トップライター眞鍋 知子さんいいづなの主婦パワーがすごい! 飯綱町のふるさと納税を支えるのは町内の主婦たちだった

いいづなの主婦パワーがすごい! 飯綱町のふるさと納税を支えるのは町内の主婦たちだった

ふるさと納税とは、応援したい自治体(都道府県や市区町村)に寄附をすると、自治体からお礼の品がもらえ、寄附金額から自己負担額2,000円を除いた金額が翌年の所得税、住民税から控除(還付・差し引き)されるという制度。利用者は年々増加しており、2022年度の利用者は全国で約740.8万人に達しています。では、飯綱町へのふるさと納税は、どれくらいなのかご存知ですか?

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前列左から、古市妹子さん、原優希さん、増田祐美さん、野村寿美子さん、島田光代さん。後列左から、諌山未来雄さん、土倉智徳さん、大沼皇紀さん

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▲住民税候補適用者数の推移 出典:「ふるさと納税に関する現況調査結果」(令和4年度実施)|総務省

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▲飯綱町におけるふるさと納税寄附額の推移

飯綱町は、2018年まで町外の専門事業者に業務代行を委託していましたが、町内に民間のまちづくり会社(株)カンマッセいいづなが設立されたことから委託を切り替え、2019年には、前年の5,800万円から1.6億円へと約2倍になりました。そして翌年はさらに倍の3.42億円、その次の年は4.82億円と順調に推移し、最新の2022年度は6.7億円(見込み)にまで寄附額を伸ばしました。4年間でなんと10倍以上の大躍進を遂げています。人口減が深刻な課題である町にとって、ふるさと納税による税収は歳入を支える重要な柱になりつつあるのです。
株式会社カンマッセいいづなで、ふるさと納税運営業務を担当しているのは、ほとんどが町に住む主婦の方たちであることをご存じでしょうか。大躍進の立役者は、この女性たちと言っても過言ではありません。
増田祐美さんは、2019年に設立した(株)カンマッセいいづなにパートとしてかかわり、現在は正社員としてふるさと納税事務局のバックオフィスを取り仕切っています。「これまで経理や事務職の経験しかなかったので、当初は試行錯誤の毎日でした。まず返礼品の提供に協力してくださっている事業者さんを畑に訪ねて、顔を覚えることから始めました」

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飯綱町の返礼品の80パーセントがリンゴ、モモ、コメなどの農産物。つまり、飯綱町の顔として協力してくださる事業者のほとんどは農家さんです。「どの生産者さんがどんな作物をどれくらいつくっているのかを把握して、それをもとに、飯綱町を応援したい・寄附をしたいと思っていただけるような企画を考えることにやりがいを覚えるようになりました」と増田さん。「そして何より、ふるさと納税をきっかけに農家さんの収入アップとやりがい向上につながっていけばという思いで運営しています」と語ります。
ふるさと納税事務局は、増田さんを中心に7人のスタッフがコアメンバーとして従事しています。「スタッフのほとんどが主婦で、多くがお子さんを育てながらパートで働いています。皆さんとても勉強熱心で意欲もあり、手際がいいのでいつも助けてもらっている」と増田さん。そう話す増田さんも3人のお子さんを育てながらフルタイムで働く主婦でもあります。「うちは主人が夕食を作って子どもに食べさせておいてくれるなど家事に協力してくれるので、フルタイムで働くうえでとても助かっています。子どもたちが健康で病気知らずなのもありがたいですね(笑)」


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増田さんと同じく発足当初から従事している古市妹子さんは、お客さま窓口を担当しています。「開設当初は、子ども連れで出勤させてもらっていました。お仕事では寄附者さまからのお叱りもいただきますが、一方で『美味しかったからリンゴはこれからも飯綱町で買うよ』など、お褒めの言葉を頂戴することもあり、やりがいを感じています。スタッフ皆で同じ目標に向かっている感じがあって、いい職場だと思います」。増田さんとお子さん同士が小学校の同じクラスという原優希さんは、飯綱町のお仕事マッチングイベントがきっかけで勤めることになったそうです。「事務の仕事は初めてでエクセルなどは使ったことがなかったのですが、今はパソコンがないと仕事になりません。家から近い職場で働けるのはありがたいです」。「地元に貢献したいという思いで関わらせてもらうようになりました。飯綱町に寄附してくださる方に感謝の気持ちでいっぱいで、お仕事はとても充実しています」と話してくれたのは、生まれも育ちも飯綱町という野村寿美代さん。皆さん業務内容はさまざまですが、やりがいと責任感を持って働いていらっしゃる姿が印象的です。

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飯綱町は、町の総合計画の基本構想における重点的に挑戦する分野に、①日本一のりんごの町へ ②日本一女性が住みたくなる町へ の2つを掲げています。ふるさと納税は、まさにこのどちらの分野にも共通する事業として成長をみせているのです。とはいえ、まだまだ町内の労働力不足や女性の働き方については課題が山積しているのが現状です。女性が望む働き方と地方の環境や考え方は、残念ながらまだまだ課題が大きいと言えます。時代は、ダイバーシティや働き方改革への積極的な取り組みが求められています。少子化で働き手が減少していくなか、飯綱町のリンゴ農家のさらなる発展と、女性が活躍できる環境整備に向けた、早急かつ革新的な取り組みに期待したいところです。


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さて県内近隣では、高級フルーツであるシャインマスカットなどを生産する須坂市や中野市、飯山市、小布施町が大幅に寄附額を伸ばしています。飯綱町は返礼品の大半がリンゴですが、県内77市町村中16位(2022年)。納税件数では、4万6185件で8位と健闘しています。しかし今後、さらなる飛躍をしていくためには、いくつかの見直すべき課題があります。
「ふるさと納税は、農家さんにとって手間がかかる部分もありますが、活用していただくことで販路を広げていただくきっかけにもなる制度です。飯綱町の顔としての役割を担えるので、誇りに感じて協力してくださる方も多くいらっしゃいます。一方で、農家さんの高齢化により就農者が減少し、担い手のないリンゴ畑が増えていることは紛れもない事実で、リンゴ以外の返礼品を企画していかなければ、近いうちに頭打ちとなってしまいます」(増田さん)
最近は、各自治体が創意工夫を凝らし、農作物以外でも、体験型をはじめ、オーナー制度、オリジナルサービスなど、アイデアを凝らしたユニークな返礼品を数多く登場させています。一方で、返礼品目当ての流れが過熱してしまっていることを危惧し、「本当に自分が応援したい市町村に寄附をする」という根本を見直す動きも出てきています。
ふるさと納税にかかわって飯綱町の将来を大局的に見つめるようになったと言う増田さんは、「私たちが誠意をもって寄附者さまや事業者の皆さまに対峙してきたことが、わかりやすく数字の伸びとして見えることは、励みになりますし、がんばってきてよかったという自負にもなっています。そして、全国の寄附者の皆さまからいただいた寄附金が、町の将来につながる農業振興にも役立てられたらうれしい」と話します。こうした気持ちの原動力となっているのは、飯綱町のふるさと納税が農家さんによって支えられていることを現場で見てきたからこそ。ふるさと納税が、農業の後継者や新規就農者を絶やさないための施策として活用されれば、飯綱町の未来は発展につながるに違いありません。

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★ふるさと納税の返礼品にご提供いただける方は、事務局までご連絡ください。

飯綱町ふるさと納税事務局
TEL 026-219-2320

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