今や全国区で活躍している飯綱町のPRキャラクター「みつどん」。
飯綱中学校の校祭から、県外で開催されるりんごフェアまで、引っ張りだこの人気者です。
2月15日から18日まで銀座松屋で行われた「いいづな~りんごフェア」では、りんご、アップルパイ、シードル、みつどんおやきなどとともに「みつどんさぶれ」のかわいい新パッケージも登場しましたよ。かわいい!
今回はそんなみつどんの、今日までの物語をご紹介しましょう。
―みつどん誕生―
「飯綱町にもキャラクターがほしいよね」という声はたびたびあったそうです。
信越高原連絡協議会という枠組みで観光PRすることの多い飯綱町。妙高市の「ミョ-コーさん」、信濃町の「一茶さん」、長野市の「づなっち」「とがっきー」が次々と出てくる中、飯綱町だけキャラクターがいなくて寂しい時期がありました。
時は2014年、産業観光課商工観光係長(現産業観光課長)の土屋龍彦さんは言いました。
早速「飯綱町のPRキャラクター選定委員会」が組織され、町内の企業4社、地域おこし協力隊、事務局などを含め総勢11名が集まりました。
近隣のキャラクターを参考に、イメージの話し合いを重ねました。いいづなの語源の一つとも言われるキツネの「いづな」、飯綱山の天狗、町章、そして名産品のりんごなどをモチーフに、委員の一人ひとりがキャラクター原案を持ち寄りました。
その中でひときわ輝いていたのが、りんごに星形の蜜が描かれた案でした。
委員の一人で株式会社サンクゼール(※1)店舗サポート部サンクチュアリ事業課エリアマネージャーの軣(とどろき)真央さんが、この原案をもとに星形の蜜が溢れるりんごの妖精を描きました。みつどん誕生の瞬間です。
―みつどん命名―
あまりに甘い蜜を持つため顔に星形の蜜が溢れている、というこのかわいいりんごの妖精に名前を付けるべく、2015年一般公募が行われました。「みつりん」「づなりん」などなど351通の応募があった中で選定委員が選んだのは『みつどん』。命名者いわく、飯綱町の人口密度がどーんと上がるように、蜜がどーんとたっぷり入ったりんごにちなんで名付けたそうです。
―お披露目―
名前も付いたみつどんに、着ぐるみが制作され、初お披露目の日がやってきました。2015年11月28日のことです。場所はアップルミュージアム。たどたどしい足取りで登場する、頭の大きなみつどん。実はこの時のみつどんの顔がデジタル目鼻第一号なのです。
※みつどん初登場で97位と大健闘!「ゆるキャラグランプリ2019」
―テーマ曲―
お披露目を無事に終えたみつどんですが、登場シーンが少し大人しいという声がありました。だったらテーマ曲を作ろう!ということで、今度は「みつどんのテーマ曲制作委員会」が結成されました。
歌詞に使うフレーズは、小中学生にアンケートを取って集めました。「おいしい」「かわいい」「甘い」……、小中学生はみつどんを思い浮かべながらたくさんの言葉を書いてくれました。
作曲を担当したのは、バンド「UKI」の活動を経て、現在はピアノでのソロ演奏や「音ヨガ」で音楽活動をしている山下恵理子さんです。
「みつどんっていう名前から、曲のイメージはすぐに湧きました。♪あどんどんどんって。盆踊りと太鼓の感じで、子どもにも覚えやすいリズムで」
こうしてみつどんのテーマ曲「りんごのみつどん」が完成しました。
SOUNDCLOUD (※1)で曲が聴けますよ。
―子どもたちに踊ってもらおう―
盆踊りのようなリズムの「りんごのみつどん」、これはぜひ地元の子どもたちに踊ってほしい。そんな期待を受けて、振り付けを考えたのは、当時さみずっ子保育園の園長を務めていた丸山愛子さんです。引退した今も、延長保育の先生として子どもたちを見守っています。ほかにも、代替保育士やお話の会と、多忙な丸山さんに当時のことを伺いました。
「町民運動会で、町内の3園合同で踊る計画と聞いて、時間に余裕がない中で考えました。保育士の先生方は日常の業務で忙しいから、私がやるしかないと思って。子どもたちが喜んで踊ってくれるか心配でしたが、『きょう、みつどんやる?』と聞きに来る子どもたち、遊びながら口ずさむ子どもたちの様子を見てほっとしました」
当時の運動会には、手足の短いみつどんに代わって、丸山さんが機動力抜群、りんご頭の「あいどん」となって現れて、お手本を見せてくれたという伝説も残っています。
「運動会などでは、保護者も一緒に大きい輪になって踊れたら楽しいなと思います。りんごポーズは中心を向いて皆の笑顔を見ながら踊れると素敵ですよね」と丸山さん。
「みんなで踊ろう『りんごのみつどん』」の動画には、丸山さんも参加してくださいました。ぜひみなさんも、参考にして踊ってくださいね。
※みんなで踊ろう♪りんごのみつどん
―LINEスタンプ登場―
2019年には、長野県で開催されたゆるキャラグランプリに初出場。そして年末には、みつどんのLINEスタンプが登場しました(※3)。北信地域の方言を使ったユニークなスタンプもあります。このイラストも、軣さんが描かれたんですよ。
「喜・怒・哀・あいさつ・方言、などのベースになる言葉をもらって、それに合わせて下書きなしで描き上げました。かわいらしく出来上がったと思います。これからもみつどんが多くの人に知ってもらえて愛されたら嬉しいです」と軣さん。
<みつどんスタンプを使いこなそう①>
長野の方言の代表格『ズクだして』。「根気をだす、気力をだす」といった意味です。逆に「ズクなし」は面倒くさがり屋のこと。
<みつどんスタンプを使いこなそう②>
『ごしてえ』は「ごしたい」、「疲れた」という意味の言葉です。
<みつどんスタンプを使いこなそう③>
『なっちょ』は、長野市出身の軣さんも「分からなかったから『?』をつけました」とハイレベルな方言。「どう?」という意味なのです。
応用:あんべーなっちょだい(具合はどうだい)
みつどんが誕生してから、名前が付き、テーマ曲ができて、子どもたちが運動会で踊り、LINEスタンプが登場するまでを、駆け足で見て来ました。今後の展望を土屋産業観光課長に伺いました。
「一目見て飯綱町をイメージできるようなキャラクターを希望していたので、本当にいいものをつくってもらえたと思っています。手作りの温かさあふれるみつどんは、これからも、マルシェなどで活躍の場を広げていきますよ。LINEスタンプ第2弾をつくってほしいという声も届いています。これからも応援してくださいね」
最後に、みつどんをここまで愛されるキャラクターに育ててくれた謎の仕掛け人Iさんにお話を伺いましょう。
みつどんの活躍ぶりはいかがですか?
「保育園児が踊る姿を見て感無量です。この子たちが大人になって、どこか遠い土地にいても、活躍しているみつどんを何かで見て、「私は、このみつどんの飯綱町の出身なんだよ。今度りんご送るよ」なんて、話のきっかけになったりしたら嬉しいですね」
※1 株式会社サンクゼール
※2 テーマ曲「りんごのみつどん」視聴 SOUNDCLOUD
※3 LINEクリエイターズスタンプ 飯綱町PRキャラクターみつどん