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007 野菜ソムリエ KAORU(小林かおる)さん

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東京から全国に向けて
飯綱町の魅力を発信していきたい。

野菜や果物の知識をもち、おいしいレシピや食べ方を人に伝える野菜と果物のスペシャリスト「野菜ソムリエ」。全国で第一号の資格取得者として幅広い分野で活躍してきたKAORUさんは、今、地元・長野県や飯綱町の暮らしを伝える仕事に目を向けている。

 「大学進学で東京に出たら、スーパーに並ぶ野菜の鮮度や生命力が地元のものと全然違ったんです。味わいに力強さがなく値段も高い。今までどんなに恵まれた食生活をしていたか気付きました」
 その衝撃によって、周囲から「野菜オタク」と言われるほど野菜に詳しくなったKAORUさん。大学卒業後、最新情報が飛び交うラジオ局の報道キャスターを務めていたなかで「野菜ソムリエ」の資格ができたことを知り、周囲の後押しもあって、2002年に日本初の資格取得者に認定された。
 その後は日本野菜ソムリエ協会とともに、第一人者として後進育成や情報発信、メディア対応、企業や行政との商品開発など、多彩な仕事に従事。そんななかで、次第に「自分の経験を生かし、原点となった長野県や飯綱町に恩返しをしたい」と思うようになった。そこで、野菜ソムリエの認知が広まり認定者が5万人に達したため、次のステップに移り、現在は東京を拠点に、地元のためのさまざまな活動を展開している。長野県のアンテナショップ・銀座NAGANOやJA全農、長野県各地の自治体などとの仕事のほか、産地取材で長野県を訪れることも多い。

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銀座NAGANOでは、農水省の料理人顕彰制度「料理マスターズ」で全国に5人しかいないシルバー賞の受賞者に選ばれた料理人の北沢正和さんとのコラボイベントが活動の軸になっている。長野県が一丸となって作っているイベントで、料理人と野菜ソムリエの立場から、世代が違うふたりが長野の健康食や暮らし、健康長寿の秘訣などを伝えている。

 「何もないと思って出た飯綱町でしたが、地元のありのままの暮らしが東京ではとても価値があり、人々は心動かされると知りました。それに、自分たちの魅力はどうしても気付かないものですが、外部からの高評価は地元の人の元気や仕事のやりがいにつながります。だから、私は東京から全国に長野県や飯綱町の魅力を発信していきたいんです」
 だからこそ、KAORUさんが飯綱町に期待するのは「自分たちの暮らしに誇りをもってほしい」ということ。そして、移住者などの新しい風を柔軟に取り入れ、自分たちが築いてきた文化を伝え残す仕組みをつくっていくこと。そのうえで、KAORUさん自身としては自然や暮らしを生かしながら人を呼び込める企画やシステムをつくりだせたら、と考えている。
 「たとえば都会の人を招き、自然や気候によってつくられるものを紹介するツアーなど、町とどこかをつなぎたいですね。それも飯綱町だけが孤立するのではなく、周辺市町村で協力できるようなつながりをつくり出せたらと思っています。そして、長野県全体の横の連携も充実させ、人のつながりから生まれる発見や感動を増やしていきたいですね」

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自分が発信するうえで、地元の人や生産者の気持ちに寄り添うことに気を遣い、幸せでうれしいと感じてもらえることを大切にしていると話すKAORUさん。「今は自分の実体験から生まれる自分らしい情報発信ができるので、本当に伝え残したいことができる形に近づいてきています」

PROFILE

飯綱町普光寺出身。1975年生まれ。大学時代は日本テレビの報道局でアルバイトをし、卒業後、SONYの広報PR、T&Gの立ち上げを経て、ラジオ局の報道キャスターに。2002年に日本第一号の野菜ソムリエ資格取得。2006年頃まではラジオ局の仕事も継続。2016年3月、日本野菜ソムリエ協会を離れ、フリーランスで活動を開始。著書に『干し野菜手帖』『野菜たっぷり!サンドイッチレシピ』(ともに誠文堂新光社)など。

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