トップいいいいいいづなマガジン飯綱町にはすごいヒーローがいた! −会いに行ける天狗・飯綱三郎伝説−

飯綱町にはすごいヒーローがいた! −会いに行ける天狗・飯綱三郎伝説−

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飯綱町民にはなじみの存在である天狗「飯綱三郎」。平安時代末期に飯縄山に祀られ、火防の神、軍神として多くの戦国武将に信仰されたことで全国に広まりました。今でも東京の高尾山薬王院や、千葉県の鹿野山神野寺、飯縄寺、栃木県日光市の日光山輪王寺など、特に関東以北の各地で熱心に信仰されています。つまり、飯綱三郎、実は全国区の超有名天狗だったのです! 

そんな天狗に以前から注目をしていたのが、長野県内のラジオや新聞のコラムで活躍し、「サブカルの伝道師」の異名も高い(!?)ダイナマイトマンダムさん。サブカル目線から、飯綱町と飯綱三郎の新たな魅力を探ります。

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「飯綱三郎」は烏天狗(からすてんぐ)だった!

町民の看板や飯綱東高原の天狗像、「むれ温泉 天狗の館」の入り口の天狗のお面など、町内には至るところに赤い顔と長い鼻の「鼻高天狗」のモチーフが溢れています。しかし、実は飯綱三郎は本来、カラスのようなクチバシと翼をもつ「烏天狗」なんです! わかりやすさのために、いつからか鼻高天狗になってしまったのだとか。とはいえ、熱心な高尾山の信者は「烏天狗」にこだわったため、今でも高尾山に祀られている天狗は烏天狗だそうです。

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中世の秘経「天狗経(てんぐきょう)」に登場

かつて、日本全国には12万5500の天狗がいるとされ、室町時代から江戸時代中期には密教系の祈祷秘経「天狗経」も誕生しました。有名な天狗名が書かれた経典で、それを唱えれば神通力で魔を退散できるとされたのだそう。この天狗経で唱えられた天狗の数は48。まさに、国民的アイドル「AKB48」ならぬ「TNG48」のなかに飯綱三郎が選抜入りしていたのです! ちなみに、48という数字は「たくさんの数」という意味を表していたのだとか。

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飯綱三郎は「神7」的存在だった!

48天狗のなかでも以前から人気で力が強いとされたのが、日本の天狗界を代表する「八天狗」。なんと、飯綱三郎はそのなかにも選ばれていました! いわば「AKB48」で言うところの人気メンバー「神7」に匹敵する「天狗8」だったのです!

なお、「48天狗」には長野県の御嶽山・六石坊も選ばれていますが、「天狗8」に選ばれたのは、長野県からは飯綱三郎だけ!

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飯縄山の由来は「天狗の麦飯」だった!?

全国的な大飢饉に襲われたある年、飯綱三郎は飯縄山にある食べられる砂「天狗の麦飯」を日本中に配り、庶民の命を救ったと伝わっています。「天狗の麦飯」とは中部地方の火山地帯に自生する謎の物体。植物とも微生物とも菌やバクテリアとも言われています。古くは「飯砂(いいずな)」とも呼ばれていたそう。飯縄山の名称はこれに由来しているという説があります!

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2017年、飯綱町で「天狗の麦飯」発見!

そんな「天狗の麦飯」、残念ながら飯縄山では絶滅したと言われていますが、2017年7月、なんと明治41(1908)年に黒姫山で採取したと記された「天狗の麦飯」入りの瓶が町内の民家で見つかりました。今後はふたを開け、内容物の培養を試みるのだとか。飯縄山の「天狗の麦飯」復活も見られるか!?

なお、小林一茶の俳句にも「天狗の麦飯」を詠んだ句があるんですよ。

(涼しさや 飯を掘り出す 飯縄山)

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飯綱町民にとって「会いに行ける天狗」!

飯縄山の厄除け天狗として、今も地域を見守り続けている飯綱三郎。全国クラスの天狗にして、飯綱町民にとってはAKB48のキャッチフレーズ「会いに行けるアイドル」ならぬ「会いに行ける天狗」なんです! 地元のヒーロー、飯綱三郎の誇りをみんな大切に!

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※本記事は「IIZUNA PROFESSIONAL PEOPLE VOL.2(2017年9月発行)」掲載記事を加筆修正したものです。

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