トップいいづなびとIIZUNA 100 PROFESSIONAL PEOPLEつくり手099 シャドーボックス作家・「アエリーのシャドーボックス工房」主宰 湯本千絵さん

IIZUNA 100 PROFESSIONAL PEOPLE

099 シャドーボックス作家・「アエリーのシャドーボックス工房」主宰 湯本千絵さん

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教室や作品展の開催を増やし、
飯綱町でもシャドーボックスの魅力を広く伝えたい。

17世紀ヨーロッパで始まり、その後アメリカで立体化され、額縁に入れる現在の姿になったというアート作品「シャドーボックス」。その魅力と出合い、講師の資格も取得した湯本さんは、作家として、また講師として広く活躍している。

紙から立体を作る面白さ

 「元はただの紙ですが、立体にすることで重さや躍動感、風の動き、できれば香りまで伝えたいな」
 こう話す湯本さん。「シャドーボックス」とは紙などに描かれた絵や模様を切り抜き、何枚も重ねて貼り合わせることで立体に仕上げるハンドクラフトで、陶器のような光沢や彫刻のような奥行きを併せもつ、不思議なアート作品だ。
 「好きな絵を立体にするので、絵が描けなくても取り組める気軽さがありますし、自分の手で絵を立体にしていくのは飛び出す絵本と近い楽しさがあります」
 かつては多忙な制作会社でデザインの仕事をし、結婚を機に退社。日中の空いた時間で習い事をしたいと見つけたのが高山村のシャドーボックス教室だった。
 「シャドーボックスは全く知らなかったのですが、好きな絵やデザインで立体作品が作れるというコンセプトが合っていました。紙の貼り方や紙を丸める技術は自由なので、同じ絵画を使っても作り手によって雰囲気が異なりますし、特に紙は裏から擦ればツヤが出るのが面白くてハマっていきましたね」

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一見すると陶器のようなシャドーボックスだが、横から見ると紙を立体的に貼り合わせているのがわかる。陶器のように見えるのは、紙の縁を専用の道具でなぞり、切り口を丸めることで紙の質感を消しているから。また「シャドーボックス・ラ・マーニ」認定講師として、国内最大級のシャドーボックス展にも出展しており、中央の作品は2015年に東京国際フォーラムで開催された「第5回シャドーボックス展」に出展したもの。制作には半年ほどを要した。右下は「第6回シャドーボックス展」に着けていくために、湯本さんが自分でイラストから制作した指輪とネックレス。なお、2018年は6月17日〜25日に、長野市松代町の旧樋口家住宅で教室展を開催。

制作の楽しさを広めたい

 講師の資格を取得後、周囲の要望もあり、現在は自宅教室のほか、長野市豊野町の「豊野温泉りんごの湯」と松代町、そして飯綱町の「いいづなアップルミュージアム」でも教室を開催している。生徒は小学生から年配者まで30人ほど。
 「生徒の皆様が、教えていくうちに上手になり、『楽しい』と喜んでもらえるのがうれしいですね」
 素材は紙だけでなく写真や布も使えるので、結婚式やピアノ発表会の写真を立体にしたり、結婚式用のウェルカムボードを作ったりと、生徒は自由に創作を楽しんでいる。
 「今は自分の息子が中学生になったので、もっと教室やイベントでのワークショップを増やしていきたいです。開講の要望はどんどん受けますよ(笑)。そして、長野県で少しでもシャドーボックスを広めていくことが目標。そのためにも、言葉ではなかなか魅力が伝わりづらいので作品展を開きたいですね。それに、飯綱町にはいろいろな作家さんがいるので、皆さんと集まる機会があったらいいなと思っています」

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上は「第5回シャドーボックス展」の様子。全国から200人ほどの出展者が集まる。下は「いいづなアップルミュージアム」で開催した教室展。アップルミュージアムでの教室は第1・3日曜の午後開講しており、参加費は1回1,500円。

PROFILE

飯綱町倉井出身、1979年生まれ。旧姓・高野。デザインの専門学校を経て、1999年長野市内の制作会社・株式会社イシワタグラフィックス入社。2004年結婚を機に退職し、シャドーボックスを始める。2013年「シャドーボックス・ラ・マーニ」認定講師の資格を取得。教室「アエリーのシャドーボックス工房」主宰。2015年ほおずき書籍より「はじめてのシャドーボックス」出版。

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