飯綱町で100%エコロジーでナチュラルなハチミツと
化学的な農薬に頼らない環境システムをつくりたい。
スペインで祖父の代から養蜂業を営む家庭で育ち、山岳ガイドを務めつつ、ミツバチの研究をしてきたガヤルドさん。旅行で訪れた日本の美しさに魅了され、2015年からは飯綱町を拠点に養蜂に取り組んでいる。
養蜂と山の知識を生かして
スペインで代々養蜂業に取り組む家に育ち、18歳から山岳ガイドの勉強をしたガヤルドさん。20歳の時にエコツーリズムや環境教育を含む多彩なアクティビティを提供する会社で環境保全事業を手がけ、23歳で養蜂と山岳の知識を生かし、スペイン・パンプローナ地方の環境博物館でEUの自然保護地域ネットワーク「NATURA2000」のコーディネーターに。ヨーロッパのミツバチにとって大問題となっている攻撃性が強い外来種のアフリカミツバチの侵入を研究。アフリカ南西部のモロッコやモーリタニアでの緑地減少や化学工場の増加がその原因で、特にネオニコチノイド系農薬に問題があることを突き止めた。
夢のエコバレー構想
日本初訪問は2011年。北海道を中心に旅し、美しい自然に感動した。1年後に再び訪れ、長野も旅行。そして、山岳ガイドは年齢に限界があるため養蜂家になると決め、2015年に飯綱町に移住した。
「北海道はとても好きだけど、交通の便が悪い。長野は東京も大阪も近く、日本の真ん中、自然も豊かで人もいいです。特に飯綱町は国立公園が近く、白馬や志賀高原、妙高などのスノーリゾートも行きやすく、広い土地を安く借りられます」
今はミツバチの行動範囲である半径2km内に田畑がなく、農薬の影響を受けにくい芋川地区で養蜂し、「クマハチミツ」の商品名で販売。今後は同地区で3000平米の環境保護区をつくろうと奮闘している。 「一番重要なのはケミカル(化学)がないこと。例えばヨーロッパではイリーガル(違法)なケミカルも、日本では使えます。情報がないのが大きな問題です。今、世界にはケミカルに頼らない新システムがあるけど、日本のシステムを変えるには時間がかかり、勉強が必要。私はそのために役立つことができます」
そのためにも芋川地区でラベンダーを育て、防虫効果が高いラベンダー精油を作る予定。日本ではオーガニックのピュアハチミツは高価だが、このシステムなら手頃な価格で販売できるという。これを地域で広め、環境と暮らしが調和するエコバレーをつくることがガヤルドさんの目標。飯綱町で夢が広がっている。
PROFILE
スペイン出身・飯綱町東高原在住。1984年生まれ。父はスペイン人、母はフランス人のハーフで、養蜂業を営む家庭で育ち、2002年からはラフティング、カヌー、スノーボードガイドとして活躍。2004年にNattura Navarra社で環境保全事業を展開。2007年から「NATURA2000」でヨーロッパミツバチと環境問題を研究。2011年・12年と旅行で日本を訪れ、2015年に飯綱町で「クマハチミツ」設立。