冬のスポーツやアクティビティといえば、スキー、スノーボードだと思われがちですが、ここ飯綱町には、たくさんのファンが楽しみにしている風物詩があります。それは「氷上ワカサギ穴釣り」です。
飯綱東高原にある霊仙寺湖の水が冬の寒さで凍結し、条件が整えばワカサギ釣りが解禁になります。今年は積雪が少なく、解禁できたのが2月5日と例年より遅くなりました。開催できるようになったら翌日も開催できるかといえばそうではなく、前日の湖面整備で氷の様子を見て判断しなければなりません。これには理由があります。
ワカサギ釣りというのは、単純に冬が来て湖面が凍って、氷の層が厚くなったらできるものだと、今までの人生ずっと思っていました。が、全く違いました!!氷上ワカサギ釣りが解禁できるようになるまでには、ずっと前から、多くの人が関わって準備しているのです。
1月、湖に氷が張り始めると、スタッフは天気とにらめっこを始めます。氷上ワカサギ釣りのフィールドを作るには、雪が必須です。湖が凍って雪が積もると、まずは人が湖面に乗れるかどうかチェックします。こればかりは、実際に氷の上に乗って確かめるしか方法はありません。なので毎年片足が落ちるスタッフもいるとか…。
歩けることが確認できると、凍った湖の上を、普段は地面を固める、誰もが見たことのあるこの大きなローラーを引いて、積もった雪を圧雪しているんです。氷上に浮いたシャーベット状の氷と雪を馴染ませることで、氷の層を厚くしているのだとか。氷の上での作業なのでスタッフは常に命懸け!天候と気温、氷の条件などが全てクリアできて、やっと釣りが解禁できるのです。毎年この時期にしかできないワカサギ釣りを待ち望む、ファンの皆さんに安全に楽しんでもらうためとはいえ、かなりな重労働です。
私も飯綱町に移住して1か月!この時期を逃す訳にはいかないと、旦那さんを誘って夫婦で挑戦してみました!1回目は極寒の吹雪の中という絶好の?ワカサギ釣り日和でした。こんなに笑っていますが2時間やって釣果は見事に撃沈の0匹(笑)。極寒でのワカサギ釣りとはこういうものだという洗礼を受けました!
一度やってみて気が付いたことはたくさんありました。ワカサギ釣りの竿は想像以上に小さく約30センチ、針は驚くほどもっと小さく1センチあるかないか!手袋をしながらエサをつけようとすると、針がうまく持てなくて引っ掛かってしまうこと。手が冷たすぎるとかじかんでエサもつけられないことに気が付きました。極寒の中、「どうやって手を温めるか」が、ワカサギ釣りのキーポイントだと感じた1回目でした。
ワカサギ釣り名人が来ていると聞いたので会いに行ってみました。手さばきは素人とは次元が違い、竿がピクピク動き、ワカサギの群れが来るのを察知すると、「ほら、流れが来たぞ!!」と名人。ワカサギがエサを突いているのを逃さずに釣り上げ、針からワカサギを外すのも数秒という神業!ワカサギは回遊魚なので、待っていれば必ず流れが来るので、いかに早く釣って、早く竿を下ろすかが勝負なのだとか。そしてこの時期のために、日々勉強してるのだそう。人生において、何事も学びは大切だと教わりました。
この彼も私と同じくワカサギ釣りは人生初挑戦。最初は苦戦していましたが、ワカサギの流れが来たときに、なんと一気に2匹釣りあげていました!ワカサギ釣りの針は竿に4つから5つ付いているので、複数匹同時に釣り上げることもあります。ワカサギ釣りは釣れると不思議と寒さも感じなくなり、めちゃくちゃ楽しいのです(笑)。
さて私も0匹では終われないと、別日にリベンジを決行しました!手元にはたくさんのカイロをスタンバイして、手元を温める準備はばっちり。そして粘ること4時間。4時間の内1時間は、竿を入れたらワカサギが食い付くという嘘みたいな時が訪れ、名人が言っていた「流れが来る」とはこのことか!と納得。釣れた瞬間はうれしくて「獲ったどーーーーー!」と、心の中で叫んでいました(笑)。釣れたワカサギは霊仙寺湖の隣にある温泉施設「天狗の館」館内レストランで天ぷらにして頂きました。入館した方に限り、レストランの混み具合にもよりますが天ぷらに揚げてくれます。新鮮なワカサギの天ぷらはサクサク、中の身はふわっとしていて最高の味でした!
飯綱町に来て初めての冬。テレビの世界でしか観たことのなかった氷上ワカサギ釣りを体験し、意外と知られていない会場準備の裏側も知ることができました。飯綱町では、冬しかできない自然のアクティビティも楽しめます。来シーズンは、夕飯2人分を目標にチャレンジします!