「いいづなって、おもしろいことやってるよね」
近隣の市町村の方から、こう言われることがよくあります。ほめられるのはうれしいけれど、意外と中の人の方が、町内で何が起こっているか知らなかったりしますよね。
最近は、廃校を活用した、いいづなコネクトEASTとWESTが有名になってきていますが、もうひとつ、まちの取り組みとして注目されているのが、「いいづなフューチャースクール」です。このプログラムは、自ら学び、行動できる人材を育成することを目的としており、子ども向けと大人向けに分かれています。近々、大人向けのイベントがあると聞き、担当者にうかがいました。
「大人向けは、ふだんなんとなく、こうだったらいいのにと思っていることや、やれたらいいなと考えていたイメージを、カタチにするための学びの場です」。
こう答えてくれたのは、2021年度から、(株)カンマッセいいづなでフューチャースクールを担当する佐久間崇さん。「でも正直、僕も最近までフューチャースクール(FS)のことが、よくわかっていなかったんです」。
FSは2019年からまちの事業として行われており、良い取り組みであるとは思っていたものの、自身も自分事として考えられていなかったと言います。
「ほとんどの人が、『起業とかするようなすごい人が参加するもので、自分とは無関係』と感じていたのではないでしょうか。でも、飯綱町のまちづくり会社である僕らが運営をすることになったからには、限られた人だけでなく、あらゆる人に興味を持ってもらえるプログラムにしたいと考えました」
スタッフ皆で検討した結果、自分が知っている人のことは興味が持てるし、親しみがわくのではないか、町内にだって事業を成し遂げた人はたくさんいる、とのことから、町内にいる起業経験者に、失敗や成功の体験談を聞く「ミート&グリート」が企画されました。
「ミート&グリートとは、著名人とファンが直に接する交流会の名称なんです。成功しているように見えるあの人も、実は苦労していたとか、小さなアイデアが発端だったと知ると、自分もやってみようかなって背中を押してもらえますよね」(佐久間さん)
三橋亮太氏
小野 司氏
大川直男氏
小林直樹氏
第1回の講師を依頼したのは、株式会社I.D.D.WORKS代表取締役 三橋亮太氏、北信五岳シードルリー株式会社代表取締役 小野 司氏、WOODFACTOR 代表 大川直男氏、飯綱町商栄会会長 小林直樹氏の4名。いずれも、信念を持って自ら起業し、飯綱町で活躍している先駆者たちです。皆さん今回の企画に快諾、起業した経緯や苦労した話など、赤裸々かつ熱く語ってくださいました。
「参加者からは、『知っている人とはいえ、普段はなかなか聞けない話が聞けて、貴重な機会だった。とてもよかった』という感想をたくさんもらいました。運営側の私としても、有意義な時間となりました」と佐久間さん。新型コロナウイルスによりオンライン参加も定着し、各回ともに、盛況となりました。
次回は、まちづくりやしごとづくりの分野で全国的に活躍する、シェアビレッジ株式会社 代表取締役 丑田俊輔氏(11/6土)、ナリワイ 代表 伊藤洋志氏(11/7日)がスペシャル講師として来町します。
スペシャルミート&グリートにお招きしている丑田俊輔氏
同じくスペシャル講義に登壇していただく伊藤洋志氏
今年度のいいづなフューチャースクールは、まず『ミート&グリート』で先輩の体験談を聞き、次は、漠然とした思いつきやアイデアを具体的にしていくため、考えを人に話し、返ってくる反応でさらに考えを深る『かべうち』というワークへ。自分の思いが見える化できたら、やりたいことを具体的にビジネスプランにしていくセミナー『事業計画ゼミ』、さらに、やってみようという勇気が持てたら、町の皆さんや企業の前で、自分の事業プランを発表するビジネスコンテスト『事業チャレンジ』へ出場、というステップを踏んでいく流れになっています。もちろん、先輩たちの話を聞きたいという人は、『ミート&グリート』だけでも、事業計画がしっかりしている人は、『事業チャレンジ』からでも構いません。
また佐久間さんは、町内のまちづくり会社であるカンマッセが運営するからこそ、「ステージで発表するのは苦手という人や、大きなビジネスという大それたものではなく、まずは小商い*でやってみたいという人たちも受け入れたい」と話します。
*小商い:自分の好きなことなどを生かし、少ない元手で小さく始める商売のこと。
「経験不足で不安だけれど、やってみたいという思いはある。そういう人たちが仲間を見つけることで、勇気が持てます。限られた人でないとできない、ではなく、失敗してもいいし小さいことでもいいから、やりたい・やってみたいというチャレンジ精神を応援しあえるような土壌を、このまちにつくっていきたいんです」
11月に開催される『ミート&グリート』スペシャル講師の回は、「予想外の価値観に出会えるはずです。聞かないともったいないですよ」と佐久間さん。先輩の話を聞いてアイデアをカタチにし、仲間と一緒に挑戦できる。たしかに、飯綱町っておもしろいことをやってるかも!