飯綱町の魅力を未来に継承する仕組みづくりと
リーダーの誕生に期待しています。
安倍政権の成長スローガンのひとつ、「地方創生」。小澤勇人さんは政府の地方創生人材支援制度により、2015年7月から2年間、総務省から飯綱町に派遣され、副町長として人口減少社会に対応したまちづくりに取り組んだ。
反応がある仕事は楽しい
町内巡回バスの運行や、長野市と飯綱町を結ぶ長電バスの交通網維持と赤字解消に向けた貨客混載(乗客と一緒に貨物を運送する、ヤマト運輸と長電バスの連携事業バス)、りんご農家の収入安定も踏まえたサンクゼール・ワイナリーのカルヴァドス蒸留機の導入、女性の活躍を目指した飯綱町女性会議やワークセンターの設置、子育て応援のための誕生祝金と記念品の贈呈、卒園・卒業等祝金の支給、牟礼駅のヤギ駅長による乗降客数の改善、高齢者の健康増進と集いの場の創出になった各公民館へのパワーリハビリの導入、産官学連携や周辺市町村との事業連携、「第1回地方創生まち自慢大会」での町の魅力のラップ披露、そして政府の「まち・ひと・しごと創生法」に基づくまちづくりの5年計画「飯綱町まち・ひと・しごと創生総合戦略」と、その構想実現のための全国トップ級の交付金支給などなど…。小澤さんが飯綱町に赴任していた2年間で携わった事業は数えきれない。
「振り返ると、飯綱町で多くのことに挑戦できました。その原動力は、純粋に現場に近い仕事が好きで楽しいということに尽きます。町民の方からは、今も相談いただくことがあり、自分の仕事に反応があることにはやりがいを感じましたね」
町の魅力を残すために
もともと総務省で法律を制定する業務に携わり、苦労した反面、市井の反応が得られないやるせなさを感じた小澤さん。以前から地域活性化に興味があったことから、政府の地方創生人材支援制度により飯綱町に赴任した。
「総務省から小さな町への派遣はそうないので、ワクワクしました」
そして、多くの町民と会い、行事に顔を出し、周辺市町村の代表者と交流もしつつ町の課題を汲み取り、たった2カ月で5年計画を策定。町の試みは当時の石破茂地方創生担当大臣などからも評価され、多くのメディアにも取り上げられた。
現在は総務省で「地方創生コンシェルジュ」として長野県全体の相談・支援役を担当。そんな小澤さんが今、飯綱町に思うこととは─。
「若い方が生き生きと活躍できる形で、秋祭りやどんど焼き、公民館活動や郷土料理など、長年培った地域のよさを大切にしてほしい思いは強くあります。東京にはない町の魅力は、今後絶対武器になり、それを簡単に手放すとどこにでもあるような町になってしまう。そのためにも、若い方が楽しみながら継いでいきたいと思える仕掛けづくりができるリーダーが一人でも増えることを願っています」
PROFILE
東京都出身、1985年生まれ。2008年東京大学法学部卒。同年総務省入省。徳島県企画総務部財政課、情報通信国際戦略局通信規格課での通信規格の標準化、法令改正などの経験を経て2015年7月飯綱町に赴任。2016年1月副町長に任命される。2017年7月退任。現在は総務省行政管理局副管理官(独立行政法人評価総括)と長野県の地方創生コンシェルジュを兼務。