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IIZUNA 100 PROFESSIONAL PEOPLE

094 フリーランスデザイナー 宮原美佳さん

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都会と田舎、消費者と生産者、価値観の橋渡しになる
商品や観光資源の魅力発信をお手伝いしたい。

映像やメディアアートの分野で活躍し、農業にも携わりながら、農家の商品パッケージのデザインなども手がけてきた宮原美佳さん。家族で移住した飯綱町で、子どもの教育環境も考えながら、今までの経験を生かしたビジネスの方向性を見据えている。

楽しくデジタルで学ぼう

 2018年3月に行われた「いいづな事業チャレンジ発表会」。町の活性化を踏まえた新事業発表会で、2020年度から必修化される小学校でのプログラミング教育を念頭に、町の自然とデジタル教育をかけあわせ、3年間で町のデジタル教育の土壌を作りたいと提案したのが宮原さんだ。誰でも簡単に使えるプログラミング言語を使ったり、自然から感じた発想をアニメーションや絵本に表現したりすることで、プログラミングの面白さと可能性を感じられる教育プログラムの活用を提案し、優秀賞を受賞した。
 「プログラミングが学校教育に導入されても、教える先生や親ができないと立ち止まってしまう。そこで、プログラミングは意外と楽しくできると感じてもらえる状況を作りたいと思っています。今は情報をどう読み取り、制作物をどう人に伝えるかが大事な時代。その力を育めるプログラミングで、私の経験や人脈を生かせたらと考えています」

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長男の一篤(かずま)くんとプログラミング言語で遊ぶ宮原さん。下は宮原さんがデザインを手がけた愛媛県の米や野菜を作る農家兼店舗「あすも」の商品パッケージ。ネーミングも宮原さんが考えた。生産者の立場に立ったデザインや企画提案が評価され、売上は毎年10%ずつアップしているという。
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毎日、一篤くんと長女の花綸(かりん)ちゃんと近所を1時間散歩する。「子どもを適度に放置できる環境は東京ではありませんし、先日も息子が帽子を落としたら、ご近所さんがすぐに届けてくれました。昭和が上手に残る町のよさを大切にしつつ、デジタルなど新しいものの快適性を取り込んでいけたらと思っています」

自分の力を町で生かしたい

 大学時代に映像を学び、メディアアーティストとして活躍する傍ら、愛知や東京の大学でメディア論や映像制作、メディアによる人の心の動かし方などを教えた宮原さん。出産を機に退職後、「人付き合いが濃厚な田舎で子育てをしたい」という夫の希望もあり、2017年に飯綱町に移住した。
 「この町のよさは、中学生でも道ですれ違ったらあいさつするところです。また、長野駅から車で30分ほどの距離で、適度な数の住民がいて、お医者さんも複数あって、スーパーもある。小さすぎず大きすぎない、こんなに素晴らしい近所付き合いもあるんだと思いました」
 そうした豊かな環境で子どもの想像力をデジタルで深めたい思いから、事業発表会では子どもたちがワクワクする学びと遊びを発表。しかし、実は宮原さんがビジネスとして見据えるのは、別の方向性だ。というのも、もともと実家が農家である縁から、農林水産省の事業「女性農業次世代リーダー育成塾」に参加し、知り合った愛媛県の農家の商品デザインなどを手がけているからだ。
 「消費者の気持ちの動かし方を考えたデザインで、どうすれば自分たちの思いや商品の魅力が伝わるかを考えている企業や団体、農家のお手伝いをしたいと思っています。それに、飯綱町の観光資源の魅力発信にも関わってみたいですね」
 今はこのデザイナー業と、以前から興味がある農業を軸に生計を立てること、両方の可能性を考えている宮原さん。全ての根底にあるのは「大好きな飯綱の魅力を高めるために役立ちたい」という純粋な思いだ。

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8人の応募者が一般公開の場で今後取り組みたい事業を提案した「いいづな事業チャレンジ発表会」。宮原さんは「ビスケット」や「ピッケのつくる絵本」がいかに簡単で創造的なプログラミング言語であるかを、4歳の一篤くんとタブレットを使って発表した。五感を使い、遊びを通じたアクティブラーニングを展開するのが宮原さんのアイデアだ。

PROFILE

千曲市出身・飯綱町栄町在住、1976年生まれ。2000年大阪芸術大学芸術学部映像学科卒業。2001年、2001アジアデジタルアート大賞インタラクティブアート部門大賞受賞。2002年岐阜県立国際情報科学芸術アカデミーアート&メディアラボ科卒業。愛知淑徳大学、東邦学園短期大学、早稲田大学文化構想学部での非常勤講師を経て、2017年7月、家族で飯綱町に移住。二児の母。

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