まちの交流スペースとして親しまれてきたZQ(ズク)に、駄菓子屋さんがオープンしました。でもこの駄菓子屋さん、普通のお店とはちょっと違います。なんと、ロボットが店番をする「ロボット駄菓子屋さん」なのです。
どんなお店なのか、まずはロボットに聞いてみましょう。ロボットという響きからはほど遠い(?)かわいらしくてアナログ感満載のキャラクターが、お店の真ん中にちんまりと座っています。話しかけると、両手(?)をパタパタさせながら答えてくれました。
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Q. どうやってお買い物をするの?
A. まずは好きなお菓子を選んで、ロボットの前に並べてね。ロボットが計算をしてくれたら、代金を引き出しに入れて、お釣りが必要なときはそこから取ってください。たまにロボットは「このお菓子いくらだっけ?」って聞くかも。そのときは教えてね。
Q. お小遣いでお菓子をひとつだけ買うのもOK?
A. もちろんいいよ! お菓子は10円からあるよ。
Q. このロボットは鳥? 名前は?
A. 鳥に見える人もいれば、生クリームの妖精だと思う人もいるみたい。今はまだ名前がないので困っていたら、名前募集の張り紙を書いてくれたお友達が出てきました。みんなで素敵な名前をぜひ考えてみてね!
Q. 買い物するとき、わからないことがあったらどうすればいい?
A. お店が開いているときは、地域おこし協力隊のスタッフがいるから、気軽に聞いてね。
Q. 週に2日しか営業してないの?
A. お店を開ける人手が必要で今のところは週2日だけなんだ。でも、仲間が増えたら開いている日が増えるかも。この場所を一緒に楽しく育ててくれると嬉しいな。
Q. ロボットとお話ししてみたい!
A. もちろんOK! 気軽にどんどん話しかけてね。
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僕をつくったのは、飯田市にある広告デザイン会社の人たちなんだ。デザインを中心にしながら、IT関連やアート教室、飲食店やレンタルスペースなど、いろんな小商いをやっているよ。地域の人たちと課題解決を目指す「まちのなんでも屋さん」みたいな存在なんだって。僕たちロボット駄菓子屋も、そんな活動の延長線上にあるんだ。飯田市で始めた駄菓子屋のプロジェクトラボ「裏山しいちゃん」の取り組みが、飯綱町のZQで初めて商用展開されたんだよ。
僕をつくった会社と飯綱町とのつながりは約8年前に遡る。ビジネスコンテスト「いいづな事業チャレンジ」の講師として招かれたのがきっかけで、「魅力的なまちで、面白い人たちが集まっている」と感じたそうなんだ。
「何度か呼んでいただくうちに知り合いが増え、まちとのつながりが深まっていくのを感じました。それで昨年あたりから、飯田での経験を飯綱町に持ってきたら面白いのではと思い始めたんです。こういう話って、まわりに話すと一気に進みますよね。町役場の方にプレゼンする機会を得て、『じゃあ、ZQでやってみよう』という話になりました」って言っていたよ。
なぜ駄菓子屋さんだったのかって? 僕たちは、もともと会社にインターンで来ていた高校生の「駄菓子屋をやってみたい!」という一言から始まったんだ。店番を常駐させるのが難しかったから、当初は会社にあった操作型ロボットのプロトタイプが店番をしていたそう。でも、そのロボットを返却することになって、しばらく「ロボットのいないロボット駄菓子屋」になってしまったんだって。
「それなら自分たちで作ろう、という話になりました。最初は隣の部屋からヒモで引っ張って動かしていたんですが、ビジネスパートナーの協力も得て、モーターで動かせるように改良。その後もトライアルアンドエラーを繰り返しながら、だんだん今の形に進化したんです」って。今ではインターネットにつながっていて、日本どころか、世界から遠隔操作ができるんだよ。
僕の外見は、アート教室の子どもたちが遊びで作って放ってあった新聞紙の張り子に顔を描いただけのシンプルなもの。それに、たまたまあった帽子をかぶせて仕上げたんだ。それでも子どもたちは、ヒモを引っ張るだけだった僕が少しずつ進化していくのを、興味深く見守っていたそう。現在、裏山しいちゃんの僕の仲間もZQの僕も、飯田市の会社から遠隔で操作してもらっているんだ。
実際、裏山しいちゃんでは、子どもたちが学校での出来事を話しに来たり、県外の大学生たちが遠隔店番をしたりと、多くの交流が生まれているよ。
「飯綱町の役場の方とお話ししたときも、町内には子どもたちの遊び場が少ないから駄菓子屋でもやったらどうだろう、という構想が役場にもあると聞いたんです。ただ、実際にやるとなるとノウハウも実現可能性も不透明。そこで省力化したロボット駄菓子屋なら実現できそうだし、子ども達はもちろん、地域内外の人も参加できる取り組みになって、きっとにぎわいのある場所になる。そんな想いから、一緒にやってみようということになりました」って、僕をつくった会社の人が話していたよ。
人手がないことからスタートした僕たちロボット駄菓子屋だけど、それは単なる省力化じゃなく、もっと大きなメッセージが込められているんだ。
「『うちのまちには何もないから』って、田舎でよく耳にする言葉ですよね。でも、何もないのが不満なら、自分たちで作っていけばいい。できる範囲でどんどん形にしていけば、まちは面白くなっていくんじゃないかって。それを見ている子どもたちも、『自分も何かやってみたい』って感じてくれると良いなと。ロボット駄菓子屋を通じて、『自分たちのまちは、自分たちで育てていける。まちはDIYできるんだ』ということを伝えていけたらと思っています」って、僕をつくった人が言っていたよ。
また、「なぜあえてロボットが接客するの?」と思う方もいるかもしれないね。
「たとえば、いろいろな事情で外では働けないけれど、自宅から遠隔操作ならできるという方の仕事になる可能性も秘めています」って、僕をつくった人は話しているんだ。
ぜひ一度、ZQの僕に会いに来てね。僕との会話も、きっと楽しい体験になるよ!
※僕をつくった会社は、僕たちロボットの店員を通してまちを楽しくする仲間を募集しています。もし、「ZQの開閉店を手伝ってくださる方」や「自分たちのお店の一角に、ロボットが販売するスペースを取り入れてみたい」という方がいたら、ぜひご相談ください。
(株)週休いつか 担当:新海 mail@robot-dagashiya.com
ロボットだがしやZQ インスタグラム
長野県上水内郡飯綱町牟礼522-1
営業:金曜・土曜日 13〜18時