トップマガジン記事飯綱町のりんごをつくって、食べて、楽しんで。『りんご学校』で人々を町のトリコに

飯綱町のりんごをつくって、食べて、楽しんで。『りんご学校』で人々を町のトリコに

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長野県内でも有数のりんごの産地として名高い飯綱町。最盛期に突入し、町内の農産物直売所には、さまざまな品種のりんごが並びはじめました。そして何と言っても「飯綱町のりんごを楽しむ秋の93日 前半の部・英国りんごフェア」がスタート(~10月22日(日)/23日(月)~後半の部・りんごスイーツフェア)。ここから12月までは、りんごの町・飯綱の本領発揮!といったところです。
そんな飯綱町には、りんごの栽培が体験できる農業塾『信州いいづなりんご学校』があります。2017年にスタートしたりんご学校は、これまでに延べ780人の受講生を輩出。今年は、りんごの栽培だけでなく、飯綱町の農業全般が体験でき、古き良き田舎の魅力が存分に体験できる講座『オープンキャンパス』を新たに開講し、好評を博しました。今回は、開校初期からりんご学校の運営を担っている地域おこし協力隊の佐藤宏一さんと飯森則裕さんに話を聞き、その魅力に迫りました。

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りんご学校の事務局を務める佐藤さん。元受講生でもあります

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同じくりんご学校の事務局を務める飯森さん

りんご学校は、首都圏にお住まいの方々に飯綱町のリンゴ、ひいては飯綱町について知ってもらおうと東京都内で講座を開いたのがはじまりだそうです。りんごの栽培が体験できる現在のかたちが生まれたのは、この講座を受けてくださった方向けに町でモニターツアーを開催したのがきっかけ。日中は圃場で作業をして、夜は講座と受講生同士が交流を深める場を設けたり、コロナ禍で緊急事態宣言が発出された際には講座の動画を配信したりなど紆余曲折を経て、「やっぱり圃場に出て作業がしたい」という受講生の声や、1年間だけでなく継続して毎年参加してくださる方のニーズに応えようと、中級編・上級編といったコースを設けたかたちに落ち着きました。

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りんご学校の最大の特徴は、1年を通してりんごの栽培が体験できることです。摘果や葉摘など、収穫までに必要なさまざまな作業を体験することができ、酸いも甘いも経験した上で、収穫できる喜びを噛みしめることができます。今年度、中級編では、りんご学校事務局が決めたスケジュールで年3回(摘果・葉摘・収穫)、共同で作業をしてりんご栽培の1年を学びました。上級編では、中級編を修了した方向けにプログラムを構成。一人ひとりがりんごの木1本を担当し、同じように年5回(摘果・仕上摘果・葉摘・収穫・剪定)作業しました。そして上級編を修了した方向けのOB編では、りんごの木1本を担当するだけでなく、作業スケジュールも受講生自身で立てて、りんごの栽培に取り組みました。受講生は、それぞれの都合や栽培技術のレベルに合わせてコースを選び、りんごの栽培を存分に楽しんでいるようです。

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今年で7年目を迎えたりんご学校ですが、1年目に受講した方のなんと12.2%が現在も継続して飯綱町に通い、りんごの栽培を続けているそうです。しかもこの傾向は毎年変わらず、りんご学校を初めて受講した方のうちおよそ10%前後がその後も継続して通ってくださっているのだとか。りんご学校が『飯綱町ファン』を着実に増やしていると言っても過言ではなさそうです。
そして今年は、りんご学校を受講すること自体のハードルを下げ、より広くそしてより多くの人に飯綱町を知ってもらおうという開講当初の目的に立ち返り、『オープンキャンパス』を開講。5月・8月・10月の計3回、それぞれ単発の講座として実施しました。5月は、りんご(ふじ)の摘果と田植え。お昼には箱膳を体験しました。8月は、高坂りんごの収穫とトウモロコシの収穫、飯綱東高原でのバーベキュー。10月は、稲刈りとりんご(シナノスイート)の収穫といった内容で、それぞれの時季ならではの農作業やアウトドアアクティビティが楽しめる講座でした。
今年1月に飯綱町に移住した私も夫と娘とともに、3回とも参加しました。私は、りんごの町に移住してきたといえど、りんごの木を圃場の中まで入って間近で見たり、触ったりしたことがなかったので、摘果、収穫体験はとてもおもしろく、貴重な経験になりました。しかも収穫体験をしたのが、飯綱町の天然記念物に指定されていて、町内でしか栽培されていない『高坂りんご』だったので、「これがあの高坂りんごか!」と妙にワクワクしつつ、手のひらにのるほどの小さな実を「かわいい…!」と思わず愛でてしまいました。また、泥だらけになりながらの田植えや鎌での稲刈りは考えてみると初めてで、「お米ってこうやってできるんだな」とあらためて感心しました。そして、トウモロコシの収穫をする娘の姿は、まさにトトロのメイちゃんで、大きなトウモロコシを手にニヤーっと笑う娘を前に「一緒に体験できてよかった~」とつくづく思いました。一つひとつの体験自体は、もしかすると首都圏でもできるかもしれません。しかし、飯綱町の古き良き田舎の里山の、自然がこれでもかと溢れる中での体験は、それぞれの体験を一層感慨深いものにしてくれる気がしました。

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泥だらけになったのなんていつ以来!?なんて言いながら楽しく田植え(5月)

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はしごも使って高坂りんごを収穫(8月)

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気分はトトロのメイちゃん(8月)

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横手からの雄大な景色をのぞみながらの稲刈り(10月)

「ちょっと体験ではなく、畑でしっかり体を動かして1年かけて自分が育てたりんごが、ちゃんと成果物として手に入るのは、うれしいですよね」とかつて受講生でもあった佐藤さんはその魅力を話します。飯森さんは「1年で終わりということではないので、長く続けてもらえますし、聞くところによると、飯綱のりんごがきっかけで受講生同士がつながり、りんご学校の場だけでなく、首都圏に帰ってからもつながっているそうなので、まさに『りんごでつながる農業塾』だなと思っています」と話してくれました。
これからも、首都圏だけでなく、飯綱町のりんご、飯綱町を知らないすべての人に町の『ファン』になってもらうべく、りんご学校が末永く続いていくことを願います。

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