「青い宝石」にたとえられる、夏の果物ブルーベリー。国産人気は年々高まり、長野県は一大産地になっています。ここ飯綱町でも畑や庭で栽培され、近年、採れたての果実をふんだんに使ったスイーツやパンを町内で見かけるようになりました。そもそも傷みやすいため、菓子店、料理家らは「フレッシュな実が手に入るのは産地の特権」と、飯綱産ブルーベリーを重宝しています。
ブルーベリーはツツジ科で、北アメリカ原産の低木性果樹。ヨーロッパからの初期の移住者たちは、先住民族にもらったブルーベリーの乾燥果実やシロップのおかげで、マサチューセッツ州の冬の厳しい寒さの中、飢えや病気から身を守ることができたといわれています。
20世紀はじめにアメリカで始まった栽培ブルーベリーの品種改良。日本に導入されたのは1951年です。高地や雪国では、耐寒性がある品種の栽培が一般的で、隣の信濃町では1971年に経済栽培が始まりました。1990年代からは、アントシアニン色素が多く「眼にいい」とされ、生活習慣病の予防効果が高い「抗酸化作用」が高いポリフェノールが多いことも注目されました。果実消費の拡大から、2000年代に入ってからも栽培面積が拡大しています。
長野県は収穫量が国内3位(平成29年度特産果樹生産動態等調査)で、日本一をだったころもありました。そのせいか、ブルーベリーといえば「高原の果物」と感じる方も多いでしょう。甘酸っぱさと深い青紫色も魅力ですが、育てる農家にとっては無農薬や低農薬栽培がしやすく、あまり手がかからないといった利点があります。
飯綱東高原でブルーベリーの木600本を栽培する「サンキューファーム」は、長野市を中心に店舗を展開する洋菓子店「デザートランドりんごの木」に生の果実を提供しています。大手スーパーへの出荷もあり、7、8月は摘み取りに忙しいのですが、収穫量が限られてしまうため「市場ではまだ足りていない」と平山豊文代表。市場の需要の高さに応えようと意欲的です。
また、古町の「飯綱農場ブルーベリー園」園主の野池昭治さんは、埼玉県久喜市在住で、タクシードライバーをしています。週末と祭日に農場を訪れて、ブルーベリー園の手入れをする日々です。「ふだんから生の果実を食べているので、目の疲れが翌日まで残らない気がします」と話しています。
日本ブルーベリー協会の会員でもあり、シンポジウムに参加し、栽培地視察をして栽培技術の向上に努めています。「この飯綱農場から、生で食べておいしいブルーベリーの魅力を伝えたい」と熱く語ります。
一方、高岡地区の井澤農園の果実は、ふるさと納税の返礼品にもなっています。地元の和洋菓子店「明月堂」のブルーベリーレアチーズケーキやブルーベリータルトにも使われ、夏は看板商品として活躍しています。明月堂の藤縄洋平さんは「フレッシュ感を演出しやすく、シックな色がケーキの“さし色”としてぴったり」と話してくれました。
ほかにも、いいづなコネクトEAST(旧三水第二小学校)の近くで惣菜やパンなどを扱っている「れうりや」の浜崎愛さんは、ブルーベリーとクリームチーズが入ったマフィンを販売しています。東柏原の畑で採れた果実で、「シーズン中はジャムにしてしまうのはもったいない。あの形をいかして焼き込みたい」と話します。
家庭での食べ方は、生はもちろんですが、実が固いうちに冷凍にするのもおすすめです。長期保存でき、そのまま食べてもおいしく、ミキサーでジュースにすれば、氷いらずで濃厚な味が楽しめます。
また、消費しきれなかった果実や残ったジャムは、おかずにする手もあります。北欧には、肉団子にブルーベリーソースをかけた料理もあります。甘酸っぱいソースは肉料理にぴったり。インターネット上に、いろいろなレシピがありますので、ちょっと変わった地産地消をぜひお試しください。
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サンキューファーム
デザートランドりんごの木
飯綱農場ブルーベリー園
井澤農園
明月堂
れうりや