トップマガジン記事車がなくても、免許を返納しても、お買い物ができる! 第一スーパーの「とくし丸」とお買い物送迎バス「お楽しみ号」

車がなくても、免許を返納しても、お買い物ができる! 第一スーパーの「とくし丸」とお買い物送迎バス「お楽しみ号」

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■庭先にお買い物の楽しさがやってくる「とくし丸」
とくとくとくとくとくしまる〜♫
軽快な音楽とともに、かわいいイラストが施された移動販売車がやってきました。車を家の敷地内に停めると、運転していた女性が車から降りて、荷室が冷蔵庫になった軽トラックの3面の扉を開けます。すると、中からは驚くほどの種類と量の食品や日用品が現れました。玄関のドアが開いて出てきたのは、買い物かごを手に持ったおばあちゃん。音楽を聞いた近所の方も、エコバッグやお財布を手にやってきました。
「今日は暖かいねぇ」
「音楽が聞こえてきたから、慌てて出てきたよ」
「牛乳はある?」
静かだった庭先が、急ににぎやかになります。おばあちゃんたちは思い思いの買い物をして、「じゃあまたね」とそれぞれの家に帰っていきました。

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到着時に音楽を流すので、頼んでいる家の人だけでなく、ご近所さんたちが集まることも。

第一スーパー飯綱店と提携して移動販売を行う「とくし丸」。販売するのは飯綱町出身の遠山幸恵さんです。保存のきく食品や日用品に加え、果物や野菜などの生鮮食品、アイスクリームなどの冷凍食品、牛乳やヨーグルト、デザート、さらにはその日に作られたお惣菜までたっぷり積み込んで、飯綱町内をまわります。
遠山さんは、2022年9月からこの仕事をはじめました。
「母がずっと第一スーパーで働いていて、去年『募集しているから、一緒に移動販売をやってみない?』と誘われたんです。私もずっと子供服を販売する仕事をしてきたので、接客は好きでした。それで、やってみることにしました」
とくし丸は、決まった家に定期的に出向いてスーパーの商品を販売するサービスです。遠山さんは町内各エリアを1軒1軒訪問し、利用する家を開拓しました。1軒につき週1〜2回、決まった曜日に訪れます。事前に電話しておけば、商品の予約も可能です。
「今では1日30人くらいに利用してもらっています。1軒のお宅に行くようになったら、ご近所さんにも声をかけてもらって、何人か来てくれるようになったりもしました。嬉しいですね」

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トラックは3面が開き、なんと400種類の品を陳列! まさに庭先にスーパーが来たかのようです。

移動販売に同行して、利用者さんに話を聞いてみました。
「車の運転が億劫なので、来てくれてありがたいですね」
そう話すのは、ご夫婦で暮らしている利用者さん。家に車はありますが、リンゴ栽培の季節は旦那さんが忙しく、奥さんは運転ができないため、なかなか買い物に行けないそう。
「第一スーパーさんは昔からよく知っているから安心だし、商品を見て選べるのがいいね。お惣菜は今日のお昼にいただきますよ」と、旦那さんも満足の様子。
ほかの家では、免許を返納したというご高齢の方が利用していました。
「大体必要なものが揃うし、お願いしておけば、重いものでも家まで持ってきてもらえるのがいいね。あと、決まった時間に来てくれるのも具合がいい」
農作業や病院などで家を不在にする時間がある場合は、都合のいい時間を指定することもできるそうです。買い物を誰かに頼むのが申し訳ないので、来てもらうという人もいました。
「ちょっとしたものが必要なとき、毎回誰かに頼んでばかりだと悪いから、とくし丸にいろんな商品を持ってきてもらえて嬉しいよ。遠山さんとお話できるのも楽しいし」

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移動販売スーパーの魅力は、その場で欲しい物が選べること。欲しいものがあれば、お取り置きや注文も可能です。

どのお客さんがどんな商品が好きか、だいたい把握しているという遠山さん。「今日はおうどんあるけど、いる?」「タレはまだある?」とお客さんに声をかけ、新しい商品について聞かれたら、その都度ていねいに説明します。それ以外にも、「この間、足を痛めたって言ってたけど、よくなった?」など、お客さん一人ひとりに目を向けて、気遣います。
「ご利用になるのは、免許がなかったり、すでに返納したりして、なかなか買い出しに行けない80代の方が多いですね。おじいちゃんもおばあちゃんも、みんな優しくて受け入れてくれます。リンゴや野菜、お漬物なんかをいただいたりすることも多いです」
遠山さんは服飾の専門学校を出ているため、何かをいただいたときには手づくりの布小物などをつくってお返しすることも多いそう。
「雨の日や雪の日など、大変なこともありますけれど、皆さん買い物がお好きで、とくし丸が来るのを楽しみにしてくれています。まだほかにも必要としてくれている人がいるかもしれないので、これからも新しい利用者さんを増やして、皆さんの生活を支えていけたらと思います」

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マイバッグがなかったお客さんのために、遠山さんがつくったバッグ。いつも袋いっぱい買い物してくれるそう。

■無料送迎バスで、ちょっとしたお出かけの楽しさ
週4日、第一スーパーが運行しているお買い物送迎バス「お楽しみ号」。同店を利用する人向けの、無料で利用できる送迎バスです。
「スーパーから離れたところに住んでいて、車がない人へのサービスとしてスタートしました。店を利用していただくのはもちろん、ずっとここで商売をしてお客さんにお世話になってきたという思いがあるので、それを還元するという意味もありますね」
そう話すのは、店長の山崎茂さん。月・火曜は奈良本、東柏原、堀越、御所之入など三水方面のコース、木・金曜は高坂、袖之山、平出、福井団地などの牟礼方面のコースです。停車場は一応決まっていますが、ルート上でバスが通りかかったときに手で合図をすれば、停まってもらえます。

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第一スーパーの無料送迎バス「お楽しみ号」。こちらととくし丸を併用している人も。

「週1日、バスでここに来てまとめて買い物しているの。車内でお友達とおしゃべりもできるし。あと、雨の日はとってもありがたいですね」
そう話すのは、牟礼方面からの利用者さん。
帰りのバスにいちばんに乗り込んでいたお客さんは、病院へ行くために朝早くにiバス(町営のオンデマンドバス)でまちへ出て、帰りに第一スーパーで買い物をしてバスを待っていました。
「病院の帰りに第一スーパーで買い物をしていると、送迎バスの時間になるからちょうどいいのよ。うちの近くで降ろしてもらえるし、本当にありがたいわ」

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第一スーパー飯綱店。夏はバーベキューをする人が増えるからか、お肉がとても豊富でリーズナブル。ライターのイチオシは柏餅。

車の運転ができなくなっても、故郷に住み続けたいと願う人は多いもの。「とくし丸」や「お楽しみ号」は、そんな人たちの生活をお買い物面で支えながら、それと同時に誰かとつながる場も提供しているのかもしれません。

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とくし丸(飯綱町)
090-1807-8612

第一スーパー飯綱店
長野県上水内郡飯綱町普光寺970-1
026-253-7020

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