安心できる場ができあがっていました。

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地元の食材を使った美味しいお料理がずらり

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2月12日(日)
3日目は、朝食を済ませたら、各々がヨガをしたり近所を散歩したり温泉に行ったりと、ゆったり贅沢な朝の時間を過ごしました。その後は彫刻家・古川葉子さんによる「クリエイティブの休息プログラム」です。古川さんは、2020年に飯綱町へ移住し「山のめ組」の屋号で活動しています
(https://iizuna.jp/docs/8405.html)。この日は、飯綱町の特産品であるリンゴの木の枝を使って、木彫りのスプーンづくりを指導してくださいました。リンゴの枝は、どれ一つとして同じ形がなく、小学生ぶりに使う彫刻刀や小刀に緊張しながら、皆が一心不乱に木を削るという行為に没頭。想像力を働かせながら手を動かす作業は、仕事とは違う脳みそを使っているのがとてもよくわかります。ついつい時間が経つのも忘れ、お昼の時間にずれ込んでしまうほど!

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彫刻家の古川葉子さん

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黙々と木を削る作業に没頭するうちに彫刻刀の扱いも上達していきました

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気がつけば、皆さんが生き生きとした表情になっていったのが印象的でした

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そして最終日のランチは、倉井地区にある古民家をおしゃれに改装した「Café 傳之丞(でんのじょう)」へ。キッシュプレートのランチをいただきながらワーケーションツアーの振り返りを行いました。
「小さなストレスが積み重なって、自分の時間がほしい、空気を感じたいと思っていました。飯綱町は空気が気持ちがいいです」「こちらに来てからよく眠れました。顔の見える人が作った美味しいものを食べて、充実しています」「一緒の場で同じことをして過ごしてきたおかげで、初めて会ったとは思えないほどの関係性ができました」など、参加者の皆さんからは、充実した感想をうかがうことができました。旅行すると、ついつい余すことなく楽しまなければ! といつも以上に活動してしまいがちですが、リトリート企画では、さまざまな形の休息を楽しんでリフレッシュされたようです。

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せっかく町を訪れてくださった方がいるのであれば、通りすがるだけでなく、かかわりを持ってもらえたらいい。単に仕事をする設備があるから、宿泊施設があるからではなく、訪れた方にも地域の方にも価値がある、そんなワーケーションの場に飯綱町を選んでもらえたらうれしいですね。

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