トップいいづなびとIIZUNA 100 PROFESSIONAL PEOPLEつくり手001 パークプロデューサー 岩村和彦さん

IIZUNA 100 PROFESSIONAL PEOPLE

001 パークプロデューサー 岩村和彦さん

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飯綱の地形を生かすことで、
このスキー場ならではの色を出したい。

プロスノーボーダーとして国内外で活躍し、スキー場のパーク作りを手がけるようになった岩村和彦さん。昨シーズンからは地元、いいづなリゾートスキー場にも携わり、ほかとは差別化したパークのプロデュースに挑んでいる。

 雪面を駆け抜ける高揚感、ジャンプやトリックを決めた時の達成感。そんなスノーボードの魅力にのめり込み、プロスノーボーダーになった岩村和彦さん。時を経て、現在はジャンプ台やレール、ボックスなどが設けられたスキー場内のコースを作るパークプロデューサーになり、2015年からは地元「いいづなリゾートスキー場」のパークも手がけている。目指すのは地形に合わせたパーク作りだ。

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圧雪車を使い、毎日、朝の開場前とナイター前後にパークの整備をしている。プロスノーボーダーだった頃は巨大なジャンプ台を楽しんでいたが、現役を離れ自分でパークを作るようになると、幅広い世代に楽しんでもらえるパーク作りを考えるようになり、新たな目線も加わったという。

 「基本的に飯綱は初心者向きですが、ゲレンデが比較的広いので、滑走の流れを止めずにパークに入り、自分でスピードをコントロールしながらジャンプやアイテムをこなしていくイメージで作っています。近隣のほかのスキー場のパークとかぶるのは面白くないし、お客さんの取り合いにもなってしまうから、ここの色を出すことは意識していますね」
 そもそも岩村さんがスノーボードを始めたのは高校生の頃。毎日のように「いいづなリゾートスキー場」で滑るうちに、スノーボードショップやメーカーとスポンサー契約をしているライダーと知り合い、その道を目指すようになった。そして、18歳の時に大会で上位に入り、ショップライダーに。その後、国内最大手のプロスノーボードチーム「ファーストチルドレン(FC)」に声をかけられたことでプロスノーボーダーとなり、冬は国内の大会に出場、夏は海外で撮影をする日々を送った。
 転機は6年前。FCでイベントやスクールを企画していた北志賀小丸山スキー場からゲレンデのプロデュースを依頼されたこと。この時、30歳という現役の継続が難しい年齢になってきたこともあって、パークプロデューサーに転身した。
 「小丸山は緩斜面でゲレンデも小さいため、どうしても一般的なコースになりがちですが、飯綱は多様な挑戦ができる反面、まだ地形を把握し切れていないから、面白そうなアイテムを置いても合わなかったり。今は試行錯誤の段階です」
 そうしたなかでも来場者に楽しんでもらえることが岩村さんの喜びであると同時に、期待に応えなければというプレッシャーにもなっている。
 「やはり、結局は売り上げにつながらないといけませんからね。それに、今は若い世代のスノーボード人口が減ってきているので、ここに滑りにきたことがきっかけで、スノーボードを楽しむ人が増えたらうれしいです。だからこそ、今はなんとかこのパークを面白い方向に近づけたいと思っています」
 飯綱の雪で育ち、戦う岩村さん。確かな目標をもってパーク作りに挑む力強い眼差しには、地元への恩返しともいえる決意を感じた。

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冬以外は実家で米作りを行う岩村さん。とある記事で、新潟県魚沼市のプロボーダーが無農薬栽培で米のコンクール日本一になったことを知って以来、無農薬の米作りに興味をもっている。「地域で農業をやっている同世代の知り合いがいないので、新しいことをやれるような相談ができる仲間がいるといいですね」

PROFILE

飯綱町普光寺出身、長野市在住。1980年生まれ。高校時代からスノーボードを始め、18歳でショップライダーへ。その後、スノーボードチーム「ファーストチルドレン」所属ライダーとなり、2011年から北志賀小丸山スキー場のパークをプロデュース。2015年よりいいづなリゾートスキー場も手がける。冬以外は家業の農機具修理を手伝いつつ、米作りも行う。

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