トップいいいいいいづなマガジン第1回 飯綱町りんごスイーツコンクール結果発表

第1回 飯綱町りんごスイーツコンクール結果発表

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パティシエがお菓子の素材に取り上げる果物の一番はいちご、二番はくり、りんごはその次のポジションなのだそう。こんなに人気の高いりんごを、お菓子に生かさない手はありません。飯綱町は、まさにりんごの町。りんごとお菓子を組み合わせて、町はもちろん、りんごをPRできないかと企画された「第1回長野県飯綱町りんごスイーツコンクール」が、10月23日に東京・銀座NAGANOで開催されました。

応募総数は全国から74作品、レシピ審査のうえ本審査会に進んだのは以下の29作品となりました。
(順不同・敬称略)
1:パティスリーラヴィドゥース  廣瀬亮
2:パティスリーマサオオシマ   大島正勝
3:ステラプリンス        伊藤泰浩
4:お菓子のマド         鈴木洋子
5:旧軽井沢ホテル音羽ノ森    丸山敬寛
6:バラッカ           高島彩
7:KSC                                    長島健一
8:サンクゼール           石山奈津子
9:パン屋たね           藤田賢一
10:中沢乳業株式会社       上野啓介
11:シュクレイ          山口拓郎
12:パティスリーサンマロー    武田利秋
13:シュクレイ          吉田仁
14:ウィッシュボン        北村登
15:メゾンベニコ         熊野亜希子
16:大阪あべの辻製菓専門学校   堀田朗子
17:シュクレイ          井上雄一
18:ぶどうの木          岸本亮
19:株式会社 榮太樓總本鋪    大場慎也
20:パティスリーメゾンドゥース   和仁朝来
21:フランス菓子トワグリュ    三鶴康友
22:明月堂            藤縄直美
23:パティスリーニューモラス   大塚泰裕
24:EN VEDETTE         柏原貴子
25:EN VEDETTE         浅川けい
26:ショコラティエールデリスモア 大勝久美子
27:ホテルニューオータニ     高畑美穂
28:ハイアットリージェンシー   向慶一
29:菓子工房グリューネベルク   濱田舟志

審査するのは、フランス菓子・料理研究家の大森由紀子氏、菓子工房オークウッドの横田秀夫シェフ、パティスリー ル・ポミエのフレデリック・マドレーヌシェフ、パティスリー ラヴィドゥースの堀江新シェフという、お菓子の世界では知らない人はいない、という顔ぶれです。

いよいよ当日、銀座NAGANOの会場には、最終選考に残ったパティシエの皆さんから続々とお菓子が持ち込まれました。なかには、熊本から飛行機でいらしたパティシエも。29の個性あふれるお菓子が並べられると、会場はまるでケーキ屋さんのように甘〜い匂いでいっぱいに。見た目も、「作品」と呼ぶのにふさわしい完成度で、応募者の皆さんの意気込みが感じられました。これだけの数のりんごのお菓子が並ぶ様は壮観です!

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すべての作品がそろい、ついに審査員の皆さんの審査がスタートです。
審査はまず、各審査員があらゆる面からジャッジし、これぞと思う作品に投票します。そして複数の票が入った作品だけに絞り込み、再度試食して得票順に優秀賞を決定します。
それまでニコニコと談笑していた審査員たちの表情が、真剣なまなざしに変わりました。

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最初はやはり見た目から。美しさはもちろん、美味しそうであるか。
それから味。ひと口ずつ味わって、りんごの風味や食感をチェックしていきます。

美味しいケーキが食べられるなんて、うらやましい……と思ってしまいますが、いやはや29もの甘いものを、あらゆる観点から食べ比べなければならないのですから、至難の技です。途中で水を飲んで、舌の感覚をリセットしながら審査は続きます。一体プロの舌の上では、どのようなジャッジが行われているのでしょうか。

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そしてついに、審査発表です。
最優秀賞は、東京都・八王子市「パティスリー メゾン・ドゥース」の和仁朝来(わに あさき)さんに決定しました!
「4人で審査して、意見はほとんど割れませんでしたね」と、笑顔を見せてくれたのは横田シェフです。
名前が発表されると、会場からは、おおお!とどよめきと同時に、拍手が鳴り響きました。和仁さんは、今回が初めてのコンクール出場という、若きパティシエールです。エントリーした作品は、「ガレット・デ・ロワ・オ・タタン」。りんごを使ったフランスの伝統的なパイ菓子であるガレット・デ・ロワの上に、りんごをキャラメリゼしたタルト・タタンを載せたという、まさにりんごのお菓子の王道を行った作品でした。

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パイのサクサクとりんごのシャキシャキに煮りんごの甘み・酸味・苦味と全体のバランスの良さが高評価

DSC_1435.jpeg今後は飯綱町のりんごスイーツ大使として、スイーツ教室の開催など、りんごのPRにもご協力をいただきます

横田シェフは、「コンクールというと、奇をてらってみたり、これまでにないものに挑戦したりということがある。それももちろんすばらしい。しかし今回の彼女の作品は、タタンという古典的なりんごのお菓子を、彼女ならではのエッセンスで現代風にアレンジしていた点が、高く評価されました」と、最優秀に選んだ講評をしてくださいました。

「りんご自体がとても美味しいのに、それを甘くしすぎたり、余計なものを加えたりしたら、とてももったいない。最優秀の作品は、りんごの美味しさを上手に生かすことができていたことも、高評価になりました」と堀江シェフも絶賛しました。

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和仁さんは、9月に企画された「飯綱町農家ツアー」にも参加され、りんご畑ではグラニースミスに噛りつく様子が印象的でした。
「あのとき見学したグラニースミスで作りたかったのですが、最終的には酸味と歯応えが一番よかった紅玉になりました」と和仁さん。
作品を作り上げるまでには、数え切れないほどの試作を繰り返したそうです。

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パイの中はりんごがぎっしりで料理のテリーヌのようなセンスある見た目も美しい

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長野県から参加した意地を見せベルドボスクープの酸味を上手く生かした

続いて、2位と3位の優秀賞が発表されました。熊本県・熊本市「フランス菓子 トワ・グリュ」の三鶴康友さん、長野県・飯田市「パティスリー マサオオシマ」の大島正勝さんです。さらに今回は、特別賞として、りんごをパウダーに加工し飴に作り上げた「株式会社 榮太樓總本鋪」大場慎也さんと、「中沢乳業株式会社」の上野啓介さんの2名が選ばれました。

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板状の飴という意外性がおもしろく噛み砕くとりんごの味が広がる

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艶やかでキュートな見た目は食欲をそそり口の中でさまざまな食感が楽しめる

アンズ、ルバーブ、プルーン、ブルーベリー、ミラベルなどのフルーツを、長野から取り寄せているというフランス人パティシエのマドレーヌ氏に、飯綱町とりんごについてうかがうと、「長野のりんごはフジだけ、というイメージだった。でも9月に初めて(農家ツアーで)飯綱町に行って、たくさんの種類があることにとても驚いたし、楽しかった。またぜひ行きたいね」と話してくださいました。

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また堀江シェフは、パティシエも、素材を作っている現場を訪れることが大事と語ります。
「ただ八百屋さんから仕入れるだけでは、高い・安いだけで終わってしまいます。でもその“場”に足を運び、生産者のストーリーがわかると、お菓子を作るときの気持ちがまったく違ってくるし、味だって変わりますよ。山下フルーツ農園の山下さんや、やまじゅうファームの中村さんのお話をうかがって、農家の方の、りんご作りに対する誇りを感じられました」
また、パティシエの皆さんからは、「こんなに真剣にりんごと向き合ったのは初めて!」「りんごの奥深さを実感するよい機会になった」との感想をいただきました。

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「りんごって、皆が大好きですよね。お菓子界の永遠のアイドルだと思うんです」。そう表現してくださったのは、大森氏。栄養価の高さ、見た目の可愛らしさ、誰にでも愛される美味しさ、そしてお菓子にしたときの汎用性の高さも特長と言います。

「実は、私個人もタルト・タタンのコンクールをやりたいな、と思っていたところに、今回の飯綱町からのお話だったんです。事前の農家ツアーも今回のコンクールにも、たくさんのパティシエが参加してくださって、これだけ素晴らしい作品が生み出されました。りんごはお菓子に欠かせない存在なんだと、つくづく実感しました」(大森氏)

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飯綱町のりんごを知ってほしい、ひいては、りんご離れといわれる風潮から脱却して、りんご農家を元気にしたい。そんな思いから企画された、今回のりんごスイーツコンクール。果物の中でも歴史が古く、世界中で愛されているりんごですが、年々消費量が減り、それに伴って生産量も減っているという統計が出ています。

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今回のコンクールを主催した飯綱町の峯村勝盛町長は、「お菓子を食べると誰もが微笑みます。りんごをこんな素晴らしい作品にしてくださってありがたい。今日はりんご再発見の日となった」と満足げに語りました。
美味しいりんごからは、美味しいお菓子が生まれる。美味しいお菓子にしてほしいから、美味しいりんごをつくる。農家とパティシエ、それぞれのプライドが相乗効果となり、お互いの意欲を高め合うことができました。

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今後は、これをいかに生かしていくかが課題です。パティシエの皆さんには、出品作品をぜひパティスリーに並べていただきたい、また、ゆくゆくはコンクールで生まれた作品を、たくさんの方に美味しく味わっていただけたらと願います。
こうしたりんご農家と異業種のタッグは、お菓子のほかにもさまざまな可能性に広げられるはずです。りんごの奥深さを掘り起こしてくれる何かを、これからも探し続けていきたいですね。

順位

      所属

名前

所在地

1位

パティスリー メゾン・ドゥース

和仁 朝来

東京都/八王子市

2位

フランス菓子 トワ・グリュ

三鶴 康友

熊本県/熊本市

3位

パティスリー マサオオシマ

大島 正勝

長野県/飯田市

特別賞

株式会社 榮太樓總本鋪

大場 慎也

東京都/中央区

特別賞

中沢乳業株式会社

上野 啓介

東京都/港区

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りんごスイーツコンクールHP

 

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