飯綱町の魅力や農業の楽しさを伝え、
就農者や移住者を増やしたい。
妻の実家の飯綱町でりんごのおいしさを知り、生まれ育った伊那市から移住してりんご農家になった久保田譲さん。家族全員で有機肥料を使った独自の農業に取り組み、飯綱町の就農者や移住者を増やすことを目指している。
りんごの魅力を知り就農
「りんごは苦手だったのに、飯綱町のりんごはあまりのおいしさに感動しました」
こう話すのは、妻の実家が作るりんごのおいしさや農業の面白さ、飯綱町の風景に魅了されて伊那市から移住し、自然な流れでりんご農家になった久保田さん。化成肥料を使わず、肥培管理や土作りを大切にした有機農法を手がけている。
「もともと飲食が好きで、どうせなら自分が食べたいものを作ろうとしたら、それが有機農法でした。この農法は絶対的な答えが出ていないので、ひとつにこだわらずいろいろ挑戦し、楽しく働いています」
このように、全責任を自分が負えるのが農業のやりがいだそう。
「私は趣味と実益を兼ねての農業なので、よいものが採れたら自分が一番に食べたいと思って作っていますし、作業も自分で考え、やりたいようにやっています。新規就農というと、なにかと『稼ぎが…』という話にはなりますが、意外と面白おかしくちゃんとやっています(笑)」
就農者のモデルケースに
ドレッシングの加工も手がける久保田さん。家族の意見を取り入れ、全員で事業に取り組んでいる。
「うちは家族総力戦で、家族で工夫し、今あるものをどう増やすかを考えています。加工品は、りんごや野菜を使っておいしいものを食べたいとの発想から生まれました。妻は以前、食品メーカーの研究開発をしていて調理師資格があり、義母は栄養士と人材にも恵まれているため、いろいろ試したいと思っています」
こうして、自分のように飯綱町のものを好きになり、仕事の面白さも見出して「この町に住みたい」と思ってもらえたら、就農者や移住者も増えるのではないかと久保田さん。
「『田舎には働き先がない』と不安を抱えて都会で苦労している人たちには『気楽にやっています』と伝えたいですし、今は『昔ながらの農業はこうだ!』という時代ではなくなったので、『田舎でこういう働き方もあるから来ませんか』という発信もしたいです。こうして、私がモデルケースになって農業に携わりたい人を自然に増やし、売りたいものをきちんと作ることが目標。そのためにも、事業を軌道に乗せていかないといけないですね」
PROFILE
長野県伊那市出身、飯綱町福井団地在住。1974年生まれ。高校卒業後、飯田市の大手電気屋で6年間修業し、家業の電気工事業を後継。2009年に事業閉鎖。2011年、妻の実家がある飯綱町に移住し、小玉地区で農業をしていた義母とともに専業で農業を開始。屋号を「K&Kファーム」とし、りんごのほかにアスパラガス栽培も手がけ、ドレッシングも加工している。