女性3人が集まれば、話題は尽きません。普段は、顔を合わせてもゆっくりお茶しながら話す時間まではなかなか取れないため、ここぞとばかりに女子トークに話に花を咲かせました*
女性が農業をやるのだから、いわゆる農業のマイナスイメージを変えたいっていうのはあるよね。お客さんが突然来ることもあるし、そのときに、わ、こんな格好で……てなっちゃうのではマズイなと思って、動きやすくて機能的でありながら、おしゃれに見えるように一応気を使ってる。
農家でも若い人は、けっこうおしゃれに気を使ってるよね。ワークマンもけっこうがんばってるしね。女性目線だし。私のヤッケはワークマンだよ。
おしゃれなのを着ていると、気持ちが上がるっていうのはあるよね。女子は特に。
ずっと外にいて日焼けしちゃうから日焼け対策が必須だけど、何かしてる? 私は日焼け止め塗って、フェイスマスクして、サングラスもして。タオルを首に巻いてってやってるけど、どうしてる?
同じ。とにかく肌を出さないようにしてるかな。
私もユニクロのUV加工してあるのとか着てる。でも暑いよね。ラッシュガードがいいって聞いたよ。
ラッシュガードを着て、その上にTシャツを重ね着してもいいよね。UVスプレーを服の上からかけたりもしてる。
えー、日焼け止めって服の上からかけてもいいんだ。やってみようかな。
効果があるかはわからないけどね(笑)
職業としての農業と女性の働き方
私は、就農前にITの仕事をしていたから、パソコンに強いというのがあって、書類を作ったりするのに役立ってるところがあるけど、皆さんは就農前の仕事が、農業でも役立ってる、活かせてることってありますか?
私もいろんな仕事をしたから、パソコンが触れるとかで活かせてるかな。ウチのホームページの価格表とかは私が管理していて、私しかできないよ。
私は、通信会社の子会社で得た販売促進等の経験を活かして、自分の家でネット販売がどれくらい伸びているかとか、分析したりしてますよ。
すごい、分析してるんだ!
すごい、分析してるんだ!
設備投資、生産工程、出荷工程とかが見える状況になったので、分析材料があるんだとわかって、やってみようと思ったの。
自分のこれまでやってきた仕事が、今に活かせてるっていいよね。あと、農業は子育てしている女性に向いていると思うのだけど、どう思う?
たしかに、子どもを畑に連れて行かれるから目が届くし、親が働いている姿を見せられるしね。職場に子どもを連れていかれる仕事ってなかなかないもんね。
子どもが病気になったりしても、自分の采配で休みは自由に取れるし。
朝、太陽が出たら起きる、夜、太陽が沈んだら寝るっていうのも健康的だよね。
子どもの食べるものが見えるのもいいよね。
飯綱町は、お手伝いを含め農業をやっている人が多いから、農業へのマイナスイメージはあまりないのかもね。
農業に関して言えば、私はまだ自分に自信がないから、もっと勉強して自信をつけていきたいっていう気持ちです。結婚してりんご農家にお嫁に来て、初めてりんごに関わったので、今やっと全体の20%くらいかなって。
えええ、そんなことないでしょ!
だって私はまだ、選果(※形、大きさ、熟度などにより、収穫したりんごを識別すること)させてもらえないよ。
私だって長年やってきて、選果させてもらえるようになったのは、やっと数年前だよ。現場で覚えていくものだから、選果は長いこと見て、熟練しないとできないものなんだよね。
ウチは会社にしているから、毎週社員たちと会議をやっていて、月に2回ぐらいは勉強会を開いてる。農業改良普及センターなどから、果樹の技術情報が送られてくるので、そうした資料をもとに今年の傾向を考えたり。
従業員は、男性も女性も20代後半から30代くらいで、サラリーマンとして農業をやってるの。最初から独立を目指している場合は、里親研修生として来てもらってるんだよね。ウチとしてはサラリーマン農業を広めて、農業をやる人を増やしたいという思いもあって法人化しているから。町の若い人は、仕事がないからと長野市に出てしまい、飯綱町の人口が減っているという傾向にあるから、町に仕事を作って地元で働けるようにしたい。
農園を経営するって大変でしょう。自分で作物を作って販売もして、しかも年に1回の収入で年間を過ごさなくてはいけないわけだから。だけどサラリーマンであれば、毎月の給与があって通年雇用だから補償されるわけで、暮らしが安定するよね。
サラリーマン農業っていうパターンは知らなかった。農業をやろうという人は、自分で全部やりたいという思いがあって目指してくるのかと思ってた。
農作業は好きだけど、販売までには手が回らないっていう人が、サラリーマン農業を選んでるよ。
なるほど。農業への門戸が広がるよね。
あと、私は果樹研修会とか行ってみたいと思っているんだけど、ウチは両親がこれまでの経験や勘どころでやってきたから、勉強会とかの情報がないんだよね。講習会とかってどこがやってるのか知ってる?
地区ごとに、農協や果樹研究会とかがやってたりするよ。
ほかにも、農業改良普及センターがやってたりとか、篤農家さんを呼んで勉強会をしたりだとか。普及センターだったら情報をもらえるよ。
いろいろ勉強したいから、そういうの教えてもらえると助かる! 母と父で言ってることが違うから、迷うことがあって。
あるあるある(笑)
あるあるある(笑)
あと、これまでになにか失敗しちゃったことってある?
ウチは、ネットで販売しているんだけど、りんごは売り切れてるのに在庫0にしていなくて、注文入っちゃってて。振り込みはされていなかったからよかったんだけど。
あーーー、あるあるある(笑)
あーーー、あるあるある(笑)
バタバタしているときとか、起こり得る。
同じ人に商品を2回送っちゃったこととかもあるよ。送付日の指定がバラついたときに、送付済みの人にまた送っちゃって。
あるよねー(笑)
あるよねー(笑)
嫁の立場、自分の時間、暮らしのこと
じゃあ、仕事以外の自分の好きなことができる自由な時間って、私はゼロなんだけど、皆さんはある?
私は、親と同居じゃないから、子どもが学校に行っているお昼の時間は一人だし、仕事をしている時間も一人だし。それ以外はネイルしてるかな。
え、それって自分でしてるの?
今日のも、さっきだよ。隙間時間にささっとやってるよ。
めちゃ、女子力高いね!
こういうことをしないとテンション上がらない(笑)。細かい作業が好きなんだよね。集中して無になれるから、ある意味ストレス発散になる。
みんなに、子育ても農業もやって忙しいでしょ? って言われるけど、そんなでもないかなって思うんだけど(笑)。サラリーマンをやっていたときより、全然ゆとりがあるなって。農作業に出てるときも、手は動かしながら別のこと考えたりもできるし(笑)、音楽とかラジオとか聞きながらできるから、気は楽だよね。
今は時間があって気が楽だけど、11月とか12月の繁忙期になると、もうしっちゃかめっちゃかにならない? 電話は来るし、お客さん対応はあるし。ご飯を食べている時間がないくらいのときもあるよね。
そうだね。繁忙期は余裕がなくなる。そのとき以外は、りんごとか経営に関わる本を読んだりする時間があるよ。まったく仕事以外だったら、ゲームしたりマンガ読んだりもする。
あとはネットショッピングしたり、最近はピアスとかアクセ作りにはまってる。静谷さんは同居だから、なかなか自分の時間は持てないんだね。
同居はね、もう慣れたから全然大丈夫だけど、お風呂は私が一番に入る流れなので、待ってもらってると悪いなぁと思って、湯船にゆっくりつかれないかも。
お風呂の時間は聞いたことある! 家族が多いからお風呂の順番が遅くなるって。早く入って〜って思うけど、おじいちゃん、おばあちゃんは、見たいテレビがあるからとかって。
テレビは確かに主導権は向こうだから、好きな番組は見れないね。
でも、テレビってちゃんとのんびり座ってとか見なくない? 立って用をしながらとか。
ウチは家族で見るよ。『イッテQ』とかさ(笑)
ちなみに、みなさん、朝は何時起き? ウチは6時。
6時30分かな。
ウチも6時30分。寝る時間は、最近は子どもと21時とかに寝ちゃったりする(笑)
あるある(笑)。前は、寝かしつけてからまた起きて、やろうと思ってたことをやったりとかできたけど、最近は起きられない(笑)。発送の時期は、頭の中でぐるぐる考えちゃって、眠れないってこともあるけど。
子どもと一緒に横になってるんだけど、頭の中では、ずっと仕事のこと考えちゃってるときあるよね。でも、昼間に太陽を浴びてるし、健全だよね。睡眠時間は、就農前より今の方が圧倒的にとってるなあ。
これからの飯綱町のこと
みんな、大学とか就職で一度は町を出るけど、飯綱町の人って戻って来る率が高くない?
やっぱり空気も水もいいからね。私はそうだったよ。結婚して大阪に住んだんだけど、空気も水も合わなかったんだよね。都会に憧れてた部分もあるんだけど、ここでは子どもは育てられないって思ったよ。結局、子どもができるよりも前に私が無理ってなって、2年で戻ってきたんだけど結果的に戻ってきてよかった。大阪は治安も良くなかったな。
こっちは家の鍵も閉めないもんね。鍵がどこにあるか知らないし(笑)
東京にいた2年間は、お金がかかるなって思った。長野オリンピックのボランティアをすることになって、そのタイミングでこっちに帰ってきちゃったんだけど。飯綱町ってちょうどいい田舎じゃないですか? 都会にも行きやすいし、ほどよく田舎だし。
田舎すぎないのかもね。長野市まで20分だし、インターも近いし、東京だって日帰りできるし。長野に通勤している人はもちろんだけど、東京に通勤している人もいるしね。
東京出身で田舎がない人でも、ここに来ると、故郷感を感じるって聞いて、それが飯綱町の特徴なのかなって思ったことがある。あんまり田舎すぎると非現実的すぎて、都会から来た人には空気感が違いすぎちゃう。けど、飯綱町はわりと田舎すぎないのがちょうどいいというか。
あと、このお店をオープンして思ったのが、こんなに若くておしゃれな人が、この辺りにいるんだなって。どこにいたの? って感じ(笑)。聞いてみると、外からお嫁にきたっていう人とか、町を出たけど帰ってきたっていう人とかも結構多かった。
飯綱町は、女性も男性も、かわいい子とかイケメンが多いって言われてたよ。
それは言われてるよね。水がいいところはきれいな人が多いとか、野菜とか食べ物がおいしいからとか。
身長も高いよね。え、この辺りだけ??
え、そう?(笑)。日照時間とか関係あるのかな? 人間も光合成で身長が伸びるとか(笑)。
移住の人とかも、もっと入ってきてくれたらおもしろいって思うけどね。
農業には里親制度っていうのがあって、新規就農の人には、里親がつくの。農業のことはもちろんなんだけど、そのほかにも、この町で暮らしていく上でのノウハウを教えてもらったり、家探しや畑探しを一緒に手伝ってもらったり。
いわゆるOJTとか世話人みたいな制度なんだけど、この辺の人って、知らない人がいきなりきて、畑を貸してくださいって言っても、貸さないでしょ。里親が間に入ってくれることで信用してもらえるし、移住する人も安心だし。この制度が一般の移住して来る人にもあればなあって。そうすればもっと、馴染みやすいのかなって。
そういうの、いいよね!
そういうの、いいよね!
地区の集まりとかも、知らない人だけだと入りにくいけど、世話人みたいな人がいて、こういうことがあるから連れていくよ、その人たちに紹介するよって言ってくれて、内容とかルールとかを教えてくれたら、入りやすいと思う。
川上村でやってる、「お嫁ちゃん会」っていいよね。
そうそう。川上村では、村にお嫁にきた人たちは知り合いもいなくて不安だろう、ということで、土地の女性たちが懇親会みたいなものをやってくれる会がある。
そういうのいいよね。私が大阪から戻ってきたとき、周りが知らない人ばっかりで、なかなか溶け込めなかった。
子どもが保育園とかに入れば、そこでママたちと知り合えるけど、最初にお嫁にきたときって、知り合いもいないし友達もいないし。
子どもがいないとハードルが高いよね。独身のときは、お母さんたちが集まっているところに、独身一人では入れなかったよ。
飯綱町は、「日本一女性が住みたくなる町」って謳っているけど、実感することってないよね? 女性活躍と言うのであれば、議員さんにもっと女性が増えるとかね。アピールとか発信力がうまくない感じ。
でも、ここ数年は、少し変わってきたかなって思う。ヤギプロジェクトとか。あれは、すぐに実現されたことがよかったな。今後は、それを引き継いでいくことが大切だよね。
女性活躍って、具体的には何をするんでしょうね。「女性活躍×りんごの町」というビジョンを掲げるなら、私だったら、りんご農家の老若の女性を募って、何か町のアピールのためにアクションをしたい! 個人的にやれって言われると難しいけど、町全体でそのようなムーブメントを起こしてくれるといいなぁと思っています。あと、りんご農家は人手が足りないので、ワークセンターでもアピールしてくれるとうれしいです。子どもがいても融通が利くし、町内で働けるので気軽なのもメリットですよね。
いろんな人がいろんなところで、いろんなことをやっているのかもしれないけど、それが点なんだよね。線につなげて面にしていかれたらいいよね。
子育てに関することは、取り組みが進んできていると思います。これを続けていかれたらいいかな。あと、私たちは自分の家が職場だからいいけど、パートさんとかで小さいお子さんがいらっしゃる場合は、子どもを預けられる場所があるといいよね。
女性が働いている率は高いしね。
うん、農業をやっている女性も多いし、いろいろ頑張ってる女性が多いから、何か一緒にできないかなって思う。
〈いいづな女子会議〜Vol.1 農業女子編〜〉は、いかがでしたか? 前向きな彼女たちの会話を聞いていると、こちらも元気をもらえます。また、彼女たちによって、これまでの農業のイメージが変わっていくのかもしれないな、と思いました。 Vol.2もお楽しみに!
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