トップいいいいいいづなマガジン清泉女学院大の学生たちが「まちづくり」を考える【後編】

清泉女学院大の学生たちが「まちづくり」を考える【後編】

長野市の清泉女学院大学人間学部文化学科3年生が、飯綱町のまちづくりを、さまざまなテーマで考えてきた授業。その発表会が7月10日、栄町区コミュニティーセンターで開催されました。

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学生たちは発表直前までインタビューをしたり話し合ったりして準備してきました


「これからの時代、さまざまな個人商店が関わる商店街に求められるのは、強制力のないコミュニティづくりへと発想を転換することではないか」。鋭い視点で切り出したのは、「栄町商店街の活性化」をテーマに考えた学生たち。「商店街に所属する皆さんが大切にしたくなる、思い入れのあるロゴマークもつくり、共通意識を持つことが大切である」と提案してくれました。一案として学生たちがつくってきたのは、リンゴが寄り添っているデザインです。
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ふたつのリンゴは人々の寄り添いを、家のような囲いは安心感を表しているそうです
 

町民との意見交換タイムには熱い思いを交わす場面もありました。
このほか、商店街のコンセプトを明確化し、雰囲気づくりを大切にしてみては、というアイデアも出されました。商店街の活性化はやはり難しい課題で、テーマを越えてさまざまな意見が飛び交っていました。

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発表を終え、笑顔を見せる学生たち


「町のコミュニティースペースZQ(ズク)の活用」を考えた学生たちから出されたのは、「ZQが交流を企画するのではなくて、まちに住む町民が主体となって、自分たちで実行することが大切では」という意見でした。こちらも、ハッとさせられる指摘です。
「たとえば、家にある使わないけど捨てるにはもったいないものを、希望する人に譲渡する会を、町民主体で実施してみては。一緒に準備し活動することで、交流は自然と生まれます」 

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発表会前にもZQ管理人にインタビューする学生たち。発表の意気込みが感じられます


「フリーペーパー制作」を担当した学生たちが見せてくれたのは、なんと0号(試作品)。実際の冊子を仕上げていたのです。学生たちのやる気がすごい!
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前回の中間報告後に、ターゲットを若者に絞り込み、実際に町を歩いてもらえる仕掛けに構想を練り直したのだとか。
「ロールプレイングゲームのようにすれば、若者が楽しく町の名所をめぐれるのではないかと工夫しました」
読むだけのフリーペーパーではなく、町歩きの要素と、さらに若い人にも興味を持ってもらえる工夫も加えられていました。1粒で3度もおいしいアイデアです!


「町の風景を共通のテーマで撮影することで、気が付かなかった町の魅力を見つけることができます。例えば、いろいろな人に飯綱町で見つけた“赤のある写真”を撮ってもらい、集めて展示すると、いつもの風景が違ったものに見えるのです」
そう発表してくれたのは、「飯綱町をキュレーション(集めた情報をテーマに沿って編集することで新しい価値を生み出す手法)する」をテーマに考えた学生たちです。この手法の効果を実証実験までしてみたそうです。スマホなどで写真を撮ることが日常になっている、今の時代を上手に活用した提案でした。

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共通テーマで撮影した身近なものを並べると、新しい魅力が見えてくることを実験して確かめたそうです
 

「今回の取り組みは、商店街にとって再興に向けた契機になります」
学生ならではのアイデアに、驚きつつも喜びの表情を浮かべていたのは、栄町商店街商栄会会長の小林直樹さんです。

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学生たちのアイデアと真剣な取り組みに感謝の挨拶をする小林さん


栄町区長の中村芳人さんは、「理想論でない発表に感銘を受けました。栄町をもう一度、町の玄関口にしたいという想いを持ちました」と学生たちの真摯な姿勢に刺激を受けていらっしゃいました。

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栄町の歴史を振り返り、飯綱町活性化への思いを語る中村芳人さん


ZQ管理人の相澤奈々さんと湯出川奈津子さんは、「この授業で終わりではなく、これからも町に関わってほしい」と学生たちに熱いメッセージを送っていました。

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栄町商店街には新しく喫茶店もオープンしています


授業を担当する清泉女学院の川北泰伸先生が「こういった学習にとって大事なことは、人に恵まれること。そして、実態を把握すること」とお話しされていたように、学生たちは積極的に町の人たちと関わり、協力してもらっていました。

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飯綱町の玄関口として復興に期待がかかる栄町商店街

まちづくりや商店街活性化の課題は、地域によってさまざまです。今回のように若い人の意見に耳を傾けてみるのはもちろん、住民が自分事として主体的に取り組む姿勢が大切だと学びました。最近の学生は物静かながら、心にバイタリティを秘めていましたよ。

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