本格的な冬を感じる12月7日、飯綱町の三水B&G2階ホールに数字が書かれた木のピンが並びました。

開催されていたのは「第19回飯綱町みんなのスポーツ大会」。主催は、町の健康づくりを支える、いいづなスポーツクラブです。今年の種目は、近年じわじわと人気が広がるフィンランド発祥のスポーツ「モルック」。町内では昨年に続き2回目の開催となりました。
インフルエンザの流行やほかのイベントの影響で、当初の予定より減ったものの、当日は9チームが参加し、会場には笑顔と歓声が絶えませんでした。子どもからお年寄りまで、誰でも楽しめるのがモルックの魅力です。
【モルックってどんなスポーツ?】
モルックは、木の棒(モルック)を投げてピン(スキットル)を倒し、得点を競うニュースポーツ。ボウリングとカーリングを合わせたようなルールで、運と戦略の両方が求められます。
1〜12の数字が書かれたスキットルを立てておき、モルックを投げてスキットルを倒します。1本だけ倒したら、そのスキットルの数字が得点。2本以上倒れたら、倒れた“本数”が得点になります。スキットルは倒れた場所にそのまま立て直すため、試合が進むにつれてスキットルの位置がどんどん広がり、狙いをつけるのが難しくなっていきます。
ちょうど50点を取ったチームが勝利となるのですが、50点を超えてしまうと25点に戻る、また、25点以上で3回連続ミスをすると25点に戻る、というスリリングなルールがあるので頭脳戦の要素もあり、子どもからお年寄りまで楽しめるのが魅力です。

途中、得点版係をお手伝いしたのですが、審判が点数を伝えてくれるとはいえ、ずっと足し算の暗算をし続けて、計算が合っているかドキドキしていました。
ちなみに「モルック」という名前は、木の棒そのものを指すフィンランド語なんですよ。

自分のチームの得点を伸ばすことを考えるか、相手チームの点数が50点にならないように、ちょうどいい数字を狙って遠くにはじいてしまうか、ゲーム後半になるにつれて作戦のとり方も重要になってきます。

なかでも注目を集めたのが、小学6年生3人組のチーム「サザエさんS」。普光寺地区の育成会でモルックを体験したのがきっかけで大会の存在を知り、「優勝したい!」と意気込んでエントリーしたそうです。試合前には作戦会議を重ね、チームワークもばっちり。チームの監督を務めるお父さんの指示にも熱が入ります。惜しくも優勝には届かず2位でしたが、すばらしい健闘ぶりでした。

栄えある優勝を飾ったのは、主催者チーム「スポクラ2025」。一本を正確に狙う技術が群を抜いており、狙ったスキットルを確実に倒していく姿は熟練の職人のよう。考え抜かれた作戦と正確なコントロールで他チームを圧倒しました。とはいえ、彼らも「勝ち負けよりも楽しむことが一番」と笑顔。狙いどおりにスキットルが倒れたときは童心にかえってガッツポーズです。大会を盛り上げながら、参加者にモルックの魅力を伝える姿が印象的でした。

「みんなのスポーツ大会」では、これまでもソフトバレーなど町民が気軽に参加できる種目が企画されてきました。
運営するいいづなスポーツクラブのスタッフは「お年寄りにとっては健康づくりの場に、そして子どもたちにとっては新しいスポーツに触れるきっかけの場にもなると思います。誰でも出来て楽しめるので、大勢の地域の方に参加していただきたい」と話してくれました。
大会の最後には、参加者全員に温かいきのこ汁がふるまわれました。地元の具材がたっぷり入った湯気立つお椀を手に、会場のあちこちで笑顔が広がりました。

いいづなスポーツクラブでは、今後も町の生涯学習係と協力しながら屋内でも屋外でもできるモルックの普及を進めていく予定です。誰でも気軽に始められて、勝負にこだわりすぎず、世代を超えて楽しめるモルック。飯綱町では、その輪が少しずつ、でも確実に広がっています。モルックのセットは町民会館で貸し出しもしているそうです。

とは言え、順位にもこだわりたい6年生。
しゅうくん(写真右1)「2位で悲しかった。3点差がとても悔しかったです」
ふうせいくん(写真中央2)「友達とのチームワークが大切だなと思いました」
いつきくん(写真左3)「勝つぞっていう気持ちで来ました。3点差で負けてしまったけれど、2位になれて良かったです」

「次は優勝をめざす!」と目を輝かせる「サザエさんS」の子どもたち。彼らの後ろ姿に、町の未来とスポーツの新しい風を感じた一日でした。