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005 南インド料理カフェ「MON marushime」北野浩康さん・華奈さん

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いずれは自給農を少しずつ拡大し、
飯綱町内での店の周知も進めていきたい。

世界一周旅行中に南インドで出合った料理「ミールス」に魅了され、飯綱町福井団地に店を開いた北野浩康さん・華奈さん夫妻。こだわりの食材を使い、自分たちのスタイルを確立しながら、町に根ざした営業を目指している。

 「ミールス(Meals)」とは、南インドで食べられる定食のこと。カレーとナンのような北インド料理とは異なり、複数のスパイス料理とライスをすべてひとつの皿(本場ではバナナの葉)にのせて食べる。野菜をふんだんに使うのでさっぱりした味わいが特徴だ。そんな「ミールス」を飯綱町で提供するのが、2015年4月にオープンした「MON marushime(モン マルシメ)」。営むのは、東京でIT関係の仕事を退職後、2年弱の世界一周旅行のなかで「ミールス」に出合った北野浩康さん・華奈さん夫妻だ。
 「もともとカレーは好きでしたが、店によっては胃もたれをするので体に合わないと思っていました。でも『ミールス』は野菜中心でおいしくて。ほかの国でもいろいろな料理は食べましたが、飽きない料理は『ミールス』でした」(浩康さん)

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バナナの葉に見立てた皿に小さな器のスパイス料理が並び、ごはん(米)と混ぜ合わせて食べる「ミールス」。具材の組み合わせで味わいが異なり、米や料理はおかわりもできるので満足感が高い。

 そこで、カナダでは農業ボランティアも体験したことから、帰国後は「半農半X(自給農と生きがいとなる仕事=Xを両立した生活)」を考え、飲食店で働きながら農業の実現のために山梨や北海道で物件を探した。しかし、希望に合うところが見つからず、最終的に決めたのが、華奈さんの両親のセカンドハウスがあった現在の場所だった。
 そして、2013年、Webで探した長野市の建築士・宮本圭さんに設計を依頼。施工は町内のツチクラ住建が請け負い、左官や什器製作などの内装は自分たちの手で半年以上かけて仕上げた。オープン後は口コミを中心に噂が広がり、現在は長野市や近隣市町村からの来店が多く、時には県外ナンバーの車も見られるという。先日は90歳近い女性が訪れるなど年齢層も広く、リピーターも多い。多様な食文化が溢れる都会での営業と違い、一般的な洋食ではないため好みが分かれる難しさは感じるものの、「ミールス」を知ってもらえたり、自分がおいしいと思うものに共感してもらえることはうれしいという。
 「僕の場合は自分で料理を作って提供しているので、その場で反応が返ってくることは緊張します。でもおいしければおかわりをしてもらえますし、スリルも充実感もあって面白いですね」(浩康さん)

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帰国後、東京で南インド料理の有名店で、数カ月間勉強をした浩康さん。「ミールス」は浩康さん、デザートは華奈さんが担当。

 食材もこだわり、輸入でしか手に入らないココナッツは有機ブランドのものを使うなど、納得したもののみを使う。結果、食材原価は高くなるが妥協はしない。野菜も、長野県産や国産野菜を選定し、少しずつ自分たちで育てた野菜も使っているほか、町内で有機・無農薬栽培に取り組み、珍しい野菜も手がける「農園 智羅」の野菜も使用している。今後は自給農の割合も少しずつ拡大し、飯綱町内で店の周知も進めていけたら。そんな願いを込め、ブレないスタイルで営業は続いていく。

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外観は南インドの漁師のボートハウスをイメージし、細長い土地を生かす間取りは建築士の宮本さんと考えた。「宮本さんはフットワークが軽かったし、ツチクラ住建さんも含め、僕たちのDIY(自作作業)で仕上げたい思いを汲んでくれ、感謝しています」

PROFILE

浩康さんは北海道出身。華奈さんは東京出身。都内のIT関連企業で仕事仲間として出会い、2006年に結婚。2009年に退職し、東回りで世界一周旅行へ。2011年6月帰国。移住先を求め一時は山梨にも住んでいたが、2013年に飯綱町にあった華奈さんの父母宅への移住を決意し、改修を開始。2014年移住。2015年4月オープン。

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