トップいいいいいいづなマガジン飯綱東高原の野鳥たち 〜冬編〜

飯綱東高原の野鳥たち 〜冬編〜

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今年は暖冬とはいえ、冬はやっぱり寒いから外に出かけなくなってしまいがち。散歩しても、葉の落ちた木と冬枯れした下草ばかりで楽しくない……。そう考えている方、バードウォッチングを始めてみてはいかがでしょうか?
実は、冬は野鳥観察におすすめの時期。木々の葉が落ちた状態なので視界が開け、葉が生い茂るほかの季節よりも、鳥たちの姿を見つけやすいといわれています。また、冬の間だけ日本に滞在する「冬鳥」たちにも会えるかもしれません。
夏・秋編に続き今回も、NPO法人戸隠森林植物園ボランティアの会の羽田収さんに、飯綱町で見られる野鳥のお話を伺いました。
防寒対策は忘れずに、雪で滑らないように足元にも注意を払いながら、さぁ、冬の飯綱町に棲む野鳥たちに会いに行きましょう。

冬鳥とは、北の国から越冬のため渡来する鳥たちのこと。渡ってきた初期は飯綱東高原などの山地の林で木の実を食べ、雪に覆われる時期になると低地へ移動し、農耕地や川原、雑木林などで越冬します。

飯綱東高原の広葉樹の林が落葉するころ、コブシの梢から「クィッ、クィッ」と聞こえてくる声が、「ツグミ」の渡来を教えてくれます。ツグミはオレンジ色の羽とクリーム色の眉斑、胸から脇にかけてのまだら模様が特徴の全長24cmほどの鳥で、シベリアなどの北方から大群で渡ってきます。

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ツグミ

ツグミの仲間である「シロハラ」は、頭と背中は薄茶とグレーで、その名の通り白いお腹をしています。林に覆われた地上で見かけることが多く、「キョッ、キョッ」「ツィー」と鳴きながら、地面を覆う落ち葉をクチバシや足で飛ばして、ミミズなどを捕食します。単独で行動することが多い鳥です。

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シロハラ

全長15cmほどの小さな「ジョウビタキ」は、山地の少し開けた場所を好む鳥。単独で行動し、オス・メスともに小さな縄張りを持ちます。鳴き声は「ヒッ、ヒッ」や「カッ、カッ」。オスは胸からお腹がオレンジ色、メスはグレーで、胸からお腹はクリーム色をしています。翼にある白い斑がよく目立つため「紋付鳥」の異名もあります。

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ジョウビタキ(オス)
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ジョウビタキ(メス)

紫みを帯びた濃く鮮やかな青色を瑠璃色と表しますが、その色が名前に入った「ルリビタキ」のオスは、やはり美しい青色をしています。冬鳥ではなく漂鳥(日本の中で季節的な移動をする鳥)で、亜高山帯の針葉樹林で繁殖し、冬期は低地で越冬。ジョウビタキに似た声で鳴きます。

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ルリビタキ(オス)
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ルリビタキ(メス)

「キレンジャク」と「ヒレンジャク」は、体がコロコロと丸みを帯びた愛らしい鳥。尾の先が黄色いのがキレンジャク、紅色をしているのがヒレンジャクです。レンジャクは漢字で「連雀」と書き、群れになって連なることが多い野鳥。ヤドリギやガマズミなどの身を食べ、春の渡りの前には人家のツゲの実なども食べます。キレンジャクは「チリ、チリ」と細い声、ヒレンジャクは「ヒー、ヒー」と高い声で鳴きます。不定期な冬鳥で、個体数も少なく、全く渡来しない年もあります。

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キレンジャク
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キレンジャクの羽
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ヒレンジャク
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ヒレンジャクの羽

「アトリ」の仲間も冬鳥として多く見られ、9種類ほどが渡来します。スズメよりもやや大きく、肩や胸が褐色をしています。また、凹尾なのも特徴のひとつ。大群を作り、「キョ、キョ」と鳴きながら波状に飛び、ハンノキの実などを食べます。

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アトリ(オス)
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アトリ(メス)

アトリの仲間である「イスカ」を見かけたら、クチバシをよく観察してみてください。クチバシの先が左右にはみ出して食い違っているのです。これは、松かさの種子を取り出して食べるのに都合がいいため、このような形状になったといわれています。オスは黒褐色の翼と暗赤色の体、メスは黒灰の羽とオリーブグリーンの背しています。こちらもアトリと同じ凹尾です。

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イスカのオス
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イスカ(メス)

「マヒワ」はスズメよりも小さく、黒い縦斑のある黄色っぽい鳥。「チュイーン」と鳴きながら大群で生活し、カラマツやスギなどの樹木の実を食べます。マヒワの群れに、頭の赤い「ベニヒワ」が混ざることもあります。

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マヒワ

鳥の名に「マシコ」が付いていたらそれは「猿子」、つまり猿の顔のように赤い小鳥という意味です。「ベニマシコ」もやはり、尾の長い赤鳥で、オスのほうがより鮮やかな紅色をしています。「フィッ、ホッ」と鳴き、低木の林や草原で生活します。

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ベニマシコ toraemonさんによる写真ACからの写真

渡来する数は多くないけれど、見たら忘れられないのが「オオマシコ」。頭から胸部にかけて鮮やかな桃紅色をしており、特にオスは際立ちます。「ピィー、ピィー」や「ピッ」と鳴きます。このほか、渋い赤紫色の「ハギマシコ」や、口笛の古語である「うそ」からその名がついた「ウソ」、クチバシの太い「シメ」などに出合うことがあります。

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オオマシコ cb1300さんによる写真ACからの写真                            
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ハギマシコ
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シメ

霊仙寺湖には「オオバン」や「ヒドリガモ」などの水鳥が渡来しますが、水面が結氷するため越冬できず、河川などに移動していきます。

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オオバン

冬鳥のほか、飯綱町では留鳥(基本的に日本の同じ地域に通年生息し、季節的移動をしない鳥)のキツツキ類や「イカル」「シジュウカラ」「エナガ」なども見ることができます。

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イカル
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エナガ

エナガとシジュウカラは、種こそ違いますが、秋には一緒に群れを作り生活します。冬になると、「コガラ」「ヒガラ」「ヤマガラ」「コゲラ」なども加わり、多種多様な混群に。これは「カラの混群」と呼ばれています。混群になると、梢を移動するエナガと枝先を移動するヒガラ、林床付近を移動するシジュウカラなどが先行してくれるため、群の上下前後に目が行き届くようになり、他の種は追従することでタカなどの捕食者から逃れることが可能となるようです。また、警戒する鳴き声は、異種間でも共通するのだとか。

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ヤマガラ
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ヒガラ

野鳥の声に耳を澄ませながら、森を、まちを、歩いてみてください。きっと、飯綱町の豊かな自然とそこに棲む生き物たちのことが、さらに身近に感じられるようになることでしょう。

NPO法人戸隠森林植物園ボランティアの会では、自然観察に関心のある方を募集中です。興味のある人はぜひお問い合わせを(電話080-5141-9924)。

写真提供/羽田収さん(キャプションにクレジット記載のあるものを除く)

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