トップいいいいいいづなマガジン一度は絶滅しかけた幻の和りんご、高坂りんごが凄い!!

一度は絶滅しかけた幻の和りんご、高坂りんごが凄い!!

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飯綱町内にあるいいづなアップルミュージアムでは、毎年8月の山の日に、高坂(こうさか)りんごを使用した盆棚を製作するワークショップが行われます。高坂りんごの収穫時期となりましたが、今年は新型コロナウイルスに配慮してワークショップは行われず……。しかし、高坂りんごと資料が配布されると知り、行ってみることにしました!

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_MG_9959.jpg盆棚

DJI_0055.jpgアップルミュージアム

DJI_0040.jpg高坂りんご配布ブースの様子

■高坂りんごとは?

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明治初頭に日本に西洋りんごが導入されるよりも前、中国から渡来したリンゴのことを西洋りんごと区別して「和りんご」と呼びます。

高坂りんごは、この和りんごの一種で、長野県飯綱町高坂地区周辺に古くから伝わるものです。大きさは40〜50mmでリンゴとしては小ぶり。収穫期は8月上旬から中旬で、江戸時代には善光寺門前にて、お盆のお供えや信濃名物としても売られていたそうです。
その後、西洋りんごの普及により廃れ、昭和末年ごろには絶滅寸前になっていましたが、町内の故 米澤稔秋氏らが保存に取り組み、平成17年、原木が牟礼村(現飯綱町)の天然記念物に指定されました。また、高坂りんごは江戸時代の古来種果樹(ワリンゴ)3種類の中の一つに選定され、皇居東御苑内の古品種果樹園に木が植えられているそうです。
リンゴに洋と和の違いがあるなんて全く知りませんでした。「ふじ」とか「紅玉」とか和風の名前がついていても、西洋りんごなんですね!  しかも、3つの和りんごのうちの1つとして皇居に植えられているとは、高坂りんご、凄いですね。

そんな凄い天然記念物の高坂りんごですが、根分けされたものがアップルミュージアムの敷地内に1本、牟礼小学校にも1本植えてあり、直接見に行くことができます。

_MG_9906.jpgアップルミュージアムの高坂りんご

_MG_9905.jpg看板

_MG_9910.jpg話のとおり鈴なりに成っていました!

_MG_9975.jpg牟礼小学校の高坂りんご

_MG_9974.jpg高坂りんごの花が咲いてました!

_MG_9973.jpgこちらも実が成っていました!

高坂りんごは、写真のように小さな実が鈴なりに成ります。収穫の量は表と裏の年で大きな差があり(実の量が多い成り年を表年、量の少ない不成り年を裏年といいます)、西洋りんごは摘果などに手をかければ収穫量はある程度コントロールできるのに対し、和りんごは手をかけてもあまり収穫量は変わらないそうです。大きさに関しても、そこまで大きくならないので、商業的な観点から見るとほかの西洋りんごのように栽培するのは難しいとのことです。

飯綱町に伝わる盆棚の飾りに使われるなど、古来から地域に親しまれてきた高坂りんごですが、近年の研究から老化を遅らせる抗酸化力の強いポリフェノール、「プロシアニジン」の含有量がふじの10倍であることがわかりました。特にリンゴ由来の「プロシアニジン」には内臓脂肪を減らす効果があるとされており、機能性成分をいかした加工活用にも期待されています。

すでにサンクゼールでは限定品のシードルの材料として使われていますが、もっといろいろな加工品の材料として普及したら素晴らしいですね。

DJI_0062.jpgミュージアムで配布していた、米澤紀之氏所有する飯綱町天然記念物に指定されている木の高坂りんごと資料

おまけ
ライター糸井が高坂リンゴを食べてみた!

いいづなアップルミュージアム
飯綱町大字倉井5
開館時間 9:00-16:00
定休日  月曜日
電話 026-253-1071

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