農業のマイナスイメージを払拭し、
子育てにおいても日本一の町にしたい。
りんご農家で生まれ育ち、現在は農業と画像修整の仕事の二足のわらじで活躍する天野奈津美さん。子育て中の女性の暮らしやすさも考え、参加する町の会議では積極的に意見を述べている。
農業と画像修整のWワーク
政府が進める「働き方改革」で関心が高まるWワーク(副業)。天野さんは家業のりんご栽培とパソコンを使った画像修整の在宅ワークに取り組んでいる。結婚後は大阪で暮らしていたが、農業の後継や将来的な育児環境も考えて2009年に帰郷。子育てをしながら働けることから在宅ワークを考え、未経験ながら興味があった仕事を新聞の求人広告で見つけた。
「画像修整はきれいに仕上げつつなるべく早く終わらせ、空いた時間を農業に回すようにしています」
小さな頃から両親が頑張る姿を見て育ったため、農業を継ぐことに抵抗はなかったという天野さん。
「土日もなく大変ですが、うちのこだわりはお客様に新鮮なりんごを直送すること。そのお客様の感謝の反応を見たら、このりんごを途絶えさせてはいけないと思いました」
町の会議で意見提案
そんな天野さんの願いは農業のイメージ向上だ。
「若い人にはダサい、大変といった印象をもたれますが、都会のお客様からは農業体験を希望する声が多いので、新規就農者を増やすためにも町主催の農業体験の計画を行政に提案しています」
この言葉の通り、町に積極的に提言もしている天野さん。きっかけは、父の知人の町会議員から「議会政策サポーター」の会議で育児中の若い女性の声を上げてほしいと言われたこと。そこで近所の女性たちの声を聞いて延長保育無料化を提案したところ、翌年実施された。それを機に、現在は町の総合戦略会議や子育て応援会議、ICT活用の農業事業などにも参加している。
「最近は誕生祝金や卒園・卒業等祝金の支給や病後児保育無料化も進み、ワークセンター(育児中の女性の在宅ワーク推進施設)もできました。この波に乗って日本一子育てをしやすい町にしたいですね」
さらには町に対し、積極的な情報発信でりんごのブランド化も望んでいると話す天野さん。関西方面へのPRや若手女性農家によるイベント出店などアイデアは豊富だ。好きな仕事をし、町の活動にも参加することで自己実現を果たす様子は、今後の町での働き方や暮らし方の広がりを感じさせる。
PROFILE
飯綱町倉井出身・在住。1980年生まれ。旧姓・丸山。長野県短大卒業後、金融機関で働き、2007年に結婚し大阪へ。09年に帰郷し、11年長男誕生。12年からフォトスタジオシャレニー外部スタッフに。13年議会政策サポーター就任。14年長女誕生。現在は町総合戦略会議、子育て応援会議、ICTを活用した最先端農業技術研究に関する実証実験事業、公民館報編集委員を務める。