飯綱町普光寺西部の高台にあるお寺、阿弥陀寺。「音楽の力で心に活力を! 元校長先生で住職のサックス演奏者 久遠峯志さん」の記事に登場した久遠さんのお寺です。生ビールが美味しい夏の日の夕方、本堂から聞こえてくるのはジャズのリズム。
翌日は「音楽堂MAMI(※1)」でライブが行われました
本堂には椅子が並べられ、すでにご近所の方たちで満席です。ソフトドリンクのほか、日本酒やワイン、生ビールなどのアルコールも用意されていて、迷わず生ビールをチョイス。周囲の方と歓談を楽しんでいると、ライブが始まりました。
お寺ライブだけあって、本堂のご本尊、阿弥陀如来への合掌礼拝から始まりました。それから見所や拍手のポイントなどなど、私のようなジャズ初心者に嬉しい説明がありました。「ジャズライブはまずその曲のテーマ(主題)のメロディーを演奏し、その後アドリブと呼ばれる即興演奏になります。この会場の雰囲気や、楽しい、嬉しい気持ちがアドリブに出てくるんですね。そこがアドリブのいいところで、今日この時しか味わえないアドリブを楽しんで聴いてください」。こう話してくださったのは、住職の久遠さん。オープニングは、〈明るい表通りで〉。演奏が始まると、観客の皆さんは静かに聴き入りました。
ピアノとダブルベースの演奏に、久遠さんのサックス、続いてドラムも加わり、ときにはボーカルも入って聴きごたえも見ごたえもたっぷりのジャズライブとなりました。会場がお寺であることを忘れてしまうくらい、観客の皆さんはジャズのリズムに引き込まれていたと思います。
「去年に引き続きここに来られて幸せです。はじめは皆さん硬い感じだったけど、だんだん盛り上がってとてもいい雰囲気になりました。最後には一体感がありましたね」と話してくれたのはジャズピアニストの深澤芳美さん(※2)。母の羽織を解いて仕立て直したというドレスがとても素敵でした。
ダブルベースの演奏と同時にボーカルもこなす田野重松さんは、演奏中の楽しそうな笑顔がとっても魅力的で印象に残りました。「阿弥陀寺に来るのは今回で3回目。とても楽しかったです。お客さんたちもいい感じでしたね。“この曲は昔よく聴いたよ。懐かしい”と声をかけてもらいました」。
スペシャルゲストとして登場したドラムの四方田勇夫さんは、現役を退いたとはいえ、日本のビッグバンドの中でも長い歴史を持つ、「宮間利之とニューハード」で活躍していた方。四方田さんの演奏はとってもおしゃれで、パッと音を止めて観客の笑いを誘うような演出も素敵でした。
そして、何といっても皆さんが注目したのは、サックスの久遠さん。〈Now’s The Time〉でカッコよく会場をどっと湧かせてくれました。
「何回か一緒にやったことがあるんですけれども、今日が一番よかったですね」(田野さん)
演奏中、ピアノの深澤さんとベースの田野さんが何度も目を合わせる様子がありました。「曲のタイミングを合わせているときもあるし、“今の久遠さんの良かったよね”っていうような会話も目を合わせてしたりしています」(深澤さん)。
普段は厳かな本堂も、今夜はすっかりジャズハウスに。戦争によって引き裂かれた男女の愛を描いた名作〈ひまわり〉のジャズアレンジのしっとりした曲から、ビールのCMで聴いたことがある〈L-O-V-E〉のようなごきげんな曲まで、バラエティに富んだプログラムで、カッコいい大人の魅力にあふれたジャズの世界に夢中になりました。
休憩時間に本堂の外へ回ると、野沢温泉から人気のTOMMY‘Sバーガーのキッチンカーが来ていました。その場で焼いてくれるハンバーガーや唐揚げ、枝豆などのおつまみが並び、ついつい目移りしてしまいます。
TOMMY‘Sの真っ黒いバンズのチーズバーガー
小布施町でジャズバー&レストランを経営していたTOMMY‘Sのお父さん(左)。今回は息子に店を手伝ってと言われてゆっくり聴けなかったけど、楽しい雰囲気が最高だね」。小布施の寅さん(通称:右)と一緒に
ドラムの前で手拍子を合わせて盛り上がっていたのは馬島敦子教育長(右)と阿弥陀寺のご近所に住む丸山さん(左)
飯綱東高原から友人と来たというご婦人も「音楽は好きなの。近くでこんなイベントがあって楽しいし、来て良かったわ!」と満面の笑みでした。「またこういうことを、ちょいちょいやりたいなと思っています」と久遠さん。7月30日の15時30分からも、お寺ライブを企画しているそうです。
7月30日のお寺ライブに出演する小布施町生まれ中野市在住の演歌歌手、瀬名ひとみさん。今回のライブにも遊びに来ていました。久遠さんとは小布施にあったTOMMYさんのお店で知り合ったのだそう
ご近所で素敵な生演奏が聴けるなんて最高。久遠さんたちの演奏を体感してみたい方は、ぜひお寺ライブに遊びに行ってみてくださいね。
※1 音楽堂MAMI
※2 ジャズピアニスト深澤芳美