2026年10月4日、すっかり秋めき、肌寒さすら感じるようになった長野市の飯綱高原スキー場に、高らかなエンジン音が響き渡りました。2回目の開催となる「イイヅナマウンテンカーフェスタ2026」には、ランボルギーニやフェラーリなどのスーパーカーをはじめ、クラシックカーや個性豊かな名車が約180台集結。大勢の車愛好家や家族連れでにぎわいました。

このカーフェスタの魅力は、何といってもずらりと並ぶ多彩な車たち。普段なかなか目にすることのできないスーパーカーや名車を間近で見ることができ、会場のあちこちから「すごい!」「かっこいい!」という声が聞こえてきます。

楽しみは車だけではありません。会場にはたくさんのフードトラックが並び、食事やスイーツを楽しむことができました。さらに、小物をつくるワークショップや射的など、子どもたちが楽しめるコーナーも用意され、飯綱町のりんごの販売も。車を見て、食べて、遊んで、買い物もできる、親子で一日楽しめる盛りだくさんのイベントとなりました。

真っ赤なりんご色が目を引くポスターには、「こどもたちがつなぐ人と町」の文字。実はこのイベント、実行委員長は高校生、そしてボランティアスタッフとして多くの中高生が運営を支えています。

カーフェスタの始まりは、飯綱中学校の「総合的な学習の時間」でした。地域の課題や魅力を題材に、自らテーマを見つけて探究する学習の中で、昨年、中学3年生だった天野結翔(ゆいと)さんら車好きの生徒たちが第1回を企画。現在高校1年生となった天野さんは、今年の第2回でも実行委員長を務めました。知り合いの車屋さんをはじめ、町で見かけたカッコイイ車のオーナーさんたちに声を掛けて参加を募ったそうです。

ユーチューバーの方からインタビューを受ける天野さん
カッコイイ車たちの様子はSNS等で大勢の参加者が配信していますので、イイヅナマウンテンカーフェスタで検索してみてくださいね。
さて、今回は、準備から当日の運営までボランティアとして奮闘した飯綱中学校の滝澤志音さんと武藤大征さんに、活動を振り返ってもらいました。
今年も物語の始まりは、飯綱中学校の「総合的な学習の時間」。地域のためにできることを考える「地域イベント」の活動で、志音さんは迷わず「カーフェスタの運営に関わりたい」と手を挙げました。
もともと大の車好きで、昨年の第1回にも観客として参加していた志音さん。一般的な車イベントでは「国産車限定」などジャンルが分けられることもありますが、このカーフェスタには世界各国のさまざまな車が集まり、自由な雰囲気があります。中でも志音さんが大好きなのは「日産 R34 スカイライン GT-R」。昨年の会場で多彩な名車を目の当たりにし、「大好きなイベントを自分の手で盛り上げたい」という思いを強くしたといいます。
ところが、カーフェスタを希望したのは学年で志音さん一人。他の生徒たちが夏祭りなどの活動に取り組む中、志音さんは一人で実行委員会の天野さんと連絡を取りながら、中学生にできることを模索しました。
しかし準備が進むにつれ、「とてもじゃないけれど、1人ではやっていられない!」と実感。そこで、周囲の友人たちに声をかけることにしました。
まずは夏祭りの準備をしていた男子生徒たちに、「頼むからカーフェスタを手伝ってくれ!」と直球でSOS。志音さんの熱意に応え、友人たちは快く参加してくれました。
さらに、保育園児との交流企画に取り組んでいた女子生徒たちにも声をかけました。子どもたちが楽しめる企画に興味を持った女子生徒も加わり、キッズ向けのブースも決定。最初はたった一人だった志音さんの思いが仲間を呼び、頼もしいチームへと広がっていきました。
展示車両に掲示する案内をラミネートする中学生
イベント前日は、会場設営のため大忙し。今回初めてボランティアとして参加した大征さんは、前日の作業が特に印象に残っているといいます。
「初めてボランティアとして参加して、準備が本当に大変なんだと分かりました。大きなテントをみんなで立てたり、重い机や椅子を運んだりするのが大変でした」

みんなで汗を流して準備したテントや設備は、翌日の来場者を支える大切な舞台となりました。
そして迎えた当日。中学生スタッフは、ブースの運営や会場案内、キッズMC、じゃんけん大会など、さまざまな仕事を担当しました。


じゃんけん大会の景品には、我らが「みつどん(飯綱町公式PRキャラクター)」グッズも♡
車を目当てに訪れた人だけでなく、それぞれの楽しみを見つけ、会場は一日を通してにぎやかな雰囲気に包まれていました。

オリジナルりんごメニューを販売する中学生
中学生たちは会場をゆっくり見て回る余裕もないほどの忙しさでしたが、来場者の笑顔に触れながら、自分たちの手でイベントを作り上げているという実感を味わいました。それが、大きなやりがいにつながったようです。
志音さんにとって最高の思い出となったのは、憧れのR34 スカイライン GT-Rのオーナーと直接話ができたこと。
「フォルムだけでなく、エンジンの音まで全部が完璧で、めちゃくちゃカッコよかったです」
一方、参加前はそれほど車に詳しくなかった大征さんにも変化がありました。
「ボランティアとして参加して、ちょっと車が好きになりました。特にGT-Rがすごくカッコよかったです」

大征さんが小学生の頃、鈴鹿サーキットでの思い出の1枚。真剣な表情でセナのマシンにカメラを向けています。実はお母さんが車好きなのだとか

イベントを終えて集まる中高生、大人のボランティアスタッフ
「こんなにたくさんの仲間が集まって手伝ってくれて、本当にありがたかった」と志音さん。一人の中学生が勇気を出して手を挙げたことから始まった活動は、少しずつ仲間を増やし、やがて大人の実行委員会とともに大規模なイベントを支える力になりました。
「やってみたい」という一人の思いを、仲間が受け止め、一緒に形にしていく。その経験こそが、カーフェスタが子どもたちにもたらした大きな財産なのかもしれません。

飯綱高原の雄大な自然の中で響いたエンジン音と、中学生たちの笑い声。イイヅナマウンテンカーフェスタ2026は、名車を楽しむだけでなく、「こどもたちがつなぐ人と町」のコピーを体現した、地域を盛り上げる場にもなりました。

片付けが終わったイベント会場を眺める志音さん
一人の「やってみたい」から始まった活動が、仲間をつなぎ、人を呼び、地域を盛り上げる。その輪は、これからもきっと広がっていくことでしょう。