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IIZUNA 100 PROFESSIONAL PEOPLE

015 田中建築株式会社代表取締役 田中慎也さん

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子育てに最適な町を目指し、
町内のつながりを強めていきたい。

創業68年を迎えた「田中建築」の3代目代表を務める田中慎也さん。27歳で入社以来、社内改革に努め、地域の信頼を獲得してきた。現在は積極的な情報発信を心がけ、建築士の立場から地域の未来を見据えている。

 「家づくりはお客様にとって一生に一度のこと。高いお金を払っていただくので、信頼をしてもらわないとできない仕事です。だからこそ、やりがいも責任もありますし、うちで家を建てたお客様には絶対に幸せになってもらいたいですね」
 祖父と父が大工の家で育ち、昔は家業が嫌だったという田中慎也さん。しかし、大学受験失敗を機に建築系専門学校に進学し、卒業後は中野市の建設会社で働いた。仕事の多くは公共工事やコンビニエンスストアなどの工事の請負だったが、一軒の個人住宅の担当になり、施主の顔が見える家づくりに喜びを覚えた。そして、次第に実家の仕事に興味をもち、20代後半で家業へ。当初は大工見習いをしていたが、1年ほど経った頃から経営者研修を受け始め、会社や経営者のあり方を勉強。仕事への思いを振り返るなかで、高校生の頃、父が家を建て、かわいがってもらっていた若いご夫婦が、数年後、金銭問題か何かで家を手離してしまった記憶がよみがえったという。
 「私たちは家をつくり、住み続けてもらい、家族に幸せになってもらうことで初めて本当の仕事をしたと言えると思いました。そして、家づくりの前段階、特にお金の話が大事だと思い至ったんです」

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無垢材、特にヒノキは伐採後200年の間に強度が増すことから、無垢材や自然素材を使った家づくりを手がける田中建築。2017年で創業68周年を迎え、田中さんは100年続く会社にすることを目標に掲げる。

 そこでファイナンシャルプランナーと提携し、施主の人生設計や資金計画も考えた家づくりを展開。また、会社には経営理念が必要だと感じ、社内で議論を重ね「木のぬくもり、人のぬくもり、幸せあふれる家づくり。」という理念を作った。さらに社員にも勉強会に参加してもらうことで、反発があったり離れてしまう社員はいたものの、結束力も高まり、勤労意欲や接客マナーも向上した。それが地域での信頼の厚さにつながったという。
 そんななかで田中さんが故郷の飯綱町に対し思うことは、町内の空き家対策と横のつながりの強化、そして情報発信だ。
 「今は空き家を改修して住みたい人の需要があるので、町の空き家を紹介して若い人たちが移住してくれればいいと思っています。そのためにも行政は僕ら民間企業とネットワークを組み、しっかりと情報発信をしてほしいですね。僕も町も互いに発信していけば、反応してくれる人はいると思うんです」
 田中さん自身も積極的にブログやSNSでの情報発信に努め、そこから入る仕事も多いという。
 「知らない会社には家づくりを頼まないように、飯綱町もまずは知ってもらうことが大事です。それに、未来のためには子どもたちが幸せに育つことが大切。だから、若者や子どもが増え、子育てに最適な町だと言われるように、私は家づくりに力を入れつつ、町の横のつながりも強めていきたいですね」

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10年間にわたって、地域の公民館で年1回「お客様感謝祭」を開催。お笑い芸人のライブなど、年々規模が拡大している。また、田中さんは地区の消防団やお祭りなどにも積極的に参加。異業種の仲間が増えることは楽しいという。

PROFILE

飯綱町東柏原出身。1977年生まれ。高校時代は数学教師を目指していたが、夢破れ建築の道へ。専門学校卒業後、中野市の建設会社に6年半勤務し、1級建築施工管理技士資格取得。2004年、家業を継ぎ、二級建築士取得。2014年、代表取締役就任。現在はファイナンシャルプランナー資格取得を目指す。1歳の娘の父でもある。

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