皆さん飯綱町の特産品をご存知でしょうか?
春は山菜やたけのこ、夏はもも、秋はりんごやお米など。四季折々、飯縄山の豊かな自然の恵みを受け、たくさんの種類の農産物が収穫されます。
美味しい農作物を食べるときに、「この野菜や果物はどうやってできるのかな?」と疑問に思ったことのある方はいらっしゃいませんか? もしくは、「農家さんって、収穫の時期以外は何をしているんだろう?」とか。
この「The Road to Apples 〜美味しいりんごができるまで〜」では、りんご農家ライターが、四季折々の作業風景をご紹介させていただきます。「農家の人ってこんな風に仕事しているんだな」と少しだけ知っていただいて、一層美味しく召し上がっていただくキッカケになればいいな、なんて思います。
【The Road to Apples 〜美味しいりんごができるまで〜 春・花摘み編】
シリーズ初回は春編からスタート! …ですが、本文に入る前に農家のざっくりとした年間作業表をご覧ください。
4〜5月頃にかけて行われる作業は、「花摘み」です。
春、といっても、標高500m以上に位置する飯綱町に桜が咲くのは世間からは少し遅め。桜が咲き終わる、ゴールデンウィークの4月末~5月上旬頃にりんごの花が咲き始めます。
りんごの花は桜を連想させるような白から薄いピンク色。種類によって花弁の色や形が異なります。
どの品種でも、5~6輪が一か所にかたまって咲き、このかたまりを「花叢(かそう)」と呼んでいます。花叢は、中心に咲く1輪の「中心花」、中心花を囲むように咲く4〜5輪の「側花」から成り立っています。
花摘みとは、中心花を残し側花を落としていく、花を間引く作業です。
花を見て楽しむ分には何時間でも愛でていられますが、花を間引く作業となると話は別。1輪ずつ丁寧に手で積んでいくので、大きな木で花がたくさん咲いている木の花摘みは、3人がかりで2時間以上かかってしまうことも。簡単そうに見えて、かなり時間がかかる、根気のいる作業です。
高いところは、はしごや高所作業車を使っています。
しかし、春の日ざしや風を感じながらの作業はとても気持ちが良く、春の作業が好きという農家さんも多いよう。舞い散る花びら、木の向こうに見える雪が残る北信五岳、春を告げる鳥の声、少しずつ緑が息吹いてくる畑……。
寒く暗い冬を越え、明るい春を迎えた喜びを、日々の作業中いたるところで感じられるのは、農家の特権かもしれません。