トップいいいいいいづなマガジン飯綱東高原の野鳥たち 〜夏・秋編〜

飯綱東高原の野鳥たち 〜夏・秋編〜

kibitaki.jpg

キビタキ

霊仙寺湖周辺に広がる飯綱東高原の森。初夏から秋にかけて、黒い羽、黄色やオレンジ色のお腹をした小さな鳥が、透き通る高い声でさえずりながら、せわしなく動いているのを見たことがありますか?
この鳥の名は「キビタキ」。比較的多く渡来する野鳥です。

「キビタキの観察の適期は4月末ごろから5月中旬ごろまで。緑の中で、忙しく子育てをする様子が見られます。また、秋の渡りを前にしたキビタキは、さえずることなくミズキなどの木の実をついばんでいるでしょう」
そう話すのは、NPO法人戸隠森林植物園ボランティアの会の羽田収さん。
この会では、主に戸隠森林植物園(長野市)を拠点に、自然観察会やネイチャーウォークなどのイベントを行っています。飯綱町では観察会は開催されていませんが、霊仙寺湖周辺で見られる鳥は、戸隠とほぼ変わらないだろうとのこと。
今回は、飯綱東高原でよく見られる夏・秋の鳥についてうかがいました。

飯綱東高弦周辺の夏鳥.jpg

「見つけやすいのはキビタキやゴジュウカラですが、声が聞こえるのはウグイス、カッコウ、ムクドリ、ホトトギス。それに、ホオジロも林縁(林の縁、森の境目あたり)あたりでもよく見られます。いいづなリゾートスキー場から、ペンション街の方を経由して霊仙寺湖まで歩くと、カラ類やキツツキ類などの留鳥のほかに、クロツグミやキビタキなど、夏鳥のさえずりも聞こえてくるでしょう」(羽田さん)

gojyukara.jpg

木の実を幹に貯食するゴジュウカラ

a.magamo.JPG

休憩するカルガモの親子

霊仙寺湖では、カルガモやセキレイなど、水辺を好む野鳥がいることが多いです。また、いいづなリゾートスキー場の隣りにある水芭蕉園では、ノジコやアオジ、アカハラ、ミソサザイなどが観察できます。

aoji.jpg

アオジ

akahara.jpg

アカハラ

しかし、グリーンシーズンは葉が生い茂っているため、鳥の姿を見つけるのは難しいもの。そんなときは、耳を澄ませてみてください。「ホーホケキョ」はウグイス、「カッコー」と鳴くのはカッコウ。「ポポッ、ポポッ」と筒を叩くように鳴くのはツツドリです。霊仙寺湖周辺の森の中からときおり聞こえてくる「アオー、マオー」という特徴的な声はアオバト。姿を見るのはなかなか難しいのですが、オリーブグリーンの美しい鳥です。

052f3fb197e89c33c6fbdeac5c69ebeb_s.jpg

アオバト(toraemonさんによる[写真AC]からの写真)

聞きなし(鳴き声を人間の言葉に当てはめて覚えやすくすること)で鳥を覚えるのも楽しいですね。「特許許可局(トッキョ・キョカキョク)」や「テッペンカケタカ」という聞きなしで有名なホトトギスも、東高原で見つけやすい鳥。ちなみに、ホトトギスは夜も鳴くため、「暗闇なのに鳥が鳴いている!」と、びっくりしたことのある人も多いのでは?
「一筆啓上仕り候(イッピツケイジョウ・ツカマツリソウロウ)」や「源平ツツジ、白ツツジ」、「札幌ラーメン味噌ラーメン」というユニークな聞きなしはホオジロ。お子さんと一緒に散歩しながら、新しい聞きなしを考えるのもいいですね。

kibitaki2.jpg

餌をくわえた子育て中のキビタキ

「キビタキも、いい声で鳴きますよ。高い音で、『ポリー、ポッポロリー』って。キビタキは黄色で目立ちますし、林縁にいることがあるので、鳴き声が聞こえたら、ぜひ姿を探してみてください」と、羽田さんは言います。

東高原で比較的見られる鳥といえば、キツツキの仲間たち。周辺には、アカゲラやアオゲラ、コゲラなどが生息しています。
「見分け方は、白黒で小さいサイズがコゲラ、アカゲラは白と黒に、お腹の赤が鮮やかです。アオゲラは黄緑で渋い羽の色をしています。アカゲラより大きなオオアカゲラは、飯綱高原にも生息しているので、東高原でも観察されるかもしれません」

1d1062c0c14822e7eb369ff94ec0502e_s.jpg

コゲラ(toraemonさんによる[写真AC]からの写真)

37a1fa73aa36ba9e04c0267b514e7fc5_m.jpg

アカゲラ(まこりげさんによる[写真AC]からの写真)

霊仙寺湖周辺の上空は、タカの渡りのコースになっているようです。
「9月〜10月始め頃には、タイミングがよければ、サシバやハチクマなどのタカ類が渡る様子が観察できます」

a.guides.JPG

NPO法人戸隠森林植物園ボランティアの会の羽田収さん(右)と理事長の水上則男さん

野鳥に興味が出てきたら、自然観察会などに参加して、野鳥の種類や生態について教えてもらうのがおすすめです。長野市戸隠にある戸隠森林植物園では、10月末までさまざまな自然観察会やバードウォッチングなどを開催しています。ガイドさんから基礎的な知識を教えてもらい、飯綱町でも日常的に自然観察が楽しめるといいですね。
また、ボランティアの会では自然観察に関心のある人の入会を募っているそうです。興味のある人は、戸隠森林植物園ボランティアの会(電話080-5141-9924)に問い合わせてみてください。

※東高原の森はツキノワグマの生息地でもあります。散策する際にはカウベルを用意したり、出没情報を聞いておくなど、クマ対策をお忘れなく。

写真提供/羽田収さん(キャプションにクレジット記載のあるものを除く)
取材協力/戸隠森林植物園ボランティアの会 電話080-5141-9924

 

カテゴリー