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080 しなの鉄道株式会社 代表取締役社長 玉木 淳さん

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鉄道会社として地域と連携することで、
沿線の魅力を発信しながら地域と会社を盛り上げたい。

1997年の長野新幹線開業と同時に、在来線を引き継ぐ形で開業した長野県の第三セクター鉄道会社・しなの鉄道。2016年に社長に就任した玉木淳さんは、沿線市町村との連携を深めながら、地域の活性化と路線の存続を長い目で見据えている。

「飯綱モデル」を各地へ

 2015年、北陸新幹線金沢延伸開業に伴い、信越本線長野駅〜妙高高原駅間の経営がJR東日本からしなの鉄道に替わり、路線名が北しなの線に変更。その後、飯綱町では牟礼駅にヤギ駅長が就任し、入場券購入者が大幅に増えたほか、“りんごの町”のPRと鉄道の利用促進を目的にりんごの絵画がラッピングされた列車が運転されるなど、さまざまな事業が展開された。
 「当社だけではできないことも、地域の力を借りると大きな取り組みになります。飯綱町では何よりも町の皆さんと一緒に企画ができ、地域が駅を大切に使おうとしてくれていることが重要でした。いろいろな自治体との関わりのなかでも飯綱町は特に積極的で、非常に近しい存在に感じています」
 今後、人口減少による利用客減少や車両老朽化による入れ替えなど、鉄道会社だけでの経営維持は限界があると話す玉木さん。町が駅を盛り上げる飯綱町の取り組みを「飯綱モデル」とよび、同様の動きを他市町村でも広げたいと話す。

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飯綱町ではヤギ駅長の就任式や芸術家・田窪恭治の作品「イイヅナのリンゴ」ラッピング列車の出発式に出席した玉木さん。このラッピングにより、他市町村からの問い合わせが増えたという。また、今後運行する軽井沢駅からの臨時列車は黒姫駅まで走る予定で、従来、軽井沢ー牟礼間は乗り換えが必要なため2時間30分ほどかかるが、臨時列車なら1時間23分で到着するという。

都会の観光客を北信濃へ

 玉木さんは地方創生に注力する東京海上日動火災保険からの出向として、2016年にしなの鉄道社長に就任した。同社は歴代社長の多くが八十二銀行やエイチ・アイ・エス等の民間企業出身で、次の社長を相談された長野県出身の東京海上日動・北沢利文社長が、本社で中小企業向け保険を開発し、地方創生に思いのあった玉木さんを抜擢した。
 全く畑違いの仕事で玉木さんが最初に行ったひとつが、管理職以外の社員240人全員と面談し、社長として何をすべきか聞くこと。
 「地元から大切にされるしなの鉄道の存続のためには、社員がやりがいを感じる環境を整えながら、経営戦略を考えることが私の使命です」
 その戦略のひとつが、都会から年間840万人が訪れる軽井沢駅から北しなの線までの臨時列車運行。
 「北しなの線沿線には都会にない魅力がたくさんあります。特に農産物のおいしさは私にとって発見だらけ。ところが全国には意外と知られていないのでチャンスです。地域と連携し、軽井沢の観光客を北しなの線沿線に取り込みたい。運行日は地域と協議して決めていくので、例えばりんごまつりやシードルのイベントの日に運行するなど、町を活性化するアイデアをどんどんもってきてもらえたらうれしいです」  保険会社で培った多彩な視点で、全力で地域と仕事に向き合う玉木さん。列車にも負けないスピードで鉄道業界を駆け抜けていく。

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人気観光列車「ろくもん」など、独自の展開を果たしているしなの鉄道。沿線の農産物に魅了された玉木さんは、2018年3月にリニューアルした軽井沢駅に新設した森の小リスキッズステーション in 軽井沢に飯綱町を含む沿線市町村のアンテナショップ・小リスのマルシェを設置した。「軽井沢という市場と飯綱町を結びつける体験で、りんご狩りなど町を訪れるきっかけにつなげられたら」と話す。

PROFILE

新潟県新潟市出身、1970年生まれ。上智大学卒業後、東京海上日動火災保険株式会社入社。福井、名古屋、長崎の勤務後、2005年より本店広域法人部勤務。中小企業向けに商工団体と連携した保険制度を立ち上げるなど、中小企業支援に注力。2016年、東京海上日動の地方創生への戦略として、しなの鉄道株式会社の代表取締役社長に出向。

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