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トップライターKAORUさん令和元年台風第19号 〜支援の輪をつないでいこう〜
トップいいいいいいづなマガジン令和元年台風第19号 〜支援の輪をつないでいこう〜

令和元年台風第19号 〜支援の輪をつないでいこう〜

昨年の台風19号により被災された皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。
そして、復旧復興に関わる皆さまを応援しております。

■台風19号、未曾有の被害
2019年10月12日、巨大な台風が北上してきました。これまでは、山々に守られて台風被害の少なかった長野県。まさかこんな甚大な被害になるとは、誰が想像したでしょう。
飯綱町では町内の広い範囲が停電したほか、強風によるりんごの落果被害もありましたが、軽度にとどまりました。しかしすぐ隣の長野市豊野地区、穂保地区などでは、千曲川の堤防が決壊して市街地に水が流れ込み、家屋が流されたほか、多くの農作物が泥水に浸かってしまいました。水の引いたあとは、家やりんご畑に溜まった汚泥を掻き出したり、使えなくなった家財道具を廃棄物仮置場まで運び出したりと、片付け作業に追われました。

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被災地支援には、さまざまな手が差し伸べられました。そんななか飯綱町では、SNSで情報を共有するつながりが生まれ、さらに人と物の拠点として、フリースペース「ZQ」(ズク)(※1)も活用されました。そのときの様子を振り返ります。

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■ZQを開放し、支援物資の拠点に
2019年10月13日、台風19号による停電で不自由している人たちのために、Wi-Fiが使えシャワー設備もあるZQが開放されました。
「困っている方に利用していただけたらと思って、ZQの開放を上司に相談しました」
こう語るのはZQの管理人を務める竹元奈々さんです。協力者を募り、豚汁とおにぎりを用意したそうです。初めは町内で停電により不自由している方にとの思いからでしたが、町内に大きな被害はなく、「助けてほしい人よりも誰かを助けたい、役に立ちたいと思っている人の方がたくさんいることに気づいたんです」と話してくれました。

りんご農家の天野奈津美さんは昨年、町議会議員の瀧野良枝さんと飯綱町内外のイベントやお知らせを共有することができないかと、Facebookに「FUN FAN iizuna」(※2)ページを立ち上げました。続いてLINEグループも作り、よりたくさんの人が情報共有できる仕組みを広げていたとき、台風被害が起きました。
「りんご農家仲間で、避難所に物資を届けつつ必要なものを聞いてくる、ということを始めたのですが、ちょうどりんごの作業が忙しくなる時期に重なってしまい、りんごの葉摘み作業をしながら連絡や問い合わせの電話をしました」と天野さん。
初めは個人同士で協力物資の受け渡しをしていましたが、タイミングが合わないときに友人が「ZQに置いてきたよ」と物資を届けてくれていたことがきっかけで、ZQが活用されるようになりました。ZQは被災地に届ける支援物資の拠点となっていったのです。

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またFUN FAN iizunaでは、支援に関わる物資や作業の募集情報が大量にやり取りされました。「情報共有がそもそもの目的でしたが、被災地を応援したいという人たちの思いと重なって活用できたのは、タイミングがよかったです」
(現在FUN FAN iizunaは「台風19号災害グループLINE」を別に立ち上げ、もともとの目的である飯綱町内外のイベント告知や情報共有の場に戻りました)

瀧野さんは、物資の提供やZQに集まった支援物資の整理などに参加しました。「民ならではの瞬発力、情報発信力、柔軟性が大切だと感じました。初期対応としてはスピード感があって良かったのではないでしょうか」とグループLINEの活用の効果を振り返ってくれました。

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■リレーのようにつながる善意の輪
飯綱町に昨年移住してきた山下雄輝さんは、友人の天野さんからこの動きを聞いて参加しました。その後はLINEをこまめにチェックして、支援物資の収集、仕分け、運搬を行ったそうです。
消防団や、地域の役といった枠組でまとまっていても、広域で人とつながるのは難しいことです。今回の災害支援をきっかけに、今まで接点がなかったジャンルの人々がつながった、と山下さん。「人を助けたいという思いが自然に結びついたのだと思います。人と人との支え合いが、もっと広がっていったらいいですね」

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正村明菜さんは、まだ小さい3人の子どもを抱えるお母さんです。長野市穂保にあるご主人の職場が被災、親戚の家も被災しました。
子ども連れでは泥掻きに行っても邪魔になる、子どもをおんぶしてでも何かできることがあれば……と思っていたとき、Facebookで「支援物資を運んでほしい」という投稿を見て、ZQを訪ねたそうです。実際には軽自動車で運べるレベルではなく、男性がトラックで運んでくれました。しかし、そのことがきっかけとなり、タオルを持って行ったり、仕分けをしたり、受け渡しの手伝いをしたり、といったできる範囲で参加しました。
「行動力のある人たちと動けない自分との温度差、SNSがどんどん拡散されることに対する不安、炊き出しをしようという動きと、食事が余っているという情報が錯綜するなど、正直、戸惑いもあった」そうです。実は、地元民としては移住者の利用が多いZQに「入りづらさ」を感じていたという正村さん。でも、「いろいろな人たちが集まるZQに実際に来てみたことで、情報を集めやすかったし、参加した感を得ることもできてよかった」と話してくれました。

■微力でも、集まれば大きなうねりとなる
飯綱町役場企画課の古市宗さんは、県庁職員でもあり、まちづくり会社である株式会社カンマッセいいづな(※3)も兼務する多忙な日々の中で、管理人勤務時間外のZQの管理、炊き出しの手配、外郭団体との調整などに、ボランティアとして当たりました。

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そもそもは、管理人の竹元さんからZQで炊き出しをしてはどうか、との提案があり、町が運営するZQの管理を受託している(株)カンマッセいいづなの土倉社長も快諾したことで、ZQにおける支援活動が動き出した、と古市さん。そこに有志の方が集まっていったそうです。
「いろんな人と人のつながりが連携した結果だと思っています。県職員である僕が飯綱町にいるからこそできることだと思ったので、後方支援をやらせてもらいました。県の職員という立場だけでなく、それ以上に同じ長野市民としてできることをしたかった」

町民の皆さんとスピーディーに動けたことに加え、社会福祉協議会もこの活動を信頼して、ZQでボランティア保険の受付(※4)をやっていいと許可してくれたことも良かった、と話してくれました。ただしSNSに対しては、瞬発力があると同時に、声の大きい人の意見が強くなってしまう危険性や、サイレントマジョリティーを拾えないこともあるので、細心の注意を払うことも必要だということです。
「みんな熱い思いがあるんですよ、誰かが困っているとなったらエネルギーが出ますよね。ある意味、ZQを知ってもらういいきっかけにもなりました。これからも“何かができる場所”として活用してもらえたらいいですね」
これまでZQを知らなかったという人も来てくれ、結束感や町の人の熱を感じられたそうです。

オーダー家具製作「WOODFACTOR」(※5)の大川直男さんも、精力的に被災地で支援活動をした一人です。
東日本大震災の復興を応援するために始めたイベント「春だわっしょい!」(※6)では、熊本大地震、糸魚川市大規模火災、九州豪雨と各地に義援金を送ってきました。今回もそのつながりで集まったメンバーは、多い時は9台ものトラックに「華麗に災害復興中」という共通のバナーを付けて、主に豊野地区を回りました。車も流されて搬出手段の無い家も多い中、泥やゴミの搬出をしました。
また、ZQには立ち上げから深く関わってきた経緯もあり、「この場所が災害支援で活用されてよかったと思います。みんなが集える場所になるように応援しています」と語ってくれました。
発災から3か月経った今年の1月には、現場で支援活動をする各団体による、振り返り、現状、課題を共有する集まりがあり、参加したそうです。連携も広がっています。

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長野市豊野でピザ・イタリア料理店「テイクアウト ジャック」(※7)を営む北川智子さんの自宅兼店舗は高台にあって浸水被害を免れました。台風直後から、友人である大川さんと連絡を取り合い、春だわっしょい!のメンバーとして被災ゴミ片付けなどの作業を行ってきました。
近所では個々に支援物資を集める動きがあり、当初北川さんのお店で物資をまとめて預かったそうです。「みんな、届けたいという思いがあるから物資はどんどん集まりました。ただそのやり取りは大変な作業で、現場に出れない、と困って大川さんに相談したところ、ZQで支援物資の収集や受け渡しをしているよ、と紹介してもらいました」
2週間ほど経つと、避難所へ行かずに自宅で片付け作業している人たちの、現場の声が聞こえてきて、平日は営業の合間をみて直接物資を届けることをしました。

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前出の大川さんは言います。「動かなきゃ何も起きないので、協力してもらいながら自分のできることを続けます。まだまだ先も長いし、今すぐ何かできなくてモヤモヤしてたりする人も、現地に入って被災した当事者と一緒に作業したりしてみるとモヤモヤも解消してくると思いますよ。思いの外みんな元気に頑張っています。自分は元気に明るく復興支援に臨みたいと思います。まだこれからだから」

※1 ZQ
※2 FUN FAN iizuna
※3 (株)カンマッセいいづな
※4 ZQでのボランティア活動保険受付は終了しております
※5 WOODFACTOR
※6 春だわっしょい!(2020年5月3日開催予定)
※7 テイクアウト ジャック

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