トップいいいいいいづなマガジントキソウを探しに~梅雨時の飯綱町内 小群落にほっこり

トキソウを探しに~梅雨時の飯綱町内 小群落にほっこり

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町内で撮影した「トキソウ」。観察していると、人気があるのも納得の美しさです

 里山歩きをする楽しみの一つに、動植物との出合いがあります。飯綱町はおよそ75平方キロメートルと大きくはない町ですが、海抜は約400~1900メートルと標高差があり、気候や積雪量も場所によってさまざまです。また、自然林や植林地、草原、湿原、田畑など、場所によって見ることができる植物・昆虫も多種多様。植物が潤い、輝きを増す梅雨の時季、人気の「トキソウ」を探しに出掛けました。

目当てのトキソウはランの仲間で、高さ15~30センチほど。名前は鳥のトキの羽の色(淡紅色)に由来しています。もともと湿地に生えている多年草です。園芸種も売られていますが、野生のものは、長野県版レッドリストで「絶滅の危険が増大している種」に指定されています。また、長野県希少野生動植物保護条例の指定種でもあり、原則として(知事の許可を受けた学術研究などの理由以外で)採取することは条例違反となります。
それだけに、素人が探すのは難しいため、今回はフォトジャーナリストのマスオさんと、飯綱町が大好きで動植物や昆虫に詳しいアサヒヤマさんに連れて行ってもらいました。

待ち合わせの日の朝。集合場所に着いたころには、前夜から降っていた雨もあがりました。

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ウツボグサにとまるヒョウモンチョウのなかま 
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雨後に雨露をたたえるギボウシの花

花やチョウを観察し、撮影しながら歩くことおよそ30分。アサヒヤマさんは「ああ、このへんだなあ。去年このへんで見た」と記憶をたどっています。こちらは次々と現れる虫や珍しい形をした植物の撮影に夢中です。すみません…。

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ヒメシジミ。美しさにうっとり

 すると、「ああ、いたいた。やあ、きれいに咲いている」とアサヒヤマさん。トキソウを見つけました! 1株だけでなく、近くに数株あり、一眼デジカメと接写用に持ってきたコンパクトデジカメでしばし撮影会となりました。フィルムを惜しんで使っていた時代とは違い、夢中になると、シャッター音の嵐…。

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スマホでも撮影。アサヒヤマさんから「植物図鑑のような写真にする場合は、花をアップに」と指導を受けます(マスオさん撮影)

「もう次に行くかなあ」と思いきや、これからが本番といった様子。マスオさんは周りの植物を傷めないようにシートを敷き、腹ばいになって撮影を始めました。

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夢中で写真を撮るマスオさんと私。謎の遭難者のようです(アサヒヤマさん撮影)

人気の山野草は、咲いている場所が特定されると心ない一部マニアが押し寄せてしまうので、場所が特定できないよう背景を入れないのが一般的です。それでも「空を入れて」「生命感が出るので、水滴が滴る花を狙って」などと指導を受け、撮影は続きました。ようやく満足の一枚。タイトル見出しの下にある1枚目の写真です。

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小群落でも撮影会。美しさをほめたたえながらシャッターを切るのがポイントです

次に、20本ほどが咲く小群落も見つけて一同笑顔。マスオさんは「いやあ、おめえさんはかわいいなあ~と言って撮るんだぞ。そしたら、いいのが撮れる」とにんまり。どこかで聞いたセリフだと思いつつも、そういうことってありますよね。料理、子育て、ガーデニング…なんでも愛情です。

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アサヒヤマさんに教えられ、カラマツソウは上から撮影

撮影に満足したら、撮影ポイントで自分たちが倒してしまった草などをできるだけ元の状態に戻し、コーヒーブレイク。美しい花を眺めながら、立ちながらの休憩でも至福の時です。「こんなぜいたくはないぞー」とベテランの2人。午前中2時間ほどで観察を終えましたが、午後、2人は別のポイントに行くのだそうです。

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形が目を引くシシウドのなかま

近くていつでも来られて、清々しくてよい所。自分の置かれた環境にしみじみ満足する一方、突然現れた植物を掘ったと思われる穴にはがっかり。その場所で増えていくことを願えば、べつに持って帰らなくてもよいのに。ちょっと悲しい気持ちも背負って、トキソウの小群落に別れを告げました。

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何かを抜いていったのでしょうか…こんな光景は忘れられません

コロナ感染症の世界的な流行で、移動や集団活動を自粛された日々に疲れていたのでしょうか。2020年の梅雨は、トキソウとの出合いが癒やしとなりました。

この日は午後から再び雨。雨露を滴らせ、静かに咲くトキソウの姿を思い描く時間も、また至福のときでした。
 

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