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056 「AFTERS STORE」店員・グラフィックデザイナー 松本直大さん

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洋服とデザインにおける地産地消を目指し、
地域に根ざした店づくりをしたい。

長野市内のアパレルセレクトショップ勤務を経て、昨年11月、上司とともに、長野市郊外の下氷鉋地区にメンズ・レディース・キッズの洋服店をオープンした松本直大さん。ショップ店員兼グラフィックデザイナーとして活躍している。

家族で訪れやすい店づくり

 2016年11月に長野市郊外にオープンした洋服店兼デザイン事務所「AFTERS STORE」。ここで店員兼グラフィックデザイナーとして活躍するのが松本さんだ。かつては長野駅前のセレクトショップで11年間働き、そのなかで社内の印刷物やオリジナルのアパレル商品、Webショップのデザインも任されるように。そして、店舗では子ども服を扱い始めたことから徐々に客層がファミリー層へと変化したため、家族で車で来店しやすく広い敷地ももてる郊外での出店を上司の宮津亮さんと考案。元ガソリンスタンドの現物件を見つけ、独立を果たした。

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店舗ではオリジナルブランド「AFTERS」のほか、釣り編みスウェットで大人と子どもの服を作る「CLASSIC HARVEST」、フットボールカルチャーとリンクした「LUZ e SOMBRA」などさまざまなブランドを取り扱う。

大切なのはファンづくり

 独立後はオリジナルブランドの服飾だけでなく、印刷物や看板、ロゴ、Web、映像などさまざまなデザインを手がける松本さん。そのため、取り扱う商品は洋服だけでなく、松本さんがラベル制作を手がけた飯綱町のりんご農家・宮本リンゴ農園のジャムなどもある。
 「デザインはなるべく目が届く範囲で、対象者が明確なものを作りたいので、基本的にはお客様つながりのご依頼しか受けていません。ジャムも、常連である宮本さんとのつながりから生まれたもの。それを店頭で販売することで、お客様には宮本さんのことも僕らのデザインも知っていただけたらと思っています」
 グラニースミスという珍しい品種を使ったジャムであることから1個900円と決して安くはないが、接客を通じたプロモーションもあり、製造した約90個は完売。今後はシリーズ化も考えているという。
 「僕らの店づくりは地域の数百人がファンになってくれたらいいというやり方で、不特定多数に向けたものではありません。ジャムやオリジナルのアパレル商品、その他のデザインも、地元で作り地元の方に買っていただくような地産地消に近い形がベストだと思っています」

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長野市稲里町にある「AFTERS STORE」。設計士に相談しながら古材を活用し、塗装は自分たちや家族、お客様とで2週間で仕上げた。左下の写真は飯綱町・宮本リンゴ農園のジャム「Jam Master A」。今後はシリーズ化し、収穫時は手伝ったり、その様子を撮影することで、宮本さん自身のプロモーションも考えている。

 こうしたコアなターゲットに向けた店舗展開は、町づくりにも通じるのではないかと松本さん。
 「町おこしでは大きなイベントで集客を図る手法も必要ですが、より少ないターゲットに響くような情報を発信したほうが面白い取り組みができますし、ファンもつくりやすいと思います」
 その結果としてファン層が広がるのも面白いと松本さん。熱烈なファンづくりで、小さくも堅実な事業になるスモールビジネスの視点が地域活性のあり方を変えるかもしれない。その豊かな発想が、松本さんのデザインにもつながっている。

 

PROFILE

東京都出身。1986年生まれ。家具職人の父の制作環境移転に伴い、5歳の時に飯綱町普光寺に移住。長野高専を3年次で中退し、在学中から通っていた長野駅前のアパレルショップ「WorldWideInc」に19歳で就職。バイヤーや店長職も経験。2016年、上司の宮津亮さんと「AFTERS STORE」オープン。現在は長野市在住。

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