トップいいいいいいづなマガジンThe Road to Apples 〜美味しいりんごができるまで〜 夏秋・葉摘み編

The Road to Apples 〜美味しいりんごができるまで〜 夏秋・葉摘み編

突然ですが、ここで皆様へ質問です。
りんご、と聞いて皆さんが思い浮かべるのは、何色でしょうか?

ふじの赤色?
シナノゴールドの黄色?
それとも最近国内でも人気のグラニースミスの緑色でしょうか。
甘いりんごが好き、酸っぱいほうが好きという好みがありますから、きっと思い浮かべる色はさまざまだと思います。

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【濃い赤が特徴の「陽光」】

今回は、とくに赤いりんごが好きな人にとって、興味深いお話となるかもしれません。りんご作業工程の「葉摘み」という作業について紹介したいと思います。

お盆を過ぎると、飯綱町は朝晩ぐっと涼しくなります。田んぼの稲は日ごとに黄色くなり、空の青色とのコントラストが一層きれいな時期に入っていきます。同じ時期、りんご畑は収穫を前に、最終作業の「葉摘み」がはじまります。

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【初秋にかけて稲刈りも真っ盛りの飯綱町】

作業工程表はこちら。

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「葉摘み」とは書いて字のごとく、葉っぱを摘む作業。「葉っぱ?何のために摘むの?」と疑問に思った方もいらっしゃるのではないでしょうか。これは、特に赤いりんごの色付きに大切な日光が関係しています。

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【りんごの周囲にある葉を摘むときは慎重に。葉を強く引くとりんごが落ちてしまうことも】

日光(紫外線)にあたる時間が長いと、りんごの中のアントシアニンという色素が増え、赤い色がつくようになります。葉摘みをすることで、葉に覆われた位置にあるりんごや、木の下の方になっているりんごまで、一つひとつに日光があたるようにします。摘果の段階では緑色だったフジも、日光にあたることでしっかり赤く色が入ります。

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【8月末、摘果後の「フジ」】

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【10月末、葉摘みを終えた頃の「フジ」】

全種のりんごに葉摘みという工程が必要かというと、そうでもないのです。
品種によって必要な光の量が異なり、紅玉や秋映といったりんごは少しの葉摘みでも色が入ります。黄色、緑色のりんごの場合、葉摘みはあまり行われません。また、色のつき方は土壌状態や外気温によっても異なってくるため、葉摘みをしても色が入らない、ということもあります。

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【シナノゴールドや王林は葉摘みをせず、摘果のあとは収穫まで待つのみ】

また、近年は紫外線が強いため、りんごの日焼けに悩まされるケースも少なくありません。これはりんごの表面が部分的あるいは全体的にかば色(赤みのある橙色)になってしまうことを指します。日焼けした部分からは水分が蒸発してしまっているということ。こうなると食感が楽しめないため、ほとんどがジュースやジャム等の加工品用にまわされます。

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【全体的な日焼け】

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【部分的な日焼けであっても、腐食の原因にもなるため、出荷しません】

そのため、日当たりのいい場所にあるりんごは葉摘みを軽めに。日当たりのわるい木の内部や下の方は、多めに葉を落とします。りんごの位置と日光が差してくる方向を考えながら作業をしていくことが重要になってきます。

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【葉摘み前】
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【葉摘み後】

葉摘みを開始するのは8月末頃。早生(わせ)種の葉摘みから始まり、中生(ちゅうせい)種から晩生(ばんせい)種と、収穫の早い品種から葉摘みを行います。同時に、9月頃からは早生種の収穫・出荷が始まります。葉摘み、出荷、収穫すべてを行う9月~11月、りんご農家はとても忙しくなります。

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【晩生種ふじの葉摘みが終わる頃は、葉が黄色くなり、すっかり秋の装いに】

飯綱町では、早生種では代表的な「つがる」はもちろん、新しい品種「シナノリップ」も人気が高まってきています。中生種は定番の「シナノスイート」や「秋映」。晩生種は、蜜のたっぷり入った「ふじ」が人気です。これらはすべて、赤色のりんごたちです。葉摘み工程を経て、たっぷり太陽を浴びて大切に育てられています。

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【平成30年に品種登録されたばかりのニューフェイス「シナノリップ」】

秋模様の飯綱町から、次回はついに、収穫&出荷準備編をお届けします!

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