牟礼駅前通りに続く栄町商店街。かつてはさまざまな小売店が軒を連ねていましたが、全国的傾向の御多分に漏れず、残念ながら空き店舗が目立つようになってしまいました。
そんななか、元「たつの履物店」の建物を利用し、2018年6月に誕生したのが、飯綱町在住でバッグ作家として全国で活躍する中林ういさんが営む「小さな裁縫室 malmu(マルむ)」。
田舎町に似つかわしくない(!?)ポップでおしゃれな雰囲気のお店です。
店内には、壁一面に並ぶういさんのブランド「ui(ウイ)」のバッグ作品のほか、自らセレクトしたさまざまな生地やボタンといった洋裁・手芸材料や道具がずらり。刺繍糸やフェルトは全色そろいます。
ういさんが東京から飯綱町に移住してきたのは2012年。
以来、雑誌の取材や町内外での展示会を通じて飯綱町をPRし、町の暮らしを楽しんできました。
一方で、仕事柄、長野にこれだけの手芸材料がそろう店がないことに不便さと寂しさを覚えてもいたそう。
そこで、知り合いに紹介された建物を大改修し、オープンに至りました。
実は2016年の冬に行ったインタビューでも、すでに「牟礼駅前がにぎわったらうれしいので、空き店舗にお店を出したい」と夢を語っていたういさん。
有言実行する行動力がすばらしい!
さて、malmuでは、大人も子どもも、ものづくりの楽しさを共有できる場所として、小・中学生向けや大人向けに、トートバッグ作りや貼り箱作りなどさまざまなワークショップを開催。
小学生でも縫製まで手がける本格的なもので、大人向けは遠方から足を運ぶ人も少なくないそう。
ミシンやアイロンなども店内で貸し出し、生地選びのアドバイスもしています。
さらに、何より「りんご推し」なのがこのお店の特徴。
飯綱町に移住して以来、りんごのおいしさに魅了されているういさんは、
「東京ではあまりりんごに興味がなかったのですが、冬に飯綱町に引っ越してきたら、甘くて冷たくておいしくてびっくり! 春はりんごの花もきれいですし、秋には農園で収穫体験もして、1年を通してりんごを楽しんでいます。東京や関西など都市圏の友人に送るととても喜ばれるんですよ」
と、りんご愛が止まりません。
店内の一角には、そんな思いを象徴するように、一面にりんごのタイルが貼られた壁面も。
岐阜県のタイルメーカーに依頼した特注品で、8種類の釉薬を使ってブラムリーやグラニースミスなどの珍しいりんごも表現しています。
「どうしても目玉になる場所、町の人にとっても観光客にとってもわかりやすいコーナーを店内に作りたくて、この壁を設けました。観光の方にも自由に訪れてほしいですね」
こちらのタイルは販売しており、アクセサリーや建材として使うことも。
実際、ういさん友人であるりんご農家の方はキッチンのリフォームで、このりんごのタイルを使ったのだとか。
「町長をはじめ、飯綱町の皆さんにこのタイルを見にきてほしいですね。特に町の公共施設やりんご農家さんに使ってもらえたら。建材に使うなら、30枚からお安くしますよ」とのこと。
また、2017年には滋賀県彦根市でりんごにちなんだ展示会とワークショップを開催し、バッグやワッペン、小物のほか、親しくしている町内の山下フルーツ農園の20品種のりんごや加工品も木箱に入れて販売したそうです。
りんごの刺繍ワッペンを作るワークショップの最中には幅広いりんごネタを挟んだそうで、その話を聞いて「食べてみたくなった」と取り寄せた人もいるとか。
「勝手にりんご大使のつもりで、仕事先で飯綱町のりんごの魅力を宣伝しています」
ちなみにmalmuという独特の店名は、ラテン語で「りんご」の意味だとか。
また、ロゴとしてデザインされた「む」はお店のある地名「牟礼(むれ)」の頭文字でもあり、昔ながらのりんごの木箱に刻印されたマークをイメージしているそうです。
「あと2〜3店、商店街にお店が増えたら。仲間がほしいですね」と話すういさん。
たしかに、商店街の一角にカフェがあったり、ほかにもちょっとユニークな小売店があったら面白いかも! 大切なのは、こういった新たな商いのデザインかもしれません。
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住所:飯綱町牟礼509-7
TEL:070-2619-0606
営業日:水〜金曜・第1・3土曜(祝祭日・年末年始・お盆はお休み)
営業時間:11:00~18:00(冬季11~3月は〜16:00)
※当日の営業情報を以下でご確認ください。
Twitter[@malmu_iizuna]
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