トップライターイイヅナマスオさんたった2人の吹奏楽部~存続の危機を乗り越え、未来へつなぐ!

たった2人の吹奏楽部~存続の危機を乗り越え、未来へつなぐ!

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私、イイヅナマスオの娘が2024年4月、飯綱中学校の吹奏楽部に入部しました。娘によると、入部時の部員構成は3年生6人、2年生1人、そして1年生は娘が1人。合計わずか8人。秋に3年生が引退したら、部員はたったの2人になってしまったそうです。
さらに飯綱町では2025年4月に部活動が地域に完全移行になります。これは新たな地域活動として、地域の民間指導者などに活動を移管するという制度です。部員減少と地域移行という二重の課題に直面し、吹奏楽部は存続の危機に立たされました。

この危機を回避するため顧問の先生が各所に相談を持ち掛けると、吹奏楽部のOB・OGや飯綱町在住の方々から「吹奏楽部の存続を応援したい」と、次々に名乗り出てくださったのです。

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まず実施したのは、演奏会と楽器体験会の開催です。生の演奏を聴いて、実際に楽器に触れてもらい、吹奏楽に興味を持ってもらおうと企画しました。会場は飯綱中学校の講堂を手配し、牟礼小学校と三水小学校の高学年に向けてチラシをつくって配布しました。

どれだけの人が来てくれるか心配していましたが、当日は保護者を含め約30人もの来場者が集まりました。演奏会では「中学校校歌」と「ジャンボリミッキー」が披露されました。今も現役で活躍されているOB・OGの素晴らしい演奏に、会場全体が魅了されました。

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その後の楽器体験会では、楽器に触れるだけでなく、実際に吹いたり叩いたりすることもでき、貴重な体験をさせてもらいました。音を出すだけでも難しい楽器ですが、すぐに音が出せる子どもたちもいて、未来への大きな可能性を感じました。娘は「たくさんの人に参加してもらって、応援もいただき、本当にうれしい」と喜んでいました。

演奏会と楽器体験会を実施した効果はというと、吹奏楽クラブへの入会に興味を示してくれた子どもは、なんと10人もいたのです! 4月の入会が今から楽しみです!

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部活動地域移行のメリットとデメリットをあらためて考えてみました。
▼メリット
・活動対象が飯綱中学校の生徒に限定されず、中学3年生から小学5年生までの生徒はどの学校に通っていても参加が可能
・複数のクラブ活動に、同時に参加することも可能
・経験豊富な方々の支援を受けられるため、より高いレベルの指導が期待できる
・地域の方々との交流が増え、地域コミュニティの絆が強まる
・異なる年齢層が一緒に活動することで、教え合いや学び合いの機会が豊かになる

▼デメリット
・教員の付き添いがなくなるため、活動時には必ず大人の付き添いが必要
・これまで教員が指導していたが、今後は指導者への報酬をどうするかという課題
・活動場所によっては保護者による送迎が必要になる

▼吹奏楽部特有の課題
・各楽器には高い専門性があり、指導者でも自分の専門外の楽器については指導が難しい
・人数確保だけでなく楽器パートのバランスの課題
・トラブル発生時の責任所在が不明確

飯綱中学校吹奏楽部は、地域移行後も音楽室をはじめとする学校施設の継続利用と、学校所有の楽器の使用が認められています。ほかの部活動では、活動場所や用具の確保から始めなければならないケースも少なくないため、吹奏楽部は非常に恵まれた環境にあるといえます。さらに、今回の体験会にみられたように、OBOGをはじめとする多くの支援者がいることは、何よりもかけがえのない財産です。

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吹奏楽部だけでなく、部員の減少や指導者の不在により存続の危機に直面している部活動は少なくありません。少子化が進む中、課外活動の選択肢も増え、クラブに入る子ども自体が少数派となっているのが現状です。

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今回の体験会を支援してくださった方々から「部員が2人になっても辞めずに続けてくれてよかった」という声がありましたが、飯綱中学校の吹奏楽部はショーケースに並ぶ多くのトロフィーや盾が物語るように、長い歴史と伝統があります。
少子化が進む飯綱町でも、子どもたちが身近に楽器に触れられるという恵まれた環境が今後も続いていくことを願っています。今回の吹奏楽部存続の取り組みが、地域全体の新たなつながりを生み出し、部活動地域移行のモデルケースとなるように私も応援していきたいと思います。

※飯綱吹奏楽団(仮称)の具体的な活動スケジュールなどは現在調整中です。正式な入部案内が後日発信される予定ですので、詳細については今しばらくお待ちください。

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