トップライターKAORUさん教育移住に迷ったら、飯綱町の「大地」を体験してみませんか?

教育移住に迷ったら、飯綱町の「大地」を体験してみませんか?

「子育て」により良い環境を求めて住む場所を選ぶ「教育移住」が注目されています。働き方の変化により、移住や多拠点生活のハードルが下がってきた昨今、子どもの学校を基準として移住を考える人が増えているようです。自然の中で生きる力を育てる、アートの感性を磨く、海外の教育方針を取り入れるなど、全国各地には個性豊かな幼稚園、保育園、こども園などがあり、子どもを持つ親としては悩ましいところです。とはいえ、移住は人生の一大事。子どもに、家族に、自分に合っているかどうかは、実際に現地に行って体感してみるのが一番です。

NPO法人「大地」は、自然の中での子育てを究極まで突き詰めた(と言っても過言ではない)認定子ども園で、飯綱町には、教育移住という言葉が生まれる前から、“大地移住”で越してくる家庭が多くいます。そこで、「大地」が教育移住体験の受け入れをしていると聞いて、取材してきました。 

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「一緒に楽しみましょう」とパワフルに語る青山園長
 
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サンクゼールの近くにある木の看板が目印

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ののはな文庫

飯綱町の小高い丘の上に、「大地」はあります。木の看板が目印です。園を案内してくださったのは園長の青山繁さん(66)。広大な敷地の中に建つ園舎やツリーハウス、遊具などは、すべて青山園長やスタッフの手作りなのだそう。
「移住体験で泊まってもらうのはここだよ」
お茶目な笑顔で指し示すのは、広場のようなエリア。建物などはありません。

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「寝袋で、星空を眺めながら寝てもいいし、虫が好きな子は木の下で寝て、夜中に起きてカブトムシ採りをする子もいるよ」と青山さん。野外教室などのときは、ほとんどがテントを張らずに野宿なのだそうです。大地に寝転ぶなんて、したことがないという人もいるかもしれませんね。
 
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広場の少し下には炊事場とトイレ、五右衛門風呂があります

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長靴のまま入れるように落ち葉を敷き詰めたトイレは衛生的

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開放的な五右衛門風呂!と五右衛門風呂からの眺め

「風呂に入って熱くなったら裸で芝生を走り回ると気持ちいいよ。明かりは全くない。瞑想する人や、深く精神世界に入れるという人もいるよ。移住してくるかどうかは、この風呂を心底楽しめたかどうかで決まるかもしれない」(青山さん)
暗闇の中、裸で大地に寝そべって星を見上げるとどんな気分になるのでしょう。きっと、昼間のこの景色とは別世界なのでしょうね。これは、実際に体験してみないと感じられない“何か”がたくさん感じられそうです。

安心してください。もちろん、「ここまでの野宿はちょっと……」という人には、部屋も提供してもらえます。宿泊部屋の一角には木のおもちゃコーナーがあって、小さな子も楽しく遊べそうです。

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 「体験に来た人にこちらから提供するのは場所だけです。特別なおもてなしはしません。布団もありますが、寝袋の方が面白いっていう人が多いですよ。大地では日常的にガスをほとんど使わず、かまどに薪をくべて、冬は薪ストーブの上で調理するので、一緒に料理して一緒に食べましょうという感じです」。
移住体験は無料ですが、薪割りや、料理、畑の手伝いなど、「大地」の日常作業を一緒にしてもらいます。「草刈り機、使ってみる?チェーンソー、使ってみる?」と誘うと、大喜びでやるお父さんが多いそう。大人も遊び感覚で作業を楽しめてしまう人が向いているのかも。冬は8台もの薪ストーブが稼働するので、薪はいくらあっても困らないんだとか。
「より不便なことを楽しんで、自然を本気で感じてほしい。そういう体験をしてほしいから、きれいなシャワー付きのお風呂よりも五右衛門風呂、グルメを提供するよりも畑から採ってきた無農薬の野菜を自分たちで火を起こして料理する」(青山さん)

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在園児のリズムを乱さぬよう、体験参加者は園児の輪に入って一緒に活動することはできませんが、園児たちの穏やかな雰囲気や野山に出かける装備(大人も子どもも長靴姿) 、屋外で食べる昼食の様子などを眺めることができます。

実際に東京から大地へ教育移住した方に、話を聞きました。
「最初に見学に来たのは、夏休みの星空キャンプでした。それで気に入って、移住を検討することにしました。いざ移住するとなると、気になるのは冬の様子。雪はどれくらい降るのかが体験したくて、冬に移住体験に来ました。都内で子どもを連れて自転車で駆けずり回っているより、この辺りならどこでも駐車場があるので、車で移動する方が楽だなとか感じましたね。あとは雪道の様子や、買い物に行くところを確認したり、実際の生活を想像しながら動いて、スキーにも行ってみました。子どもも自然の中でのびのび遊んで、表情の違いがよく分かりました」

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高社山を望む「高社の丘」

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東屋には、いろりを囲んでベンチが置かれています

「早起きして、高社山から昇る朝日を眺めながらコーヒーを飲むのが最高なんだよ」と青山さん。すぐ隣には、ツリーハウスもありました。気がつけばウズウズとしている自分がいて、「大人も通いたくなる子ども園」を目指しているということに納得です。大人が子どもを行かせたいからとか、子どもが楽しそうだからではなく、家族で心から楽しめるポイントがあちこちに散りばめられている場所なのだと感じました。

教育移住に迷っている人は、ぜひご自身で足を運んで、体験してみてください。「僕らが楽しいことしかやらないので、一緒に楽しみましょう。用意なんて何も必要ありません。何が起こるか分からない方がときめくでしょ」(青山さん)
大地のパワーをたくさんもらえば、迷いも吹っ飛んでしまうかも!?お話を聞いていて、そういえば同じ町内に住んでいても、山から昇る朝日にゆっくり向き合ったことはないなと、何だかもったいないことをしていた気分になりました。お盆前のこの時期の日の出は概ね5時前。少し早起きをして大地と自然のエネルギーをしっかり吸い込んでみようと思います。

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