春、飯縄山の残雪がまだら模様を描く頃、築100年の古民家である我が家の庭に、柔らかいニラがたくさん生えてきました。野生のニラ? それとも、前に住んでいた方が春の楽しみに植えたのでしょうか?
畑で採れる野沢菜や白菜などのトウ立ち菜とともに、ノビルやニラなどの野草は、北信州の春の味です。ニラは、野菜の中では数少ない多年草。放っておいても生えてきて、根本近くからざっくり収穫した後も、また逞しく伸びてくれます。
丈はお店で売っているニラの半分ほどですが、柔らかくて甘みがあります。
スイセンの葉と間違えやすいので気をつけてください。スイセンの葉は有毒です!
ニラの葉はちぎると、あのニラ特有の匂いがします。
見分ける自信がなかったり、そもそも周りにニラが生えていないよという人は、直売所などを覗いてみてくださいね。
ボールいっぱい収穫したら、北信濃のおやつ、「ニラせんべい」を作りましょう。
ニラせんべいは子どもからお年寄りまで、みんなに愛されている郷土料理です。
材料(2枚分):
小麦粉100g
ニラ 1つかみ
味噌 大さじ2
水 150㏄
今回は地粉(中力粉)を使いました。地粉だともっちり、薄力粉を使うとさっくり仕上がりますよ。
生地に卵を入れたり、シラスやチーズなど他の具材を入れたりと、レシピは家庭の数だけあります。ニラの代わりにノビルで作るのも美味しいですね。
さっと水洗いしたニラを4~5㎝の長さに刻むと、ふわっと香り立ちます。この匂いをかぐと、「春が来たなぁ」ってしみじみ思います。
菜箸でさっくり混ぜたら、フライパンに油を引いて中火で焼きます。
表面にフツフツと穴が開いては消えていきます。その穴が開いたまま閉じなくなったら、ひっくり返すタイミング。まるでホットケーキのようですね。
ひっくり返して2〜3分。両面にしっかりと焼き色が付いたら完成です!味はしっかり付いているので、このまま食べてみてください。お好みで、七味唐辛子を振るなどしてもいいですね。黒酢をちょっとつけてもさっぱり美味しいです。
長野県に移住して親戚から教わったこの料理、地元のおばあちゃんたちは粉の量など量らずに、ささっと作ってくれます。おやきより手軽な、まさにおやつ感覚ですね。
善光寺の門前でも売っていたり、長野市内のお祭りの露店でも見かけます。
焼き方も、手のひらサイズの円形だったり、卵焼きのように厚みがあったりといろいろ。
このあたりでも、たくさん作り置きして冷凍し、子どもがおやつに温めて食べられるように用意しておく家もあるそうです。
ニラの季節が終わったらナスせんべいになったりとバリエーションも豊富。
飯綱町にきて、庭のニラを見つけたときは、すぐにニラせんべいが思い浮かんで嬉しくなりました。
100年前、ここに住んでいた人たちも、同じようにニラせんべいで春の風味を楽しんだのかもしれません。