飯綱町の人気ゆるキャラ「みつどん」。町民なら誰でも知っている存在で、その正体は……みつがどーんと入ったりんごの妖精です!

そんなみつどんの挑戦が、この秋、ちょっとした話題となりました。飯綱町観光協会が企画した「超大型ぬいぐるみ制作」のクラウドファンディング(クラファン)で、開始からわずか2日で50万円の目標金額を達成!
最終的には全国126人から94万3000円の支援が集まり、大成功のプロジェクトとなりました。
「このプロジェクトのきっかけは、町制20周年の記念事業です。10周年でみつどんが誕生したので、20周年では新しい形で何かを残したかったんです」
そう話すのは、飯綱町観光協会の西澤美行さん。
「これまでは着ぐるみがメインだったのですが、みつどんは頭が大きくて車に乗るのが大変だったり、夏は暑すぎて動けなかったりと、なかなか気軽に動けなかったんです。ぬいぐるみなら、もっと手軽にいろんな場所へ行けると思って企画しました」

クラファンの当初目標は50万円。「1か月かけて達成できればいいな」という気持ちでスタートしたところ、予想を大きく超えるスピードで支援が集まり、2日目のお昼には目標を突破しました。まさかの展開に、西澤さんも驚いたそうです。
「観光協会として飯綱町の名前をもっと知ってもらいたかったので、町制20周年という冠をつけたのも、支援が集まった理由の一つだと思います」
セカンドゴールでは、金額ではなく「友達100人できるかな」という支援者数の目標を設定。「とにかく、みつどんを知ってほしい!」という思いが実を結び、最終的に126人と、目標を大きく上回るみつどんフレンズが全国に誕生しました。
支援者の地域分布を見ると、その広がりにもびっくりです。町内に加え、東京や埼玉などの首都圏を中心に北海道から九州まで全国から応援が集まりました。
「これまで地道にイベントに参加してきた成果が出たんだと思います。応援コメントにも、『イベントで見かけて好きになった』という声が多くて、嬉しかったです」と西澤さん。
すぐに「可愛い!」と一目惚れされるというよりは、じわじわと「なんか気になる」「可愛い、かも…?」と感じてもらえるのが、みつどんの魅力のようです。

返礼品は、みつどんならではの魅力が詰まったラインナップ。一番人気だったのは、王道にして最強の可愛さを誇る、高さ約20センチのみつどんぬいぐるみ。そして注目を集めたのは、オリジナルのビッグアクリルスタンドでした。
「このサイズのアクリルスタンドはあまり売られていないので、とても好評でした。台座をりんご型にしてもらったのもポイントですね」と、西澤さん。
とっても意外だった人気返礼品が、高さ約50センチのみつどんぬいぐるみ。
「5万円の寄付という高額コースなので、誰も選ばないだろうと思っていたんです。そうしたら、3件も申し込みがあって、とてもびっくりでした」と、西澤さん。
しかも、すべて県外からの申し込みだったそうで、みつどん人気が町の外へもしっかり届いていることがわかりますね。
トートバッグやTシャツには、みつどんLINEスタンプの中から好きなデザインを選べるというユニークな仕様。自分で絵を選べる楽しさが、多くの支援者に喜ばれました。
また、アルクマなど、ほかの人気ゆるキャラとコラボしたアクリルスタンドも登場。ほかキャラのファン層からも応援を得られたのが、支援の広がりにつながったようです。

完成したぬいぐるみは、高さ約1メートル、重さ約10キロ。
「思った以上に重くて、胴回りもかなりあるので、私ひとりでは持って歩けないのが想定外でした(笑)」と、西澤さん。現在は台車に乗せて移動させていますが、アップルミュージアムから借りたりんごの椅子に座らせると、西澤さんの身長よりも高くなるそうです。
イベントでも、その存在感はバツグンです。
「しなの鉄道の観光列車『ろくもん』のイベントでは、お客さんがみんな降りてきて、抱っこして写真を撮ってくれて、すごく喜んでもらえました」
そんな成功の裏で、担当者である西澤さんには苦労もありました。
「正直、クラファン前は心配で全然寝られなかったんです。もし達成しなかったらどうしようって、とにかくプレッシャーが大きかった!」
またやりますか?の問いには「もう2度とやりたくないくらい大変でした(笑)」と苦笑いしつつも、「でも、こうしてみつどんの知名度が上がって、いろんな場所に連れて行けるぬいぐるみができたのは本当に嬉しいです」と、満足そうに語ります。
さらに、完成したみつどんぬいぐるみを使った新たなPRアイデアも考案中とのこと。
「みつどんはりんごの妖精なので、りんご木箱と一緒にリアカーに乗せて、りんご畑で写真を撮ったら絶対かわいいと思うんです!」
そのアイデアを実現するため、使われていない昔ながらのリアカーを探しているそうで、無償で提供してくれる方をゆるく募集中です。
「長野県のことは知っていても、『飯綱町』を読めない人はまだまだ多いんです。町の名前をもっと知ってもらえるように頑張りたい。そしていつか、全国放送のCMにみつどんが出られるくらいに育てていきたいですね」

今回のクラファンは、単に資金を集める場というだけでなく、「応援したい」と思ってくれる人たちとつながる貴重な機会となりました。支援者との交流や、全国に広がるみつどんファンとのつながりは、飯綱町にとって大きな財産です。
「10キロのぬいぐるみを抱えて各地のイベントに参加するのは大変だけど、それ以上に嬉しいことがたくさんあるんです。これからも、みつどんの友達を全国に増やしていきたいです」
【ゆるく募集】
古いリアカーがご自宅や倉庫に眠っていませんか?

「みつどんに使っていいよ!」という方がいらっしゃいましたら、ぜひ飯綱町観光協会までご連絡ください。イベントなどで大切に使わせていただきます(無償でご提供いただけると嬉しいです)!