トップ町民ライター梅田梓さん新しくなった飯綱町議会へ!本会議の傍聴に行ってみた

新しくなった飯綱町議会へ!本会議の傍聴に行ってみた

地方議会というと、どんなイメージがあるでしょうか。町の予算を決めたり、行政のことを話し合ったり……大事な機関ではあるのだろうけれど自分には縁のないところだと、私はそんなふうに思っていました。

飯綱町には14名の議員からなる飯綱町議会があります。昨年、8年ぶりにこの町議員を決める選挙が行われました。そこで今回は新しくなった飯綱町議会の本会議の傍聴に行ってみることに。いったいどんな雰囲気で、どんなことが話し合われているのでしょうか?

gikai_photo1.JPG飯綱町議会の議場は飯綱町役場の2階にあります

昨年10月に行われた町長・町議会議員選挙は、6年前に飯綱町にやってきた私にとって初めて経験する町の選挙でした。これまでの選挙といえば、知らない誰かが立候補して、その知らない人の中からなんとなく良さそうな人に投票する、そういうものだと思っていました。ところが飯綱町では選挙の様相が全く違う!

立候補する人たちの中には、子どもが同じ小学校に通っているお母さんや、会えば挨拶をする顔見知りの方など、知っている人たちが何人も。ポスター掲示場に見覚えのある顔が並び、選挙カーから馴染みのある名前が聞こえてくる……自分たちで町を変える、その手ごたえのようなものを初めて感じた選挙でした。

選挙の結果、町長が12年ぶりに変わり、町議員は14名中10名が新しい人となりました。そうして新たに動き出した飯綱町議会。議会は6月、9月、12月、3月に定例会があり、その中の本会議と委員会審査(※)を傍聴できるようになっています。本会議とは、議員全員が出席して自治体の予算や条例などを話し合う会議のこと。そして本会議には議員が町の行政全般について質問する「一般質問」の日があります。これまでも保育園で使用済みオムツを持ち帰るのはいかがなものかという身近な話から、憲法9条への考えを問うものまで、いろんなテーマの質問が出ていました。

※ 委員会審査とは、本会議の初日で提出された予算等の議案や陳情について議員が所属する委員会に分かれて審議すること。

gikai_photo2.jpg年4回発行の『議会だより』で、議会の内容を知ることができます

一般質問の日程は基本的に2日間あり、ホームページで事前に議員の誰がどんな質問をするのか、誰が答弁するかを見ることができます。私は一般質問の1日目に行ってみることに。

さて、どんなやり取りが繰り広げられるのでしょうか。

迎えた6月4日、一般質問1日目。開始時刻の午前10時少し前に到着し、傍聴人受付票に名前と住所、年齢を記入して議場へ入ります。

gikai_photo3.jpg議場に入る時は、靴を脱いでスリッパに履き替えました

議場は、議員席と町長など行政職員の席が向き合う形で配置されています。議員席の後ろに30席ほどの傍聴席があり、私のほかにもすでに傍聴に来ている人が座っていました。話を聞いてみると「新しい議員の中に同級生がいるから、時々傍聴に来ている」という方や、「新しい議員さんが増えたから初めて来てみた」という方も。昨年の選挙から議会に関心をもつ方は多いのかもしれません。

さて、10時になりました。ブザーの音がして議場が静かになります。議長席に座る議長から「活発なわかりやすい質問、答弁を期待しています」との発言のあと、この日の一番手の議員が挙手をして演壇に立ちました。一般質問の概要を見ると5つの質問を予定しています。

どんな発言をするのだろう。ドキドキしながら耳をかたむけていると、議員は開口一番「ドジャースのショーヘイ・オオタニ選手にならい、3回連続で一般質問のトップバッターを務めさせていただきます」とユーモアのある発言。こうしたくだけたことも言うのかとちょっと意外。議場の雰囲気も少しほぐれたように感じました。

gikai_photo4.jpg議場は窓が広く、明るい雰囲気です

最初の質問は町立小中学校の教員の働き方について。町は教員の勤務実態を現状どう把握しているか、実態把握のためのアンケート調査など行う予定があるかとの質問です。この質問をした議員自身は教員のキャリアが長く、経験をもとに持ち帰り仕事の常態化などの問題も指摘します。

答弁をしたのは教育長。タブレットで出勤・退勤を入力しており、実態把握や意識調査を行うことも検討しているとのことでした。

議員は教育長の答弁のあと、もう一度挙手をして演壇へ。教員のなり手不足の現状に触れ「教員が働きたいと思うには実態把握が重要」として調査の早急な具体化を求めます。そして「調査を夏休みまでに具体化するのはどうか」と日程に踏み込みました。

これを受けて再び教育長。「夏休み中に実施できるよう、毎月の教頭校長との合同会議で検討する」と返します。すると議員は管理職以外の声も含めるよう要望し、自身も力になれることがあれば協力すると述べて質問を終えました。

gikai_photo5.JPG答弁する教育長

実は私は、議会というものは用意した原稿を読むだけの予定調和で進んでいくものだと思っていました。けれど一般質問は「質問する→答える」の1ターンで終わることはなく、答弁のあいまいな点を確認したり別の角度からの質問を続けたりとやり取りが続きます。ということは、どれだけ事前に双方が質問や答弁を練っていても、アドリブでのやり取りとなる場面もあるはず。こうして議論が深まり、行政が動いていくのだなと思いました。

印象的だったのは保育園のエアコン整備についての議員と町長のやり取りです。町内の保育園を議員が視察したところ、エアコン未整備の部屋があり現場の保育士さんも「どうにかならないか」と困っていたそうです。答弁した町長はできるだけ早くエアコンを整備することを明言し、「保育現場の声を聞く姿勢が必要だったと反省している」と発言。生の言葉を聞いた気がして、ちょっと胸が熱くなりました。

一般質問を終えると議長から「お疲れさまでした」と言葉があり、休憩へ。一般質問の持ち時間は一人1時間で、休憩のタイミングで新たに傍聴にやって来る人の姿もありました。

休憩が終わり、二人目の議員が演壇に立ちます。

議員の質問の中で、PFAS(ピーファス)の問題を取り上げる場面がありました。私は知らなかったのですが、PFASとはいろんな製品に使われている有機フッ素化合物の総称で、健康に影響する可能性がある人工化学物質なのだそうです。今年4月から水道事業者にPFAS に含まれる2つの物質を対象とする検査が義務化されていました。議員はこうした現状を提示し、町での検査状況と測定結果を質問。

gikai_photo6.jpg事前にPFASの資料が傍聴席にも配られました

答弁をしたのは建設水道課長です。町は昨年4月の段階ですでに自主的にPFAS検査を実施しており、対象物質は検出されなかったとのこと。今後も定期検査の結果を公表していくということでした。議員は「すでに検査をしていていただいたと聞き安心しました」と述べた上で、日本の基準は欧米に比べると決して厳しいものではないと指摘し、数値そのものを公表するよう求めました。これに対して建設課長は「公表できると思う、検討します」と応じました。議会を聞くことで、周知されていない町の動きも知ることができるのだということも新たな発見です。

二人の一般質問を終えて午前中は終了。帰り際、傍聴席にいた方が議員に「PFASのことを取り上げたのは良かったね」と声をかける姿が印象的でした。

今回はじめて議会を傍聴して、町が動くその最前線を目の当たりにしたように思います。私は傍聴に行くまで、議会は「議員 vs 行政」という構図がもっとあるのかと思っていました。けれど町の課題を改善していこうとする姿勢は同じなのだと実感。改めて考えれば、議員、町長、役場職員、そして私たちは立場や意見が違っていても、同じ景色を見て生きていて、夏の暑さを心配したり、物価高をどうしたものかと言い合ったりしてこの飯綱町で生活をしています。生活の不安や疑問があれば、それを議会で議論の俎上にあげ、風通しのよい議論をする。その繰り返しが、町の進む方向をよりよい方へと導くのだと思いました。

●議会の本会議一般質問の様子はYoutubeの飯綱町議会のアカウントから見ることができます。
Youtubeチャンネル 飯綱町議会
※一般質問の公開は1年となっています

●一般質問の質問内容は定例会開催前に飯綱町ホームページで公表されます。また傍聴は事前予約なしで行くことができます。
飯綱町議会情報

 

 

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