飯綱町を、外国人が来て
楽しめる町にできたらいいですね。
地域おこし協力隊として飯綱町でインバウンド(外国人旅行者の誘致)事業を展開する植田さん。これまでの経験を生かしながら、今まで町にはなかった新たな視点で情報発信をし、飯綱町の魅力づくりを考えている。
人口減少や高齢化などが著しい地方で地域外の人材を受け入れ、地域活動を行ってもらうことで定着を図る「地域おこし協力隊」。明るい笑顔が印象的な植田さんは、飯綱町の地域おこし協力隊員として、3年の任期で飯綱町にやってきた。
香川県から名古屋の大学に進学し、休日には南アルプスや上高地で登山を楽しみ、海外旅行にもよく出かけた植田さん。卒業後は名古屋で就職するも、なんとか自分の能力を生かしつつ、好きな長野で働く手段はないかと考え、2016年、インバウンド事業で募集をしていた飯綱町の協力隊員に着任した。
しかし、町ではインバウンドの実績がなかったため、活動はゼロからのスタート。そこで、まずは海外の友人を町に招いて反応を確かめたほか、情報発信が必要だと感じ、FacebookやInstagramなどのSNSを活用して町の景色を発信した。
「やはり飯綱町の雪景色はきれいですね。初めて雪が降った日は駐車場ですらきれいだと感じました」
そうしたなかで、2017年2月には外国人向けのモニターツアーも実施。1週間、飯綱町に滞在してスキーやワカサギ釣りなどを体験してもらうもので、これにより植田さんは、外国人に町を楽しんでもらう手応えを感じたという。そして今、植田さんが計画しているのが、町に住む外国人50人ほどを集めたサミット会議だ。
「この仕事は楽しいのですが、相談相手がいない難しさもあります。そこで、この会議で外国人目線の意見や好みを聞き出したいですね。外国人同士のコミュニティも生まれたらいいと思っています」
4月には第一回を開催し、その後は月に一回、開催予定だ。そして、最終的に目指すのが、町から求められている「町内の空き家を活用した外国人向けのゲストハウス(宿泊施設)をつくる」こと。
「ゲストハウスができるのは町が盛り上がっている証拠ですが、そのためにはやるべきことがたくさんあります。場所探しもそうですし、外国人が楽しめる環境もつくらなければいけない。完成しても外国人のリアクション次第なので答えが見えない難しさもある。それでも、長い目で見て結果がついてくればいいと考えています」
町民にとっては当たり前の風景や暮らしでも、移住者だからこそ見えるものがあるに違いない。新たな開拓の可能性は広がっている。
PROFILE
香川県高松市出身。1987年生まれ。愛知学院大学に進学し、大学時代はサッカー部で全国大会に出場。卒業後は南米大陸への半年間の旅行を経て、名古屋市のスターバックスコーヒーで5年間勤務。2016年6月に飯綱町地域おこし協力隊員に着任。