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053 長野国際カントリークラブ代表取締役社長・飯綱町観光協会会長 古木惣一郎さん

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自分自身も会社も地域も、本来もっている魅力を引き出し、
真心込めて磨き上げることが大切です。

ゴルフ場・長野国際カントリークラブの創業者の孫として、経営立て直しのために社長に就任した古木惣一郎さん。コースの整備や真心を込めた接客で黒字化を実現し、観光協会長としても飯綱町の魅力発信に取り組んでいる。

会社は自分自身の鏡

 「会社は経営者自身を写す鏡です。自分の内面を見つめ、求めるものを発見し、それが自分の事業に生かされてこそ、本当の意味で社会のお役に立つ会社になる。そうなると、状況は自然とよくなっていきます」
 そう話す古木さんは、長野国際カントリークラブ(CC)の創業者の孫として育ち、幼少期は毎年、故郷の鎌倉から家族で飯綱町を訪れていた。大学卒業後は祖父の急逝により多額の借金を引き受け、建設会社とゴルフ場の代表取締役専務として会社と一族の再生に奔走。その状況を打開するために夜学で経営学を学ぶが、同族責任を取って会社を離れることになった。その後はターンアラウンド・マネージャー(※)として数々の中小企業の立て直しを現場で支援。その手腕が認められ、2013年に長野国際CCの経営に復帰し、家族と長野に移住した。
 「長野国際CCの経営や幼い頃に憧れた長野暮らしは、故郷を離れる寂しさ以上の魅力を感じました。地域密着の仕事ですし、もとより根を張って生きるつもりでしたので、新築の自宅を売却し引っ越しました」
 こうして社長に就任し、何よりも衝撃を受けたのは、コースがショットの跡の穴だらけで放置されていたことだった。「こんな状況では、クラブが本来もつ魅力が発揮されない」と危機感を覚え、創業者の祖父が砂袋を抱え穴を埋めていたことを思い出し、自ら朝夕の穴埋め作業に着手した。その結果、クラブ会員にも穴埋めの文化が広がり、美しいフェアウェイが保たれるように。その精神は穴埋めに留まらずさまざまなサービスの向上にも現れ始め、本来のクラブの魅力が再び輝き、同時に来場者も増えていったという。

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古木さんの祖父が出身地の富山から鎌倉に帰る途中、国道18号線の高台から見た町の風景に感動したことがきっかけで、1973年に創業した長野国際カントリークラブ。古木さんによれば、業績は回復基調とはいえ、ゴルフ人口の大幅減少という大きな課題もあり「まだまだ発展途上」とのこと。

町の魅力を見つめ直す

 今年から観光協会の会長にも就任した古木さん。
 「私はこの町で都会生活の苦しみや、それに伴う自分自身の呪縛から解放されました。ここにはそういう人間らしさを思い出させてくれる力があります。その経験を通じて、飯綱町には次の時代に求められる魅力がたくさん詰まっていることを知りました。観光というのは、その土地が本来もっている魅力を味わうものです。それを引き出しながら、必要としている方々にご紹介できればいいなと思っています」
 飯綱町が本来もっている内面的な魅力を見つめ直し、それを磨き上げることで、町の未来は自ずと開けていくものだと言う古木さん。高く広い視野をもちつつも、地に足を着けた観光づくりが期待できそうだ。

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観光協会会長としては、外から持ち込まれた外来的な観光ではなく、自分たちの町の魅力を、自分たち自身で引き出し育てる“内発的な観光”への転換が課題と考えている。そうなれば、町への愛着は自ずから育まれ、町民の心に潤いが生まれるのだという。

PROFILE

神奈川県鎌倉市出身、長野市在住。1972年生まれ。大学で建築を学び、一級建築士取得。社会人大学院で経営学(MBA)を修了後、国立大学の博士課程(MOT)を単位取得退学。ターンアラウンド・マネージャーとして、東京工業大学発ベンチャー企業を皮切りに、複数の中小企業の再建に携わる。2013年より現職。

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