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003 小さな癒しの宿sinra 遠藤良雄さん・美代子さん

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町のよさが広がることが
活性化につながると思っています。

長野県内の、とある宿で心身の疲れが癒されたことをきっかけに、りんごがおいしかった飯綱東高原で宿を始めた遠藤さん夫妻。自分たちが居心地がよいと感じる空間を大切に、りんご作りもしながら飯綱町の魅力を発信し続けている。

「ストレス社会」といわれる現代。多くの人が何らかのストレスを抱えている。飯綱東高原にある「小さな癒しの宿sinra」は、自然を感じながらゆっくりと過ごすことで日常をリセットし、本来の自分に戻ることを目的とした宿だ。宿泊は1日3組、10名まで。部屋にはテレビも新聞も時計もない。宿泊者はリラクゼーションセラピーマッサージを受けながら、地元野菜を使った料理を楽しみ心を解放する。
 営むのは、遠藤良雄さんと美代子さん夫妻。美代子さんはかつて、仕事の無理がたたって心身のバランスを崩し、気持ちを安らげるために1カ月ほど長野県の白樺湖にあるペンションで住み込みで働いた。次第に「この道なら楽しく生きていける」と実感したという。

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飯綱東高原の元ペンションを町の業者とともに約2カ月かけて改修。ゆっくり過ごせるよう部屋数を減らし、部屋の明かりや食器にもこだわった。食事は味覚が鋭い美代子さんが厳選した地元野菜を使い、自分がおいしいと感じ安心して食べられるものを提供。「sinra」の名称は「森羅万象」からとった。

 「宿には料理やおもてなしなど、私の好きな要素が詰まっていましたし、朝夕は景色を見ながら散歩をして元気をいただきました。だから、今度は私がこういう宿を提供したいと思ったんです。セラピーの資格もあったので、それを組み合わせたらいい、私がやりたいことはこれだと思いました」(美代子さん)
 そこで、長野県内で開業する場所を探し回り、Web上で現在の物件を見つけたという。
 「飯綱東高原の場所も知らなかったのですが、調べると以前、道に迷い偶然たどり着いた、衝撃的においしいりんごを販売している直売所近くだとわかりました。そのりんごは人生で一番おいしくて忘れられずにいたんです」(美代子さん)
 そこで、その翌日、現地を訪れ即決。2013年にオープンした。現在、宿泊客の大半は首都圏からだ。
 「みなさん『信州にこんなにいい場所があったのか。価値観が変わった』と笑顔で帰られます。本当に今の時代に求められている環境がここには揃っています」(美代子さん)
 また、人の縁でりんご農家を紹介してもらい、今はりんごも栽培している。そんなふたりが考えるのは、飯綱町の魅力を移住者目線で発信し、日々楽しく過ごすことで地域活性化につなげていくこと。  「よそから来た者にとって、ここには溢れんばかりの魅力があります。それを町の人が再確認したら、魅力はもっと豊かに溢れてくるんじゃないかな。それに、私たちは移住してさらに町の魅力がわかってきたので、知っていることはすべてお客様に伝えています。町のよさが広がることが活性化につながると思っています」(美代子さん)

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もともとりんごが好きだった美代子さんは、長野県でりんごが木に実る様子を初めて見て、夢中になるうちに道に迷い、偶然、飯綱町の直売所にたどり着いたという。現在は宿で提供するほか、畑での収穫体験も実施し、農協にも出荷している。

PROFILE

良雄さんは東京都出身、美代子さんは京都府出身。ともに1972年生まれ。石川県で働いていたが、2012年夏、美代子さんが白樺湖のペンションで働いたことを機に、長野県での開業を決意。同年12月に単身で佐久市に移住し、県内各地で物件を探した。2013年5月に現在の物件と出合い、9月にふたりで完全移住。同年11月11日オープン。現在は飯綱町北川で40本ほどのりんごも栽培。

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