2020年の飯綱町は、リンゴの売り方にちょっとした変化が生まれています。今夏にスタートした飯綱町の公式オンラインストア(通販サイト)「みつどんマルシェhttps://mitsudon-marche.jp/」が、全国のりんごファンに大きな話題を振りまいているのです!
みつどんマルシェの運営は、まちづくり会社「株式会社カンマッセいいづな」が手がけており、担当者の吉川剛史さんを中心としたスタッフが運営しています。飯綱町をリンゴの産地として印象付けるため、ほかにはない見せ方ができないかと、戦略を練ってきました。
そこで目をつけたのが、飯綱町には、明治時代まで栽培されていたという和林檎(りんご)や英国原産のリンゴなど、国内でも珍しい品種があるということでした。吉川さんは「りんご並木」で知られる飯田市出身。首都圏から飯綱町に転職したその秋、「直売所でリンゴの品種の多さに驚いた」そうです。多くの品種を栽培している点で日本一なのだから「オンラインストアをやるならそこを“尖らせたい”」と考えました。
調べてみると、栽培品種はどうやら、町内に50種類以上あるようです。実際に、全国屈指の多品種栽培地らしい…。そこで、ふじやシナノスイートのように一般的な赤いリンゴだけではなく、青い英国原産リンゴや黄色いきおうなどを詰め合わせ、何回かに分けて送る「食べ比べ定期便」を看板商品にしようと決めました。
詰め合わせセットには、普段スーパーにも売っていないような希少なリンゴもあり、見た目もカラフルでインスタ映えする箱詰めになりました。8月に販売をスタートすると、全国のファンから注文が相次いだそうです。
リンゴ30品種を定期便で5ヵ月かけて届けるセットは、開始後にすぐに売り切れました。県外のお客さんは、多品種のリンゴを当然のように栽培している飯綱町の豊かさに驚いていたということです。売上は8月が50万円、9月は70万円突破と、順調に伸びています。
全国的な反響がウェブニュースで紹介されたことも大きく、“おらほの町”の新しい動きを全国ニュースで知る人もいたほどでした。
また、サイト内では生産農家の顔が見えるように、写真や栽培方法のこだわりを併せて紹介しています。新しい試みだけに、若手の農家の参加が目立ちます。
なかでも、山下フルーツ農園は、栽培品種40種類を誇っています。農園代表の山下絵里さんは「みつどんマルシェを通して、町が盛り上がればうれしい。町の魅力の一つに育ってほしいと思っています」と笑顔で話します。
また、60代夫妻も奮闘中です。ファームたんぽぽの上野豊さんは「来年、栽培面積と品種を増やす計画です」とリンゴ栽培に意欲的です。
妻のれい子さんは「今までも畑からお客さんに直接売るなど、顔が見える販売をしてきました。オンラインでも、恥ずかしがらずに顔を出しています!」と、生産者としての誇りを語ってくれました。
みつどんマルシェではほかにも、農家を特定しないリンゴ1品種の商品など、品ぞろえも豊富です。
りんごジュースや加工品に加え、今後は、インテリアとしても使える収穫用の木箱なども売りたいという構想もあります。吉川さんは「50種類のリンゴがある飯綱町、と覚えてもらいたいです」といいづなリンゴの知名度アップに期待を込めています。