トップライター「いらっしゃいませ!」 クリスマスマーケット・マルシェで子どもたちが商いを経験Vol.1
トップライターKAORUさん「いらっしゃいませ!」 クリスマスマーケット・マルシェで子どもたちが商いを経験Vol.1

「いらっしゃいませ!」 クリスマスマーケット・マルシェで子どもたちが商いを経験Vol.1

「ハルちゃん、一緒にクリスマスマーケットに出店しない?」
11月のある日、近所のユメちゃんがわが家の末っ子を誘ってくれました。
「“しゅってん”ってなに?」
小学1年生の娘には聞き慣れない言葉でしたが、「二人でお店屋さんをやるんだよ」と教えてもらうとワクワクする気持ちがふくらんだようです。何のお店にしようか相談し、内容が決まると、材料の買い出し、小分けなどの作業を、二人で学校帰りや休日にコツコツと1か月間続けてきました。

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ユメちゃんが誘ってくれたのは、飯綱町教育委員会子育て支援係が県の元気づくり支援金を活用して開催する手作りマーケット「クリスマスマーケットin IIZUNA」です。子育て世代ほか、女性たちが中心となって、手づくり雑貨やフードメニュー、ワークショップなどのお店を開き、地域の人たちと交流するイベントです。子どもの出店もできるということで、ハルちゃんは張り切っています。そして12月2日(土)、クリスマスマーケット当日がやってきました。会場の牟礼B&G海洋センター体育館は、手作りの看板やクリスマスの装飾が飾りつけされて準備は万端。ユメちゃんとハルちゃんの毛糸で作るクリスマスツリーとストローヒンメリのお店、「ゆめはるワークショップ」、いよいよ開店です!

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みつどん(飯綱町のPRキャラクター)が応援にきてくれました!

11時の開場と同時にお客さんが入ってくると、お店に立つ二人の表情に緊張がはしるのが見てとれました。けれど、なかなか二人のお店にはお客さんが立ち止まってくれません。不安でドキドキしていると、しばらくして友だちが最初のお客さんとして来てくれました。事前に練習していた「いらっしゃいませ」は、はにかんで小さな声になりましたが、笑顔で迎えることができました。

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その後も、順調にお客さんの対応をして余裕が出てきたのか、ほかのお店にも遊びに行きながらクリスマスマーケットを楽しんでいました。

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「ゆめはるワークショップ」は、ダンボールに毛糸を巻き付けてクリスマスツリーのオブジェをつくったり、ストローに糸を通してヒンメリというフィンランドの飾りをつくったりする体験ショップです。大人や高校生もワークショップに参加してくれ「マーケットにはワークショップがいくつもあってよかったです。普段は工作が苦手で自発的にはやらないけれど、こんな場だったので参加しやすかった。オーナメントが作れて楽しかった」と話してくれました。

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ユメちゃんがクリスマスマーケットに出店したいと思ったのは、隣のブースで「暗いところで光るクリスマスレジンワークショップ」を開いていた3歳上のお姉ちゃんの影響でした。お姉ちゃんは昨年も出店していて、お姉ちゃんがお店に立つ姿に憧れて、ユメちゃんもやってみたいと思ったようです。そのお姉ちゃんも、実は二人のお母さんが2022年4月に「いいづな結市(むすびいち)」にクラフト作家として出店したのを見て、自分もやってみようと思い立ったそうです。挑戦が連鎖していて素敵ですね。出店した感想を聞くと、「お友だちが来てくれて嬉しかった」とハルちゃん。「作り方を教えてあげるのが楽しかった」とユメちゃん。いい体験になったのではないでしょうか。

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細かいビーズ細工を販売した「Ko*Ha」の小学生2人組。価格設定を迷いながらも一生懸命販売していました。

「飯綱町は“日本一女性が住みたくなる町”を合言葉に、子育て中の女性が活躍できる環境を応援してきました。このマーケットも、初心者の方でも安心して出店できるお試しの場として企画しました。趣味でつくっていたけど、こういうきっかけがあったから、売ってみようと思えた、という出店者さんもいました」と話してくれたのは、担当の松橋可奈さん。松橋さん自身も、今年、町役場に転職したばかりというなか、手探りでイベントに挑戦したそうです。「出店した皆さんに喜んでいただけて、本当に良かったです」と、感無量といった様子でした。

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来場者にプレゼントされたみつどんお買い物バック。飯綱町観光協会ブースのみつどんグッズも大人気でした。

2017年に、子育て世代の多様な“はたらき”を応援する施設として開設された飯綱町ワークセンター「iワーク」は、2021年に「みつどんのお家」に移転してからも、さまざまな学びの場を提供しています。その一つに2021年12月に開講した「わたしの小商い講座」がありました。好きなこと、やりたいことからビジネスモデルを作り、最後はマーケットに出店するというものです。ユメちゃんのお母さんはこの講座の参加者でした。

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クリスマスマーケットで販売していた「こめいち」の「無農薬米粉キャロットケーキ」。スパイシーで甘さ控えめ、モリモリ食べられちゃいます。こめいちさんも小商い講座の卒業生です。

多様な働き方の応援企画でもあるクリスマスマーケット。長野市から参加した羊毛フェルト雑貨の「こばこ舎」さんには、フェルトで作られた、かわいいメモスタンドやピンクッション、“クリスマスの小さな妖精たち”が並んでいて、見ているだけでほっこり温かい気持ちになります。

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店主の高橋真理子さんは、このようなマーケットへ 出店するのはまだ2回目。飯綱町にはご主人の実家があり、去年はチラシを見てクリスマスマーケットに遊びに来たそうです。「アットホームな感じが心地よくて、参加しやすかった」と高橋さん。こばこ舎のフェルト雑貨は、牟礼駅近くのカフェ「sand glass」でも購入することができるそうです。覗いてみてくださいね。

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国道18号牟礼駅入口信号の近くに最近店舗を移したパン屋さん「れうりや」。クッキーでできたお菓子のお家は子どもたちの注目の的でした。


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定年退職し、趣味の裁縫でこれからの人生を楽しもうという想いが込められた店名「ひーちゃんの未来」。かわいいバックがたくさん並んでいます。

クリスマスマーケットには、たくさんの小学生が生き生きと参加していました。自分たちで作ったものに対して、実際にお金をいただく(=商売)という経験は、学校では習えないこと。子どものときから、そうした経験ができる環境はなかなかありません。商売は、お金をもうけることであり、生きていくうえで大切な仕事です。自分が用意した商品に対価を支払ってもらえたという経験は、クリスマスの楽しい思い出と一緒にうれしかった記憶として残るはずです。

クリスマスマーケットin IIZUNA 公式インスタグラム

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