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092 インテリアコーディネーター 松木陽子さん

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子育てと仕事の経験を生かし、障がいがある人もない人も
心地よいと思える空間づくりを目指したい。

新築住宅のインテリアコーディネーターとして働き、木工作家の啓直さんと結婚して子育てに専念した松木陽子さん。10年ぶりにフリーランスという形で復職し、育児と両立させながら少しずつ活動を広げている。

自分らしい人生のために

 「10年ほど家族のことにかかりきりでしたが、自分の人生を考えた時、これで終わってしまうのは嫌だという思いが強くありました。自分らしく働く友だちや仲間を見て私も何かやりたいと、まずは今までの仕事、興味のあることから始めてみようと思いました」
 そんな思いから、インテリアコーディネーター(IC)として復職した松木陽子さん。もともとスキーウェアメーカーでパタンナーとして働き、大好きな雑貨を仕事に結びつけたいとICを目指してアルバイトをしながら資格取得の学校に通った。資格取得後は全国展開をするハウスメーカーに勤務。松本支社では新築の家を建てる施主への壁紙や床材、内装材を提案するICとして働いた。
 その後、木工作家の啓直さん(P56)と結婚。飯綱町に移住し、長女が障がいをもって生まれたことから子育てに専念しつつ、啓直さんの仕事を支えた。

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「最終的にそこにいる人たちの笑顔をイメージしながら、インテリアや素材を選んでいます」と話す陽子さん。「常に美しいもの、新しいものを見ることを大切にし、自分のセンスは信頼しています」。右の写真は陽子さんの復職のきっかけとなった、2015年に空間コーディネートを手がけた長野市のリハビリセンター「SONA」。「さんちゃん」のレストランでも、客層や空間の雰囲気、気持ちよく働けるイメージやスタッフとゲストの笑顔を想像しながら、一つひとつ丁寧に選んだという。

育児経験も生かす仕事へ

 しばらくは家族のために忙しい日々を過ごしていたが、転機は長女が通っていた病院の理学療法士の独立開業だった。待合室に置く家具のセレクトや内装を依頼されたことから、かつての情熱が再燃した。
 「資格があるだけで、経験もスキルも大してなく不安もありましたが、何より前に進みたいという気持ちが強く、勇気を振り絞って一歩踏み出しました」
 再び始めたICの仕事は楽しく、母親や妻という役割以外の自分がいたことを思い出せ、とてもうれしかったという。そして、とあるフリーペーパーの飯綱町特集でICとして紹介されたことが町役場の目に留まり、さみず農産物直売所「さんちゃん」に隣接する形で2018年4月にオープンした農家レストランのインテリアを任されることに。少しずつフリーランスという形でICの仕事が広がっている。
 そんな陽子さんの今後の展望は、障がいがある長女の育児の経験も生かしながらICとして働くこと。
 「病院や施設など、障がいの有無に関わらず、どんな人でも心地よいと思える空間づくりを手がけてみたいです。障がいについては今まで人に言えない部分でしたが、今はこれが私の強みだと思い、子育てで感じたこと、考えてきたことを生かした仕事ができたらと思っています」
 そのためにも、同じような境遇や悩みを抱える仲間とつながりたいと話す陽子さん。これまではなかなか参加したいと思う集まりがなかったため、いずれは自分発信の集いも考えつつ、つながりをもつことがこれからの目指す姿だ。

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家具については夫の啓直さんに相談も。「家具のことは本当にお任せできるので、その点も私の強みですね。恥ずかしいのでアピールしていませんが、恥ずかしがっている場合じゃないですね(笑)」

PROFILE

新潟県妙高高原町出身・飯綱町川上在住、1976年生まれ。服飾の短期大学を卒業し、スキーウェアメーカーに就職。服飾部門でパタンナーとして働き、インテリアコーディネーター(IC)の資格取得のために帰郷。アルバイトをしながら学校に通い、資格取得後はハウスメーカーの長野支社で住宅展示場アドバイザーを経て、松本支社でICに。2002年結婚。出産・育児を経て、2011年、家族で飯綱町に移住。3人の子育てをしながら、2015年よりフリーランスのICに。

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