トップライターはっさく堂さんネットにはない情報をお届け!町民の、町民による、町民のための「飯綱町公民館報いいづな」

ネットにはない情報をお届け!町民の、町民による、町民のための「飯綱町公民館報いいづな」

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飯綱町には、隔月で届く「町民の、町民による、町民のための読み物」があるのをご存じですか?

それは、飯綱町の公民館が発行している「公民館報いいづな」です。まちの広報誌と一緒に届く薄い冊子ですが、開いてみるとその内容の充実さに驚きます。4ページにわたる巻頭特集では、毎回、町内のさまざまな話題を深く掘り下げているのです。

2005年の合併で誕生した飯綱町。町制とともに歩んできた公民館報も、昨年20周年を迎えました。そして現在、いいづな歴史ふれあい館では「飯綱町を編集する 〜公民館報いいづなの20年〜」が開催中です。公民館報とは何なのか、どのような人たちが作っているのか。編集委員と学芸員に話を聞きました。

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公民館報の編集委員は、町の条例により10名以内で選任されます。現在は9人で、年齢は34歳から65歳まで。女性5人、男性4人から構成されます。生まれも育ちも飯綱という方から、移住者、Uターン組まで、背景はさまざまです。

「作っている人は、町民であり、いち読者であり、編集委員。つまり全員が当事者なんです」
そう語るのは、2025年から編集長を務める三原彩音さんです。
編集会議は月に1回、「井戸端会議みたいな雰囲気で」行われます。日頃の疑問や気になる話題を持ち寄り、次号の特集を決めるそう。テーマが決まれば2〜3人でチームを組み、取材開始です。アポとりから撮影、執筆まで、全て自分たちでこなします。

「住んでいて疑問に思うこと、当たり前だと思っていたけど実際どうなの?ということを深掘りしていくことが多いですね」と、編集長を長年務め現在は編集委員の西村啓大(あきひろ)さんは話します。町の歴史、伝統的な文化、時事的な話題、気になる人物など、ネタは暮らしのなかから次々と生まれます。

最近の号では、中学校の部活動の「地域移行」を特集しました。きっかけは、10月に町民会館で開かれたイベント。部活が地域移行でどんどん変わってきていると聞き、取材が始まりました。
このテーマを担当した編集委員の一人、正村明菜さんは、ちょうど中学生の子どもを持つ親でもあります。「自分に関係していることだから気になる」という当事者としての視点が、取材を深くしていきます。子どもたちの活動を調べるうちに見えてきたのは、学校の変化でした。教師の役割が「指導者」から「支援者」へと変わりつつある。その現場の声を丁寧に拾い上げた記事は、子育て世代だけでなく、多くの町民の関心を集めました。

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編集委員には、生まれも育ちも飯綱(旧牟礼村・旧三水村)という人と、移住してきた人が混在しています。この構成が、記事に独特の奥行きを与えています。
「同じものを見ても、地元の人と最近来た人では見方が違うんです。『え、そんなの当たり前じゃないの?』『いや、それ全然知らなかった』っていうやりとりがある。そういうのを見つけて掘り下げると、記事が面白くなります」
20年間編集に関わってきた高橋弘之さんはそう話します。地元の人が当たり前だと思っていたことが、実は特別だった。そんな発見が記事を豊かにし、長く住んでいる人にも移住者にも届く内容が生まれるのです。

ネットで何でも調べられる時代に、紙媒体を届け続ける意味は何でしょうか。三原さんは「館報には、Googleには載っていない情報が詰まっています」と表現します。
「疑問に思ったことを自分の足で聞きに行って、顔を合わせて取材して、現場で写真を撮る。そうして作られた『地に足の着いた情報』が館報にはあると思います」
長く住んでいる人には新たな発見を。移住してきた人には町を知る入口に。公民館報は「生きたアーカイブ」として、町の記憶を静かに積み重ねているのです。

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今回の企画展「飯綱町を編集する 〜公民館報いいづなの20年〜」は、展示パネルの構成から年表の作成まで、歴史ふれあい館と編集委員が一緒になって最初から作り上げました。
「歴史ふれあい館は、その名前の通り、町の歴史を振り返る公共の施設です。でも、振り返った先に、未来がないといけないと思うんです」
そう話すのは、学芸員の福井優希さん。

公民館報展に訪れた人にはアンケートを書いてもらっているそうですが、「もっと町に興味が湧いた」「移住の下見に来たけど、さらに住みたくなった」といった声が多く集まっているとのこと。ただ意外にも、地元の方ほど歴史ふれあい館に足を運ぶ機会は少ないそうです。

町制20年、公民館報20年というこの節目に、まちの歩みを振り返りながら、自分の暮らす町を見つめ直してみるのもいいかもしれません。

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実は飯綱町の公民館報は、全国公民館報コンクールで最優秀賞を3回受賞しています。隔年開催のため、約6年にわたって頂点に立ち続けた計算になります。
評価されたポイントは二つ。行政の職員主導ではなく、町民が主体的に編集していること。そして、毎回4ページの特集記事を継続的に制作する取材力です。現場に何度も足を運び、話を聞き、形にする。この姿勢が高く評価された形となりました。3連覇を成し遂げたあとは「殿堂入り」のような扱いに。しばらく応募を控えていたところ「また応募してほしい」と声がかかったそうです。飯綱町公民館報は、全国の公民館関係者から、今も一目置かれる存在であり続けています。

そんな公民館報の歴史が詰まった展示会に、ぜひ足を運んでみてください。

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来場してクイズに答えると、今月は左のみつどん缶バッジをプレゼント!
右はこれまでに配布したみつどん缶バッジです。


<おまけ:ライターの公民館報展の楽しみ方>

私がこの展示でテンションが上がったのは、昭和20年代の「中郷村」や「高岡村」(いずれものちの牟礼村)の公民館報を見られるところです。「待望のバス」と題された記事にはレトロな車両が写っていたり、小ネタコーナーでは「日本茶にはビタミンCがあるけれど、紅茶、コーヒー、ココアなどには全然ありません」と微妙にディスっていたり(ポリフェノールあるのに!)。当時の空気感がそのまま伝わってきます。ぜひ、時代の雰囲気を味わってみてください。

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