オリジナリティー溢れるゲーム制作のノウハウを
長野県内の教育事業で生かしたい。
「ドラゴンリーグ 」や「城とドラゴン」など数々のヒットゲームを制作する株式会社アソビズム。代表の大手智之さんは2012年に東京から飯綱町に移住し、ゲームを軸にしたユニークな教育事業に力を入れている。
楽しいゲーム制作を仕事に
小学生の頃、父親のパソコンで ゲームを自作し、熱中した大手さ ん。高校卒業後は美術大学をめざすも三浪。入学を諦めた頃、当時付き合っていた現在の妻にゲーム作りへの熱い思いを話すと、好きなことをやった方がよいと、ゲームクリエイターの道を勧められた。
「僕は仕事は厳しいものであり、ゲーム作りは楽しくて仕事にしてはいけないと思い込んでいました」
こうして、ゲーム専門学校に入学し、その後は小さなゲーム制作会社に就職。ベンチャー特有の自由な社風で、大手さんは入社間もない新人にも関わらずオリジナル企画を任されるチャンスを得た。そして作り上げたのが、プレイステーション用ソフト「免許をとろう!」。教習所に通った経験をもとにしたもので、なんと売り上げ30万本の大ヒット。会社の成長に一役買うことができた。そしてその後、27歳で独立。妻と一緒に「アソビズム」を立ち上げた。
ゲームを軸にICT教育を
飯綱への移住は、知人から里山教育を行う幼稚園「大地」を紹介され、家族でのキャンプ参加が契機だった。
「あいにく土砂降りでしたが、東屋の中に寝袋を敷いて皆で雑魚寝で寝ました。そこで、ランタンの光のなか、園長先生の奥さんがしてくださったお話の時間がたまらなく素敵で、こういうことができる暮らしは自由で刺激的だと感じました」
翌日は登山。幼児には大変な山だったが、言葉巧みに登らせる園長を見て、子どもに制限をかけているのは常識に囚われた大人自身だと気付いたという。
こうして移住の翌年、長野支社(長野ブランチ)を設立。現在は子どもにプログラムやICT(情報通信技術)を教える「未来工作ゼミ」や、野遊びやものづくりから創造性を育む「サマーアドベンチャーキャンプ」など、子どもとともに育む共育事業に力を注ぐ。
「子どもは勉強はしなくてもゲームは何時間もやるのだから、その夢中になるノウハウを学びに生かせないかと昔から考えていました」
さらに、2020年以降は全国の小学校でプログラミング必修化の動きもあるため、アソビズムの得意を生かし、少しでも学校教育の手助けになれたら、と大手さん。
「まずは県内で長野県らしい形で、僕たち流のICT教育をしたいですね。ゲームはいかに面白く楽しく、新しい体験をするかが大切で、僕たちはオリジナリティーあるゲームで勝負しています。そのプライドをもって、今後もゲーム制作と共育事業を続けていきたいですね」
PROFILE
群馬県安中市出身、飯綱町倉井在住。1974年生まれ。実家にテレビゲームがなかったため、本でプログラミングを独学し、パソコンゲームを自作。1996年、ゲームスクールに入学し、1年で十分と考え中退。就職したゲーム会社で4年働き、2002年に妻と起業。2012年、東京から飯綱町に移住。 翌年、長野支社(長野ブランチ)設立。2児の父。