昨年(2024年)2月、いいづなコネクトEASTのプールがスノーボードパークになって、たくさんの人でにぎわいました。テレビのニュースでも取り上げられたので、「おもしろい取り組みだなあ」と気になった方もいらっしゃるのではないでしょうか。これは飯綱町が長野県地域発元気づくり支援金事業で実施する「いいづな若者会議」の一環で、第2回の参加メンバーたちが運営を行ったイベント『EAST SNOW GARDEN』の企画の一つでした。
(一社)Unite up Iizunaを立ち上げた荒木淳也さん(2列目左)、成瀬将之さん(手前)、奥村夏生さん(2列目中央)、眞喜志祥吾さん(2列目右)と、2023年のメンバーたち
子どもから大人までたくさんの人が遊びに来てくれたYUKINORI POOL
「いいづな若者会議」は、2022年に初めて実施されて以来、毎年行われています。次代を担う若者たちが地域活性化に関わり、その経験によって自分のまちを好きになり、まちづくりにも興味をもってもらいたい、という趣旨でスタートしました。
2022年度の第1回メンバーは、町内に老若男女が盛り上がって遊べる場がないことから「ディスコをやって非日常を楽しもう!」というテーマで『イイヅナ☆ディスコ』を企画。3月に5回目の開催を予定しているそうですが、毎回大いに賑わう人気イベントに成長しています。2023年度のメンバーたちは、寒い雪国だからこそ楽しめることがあると、冬の飯綱町に若者が集まるイベント『EAST SNOW GARDEN』を企画しました。なかでもいいづなコネクトEAST(旧三水第二小学校)の使われなくなったプールに除雪した雪をため込み、スノーボードパークにする「YUKINORI POOL」の取り組みは話題となりました。
1泊2日の合宿形式で実施した2023年度いいづな若者会議
プールのスケートボードパークで試し乗り
メンバーたちは、これを単発イベントで終わらせたくないと、雪のない時季はスケートボードが楽しめるように手作りのセクション(トリックをするための傾斜や箱、レールなどのこと)を設置するなど、町内初のスケートボードパークをつくるべく検討を重ねていきました。そして同年7月には飯綱町初のスケートパークとして運営を開始。2025年3月からは、いいづなコネクトEASTの体育館も屋内練習場として使用できるようになりました。現在は、一般社団法人Unite up Iizunaを立ち上げて活動しています。
ヘドロだらけのプールを役場の方も一緒に掃除
「若者会議に参加したのは、自分が好きなスケートボードやアウトドアで、何かおもしろいことができないかなと模索していたところを、知り合いに誘われたことがきっかけでした。藻が繁殖してヘドロでどろどろだったプールを掃除するところから始まって、たくさんの方々の協力のおかげで今があります。EASTの体育館も使わせてもらえるようになって、雨でも遊べるので感謝でいっぱいです。若者会議で仲間にも恵まれて、参加してよかったと思っています」と感慨深い面持ちで語ってくれたのは、代表を務める眞喜志祥吾さん(39)。
笑顔で語る眞喜志さん
昨年開催されたパリオリンピックで日本の若い選手たちが活躍したこともあり、子どもの習い事として大人気のスケボー。いいコネEASTの体育館には、1月は約90人、2月は約200人と、子ども連れの家族や初心者の子どもたちがたくさん訪れています。今後は、体育館に設置するセクションアイテムの制作や配置のデザインなども増やしていきたいと眞喜志さん。
「初心者向け、子ども向けのレッスンなども開催していこうと思っています。上手な人ばかりだと入っていきづらいと思うので、皆が楽しめる場所にしたいですね。大きい構想ですが、将来は飯綱町民クラブをつくって、町全体でスケボー文化を作っていかれたらという夢があります」と意気込みます。
体育館の屋内パークの様子
スケートボードは、転んだら痛そう、ケガが心配と思ってしまいますが、「ぜひ親子で楽しんでほしい」と自らもお子さんと一緒に楽しんでいる眞喜志さん。トリックをしないで平らなところを滑るだけなら年齢が上がってもできるので、体が動く限りやり続けたいとのこと。スケボーは決められたコースがなく、自由に想像力を使って楽しむ遊びです。仲間とともに切磋琢磨しながら技を磨いていくところが魅力なのだと笑顔を見せます。Unite up iizunaスケートボードパーク では、ボード・プロテクター・ヘルメットを無料で貸し出しています。これらは、町内在住でスケボーショップを経営している方が提供してくださったそうです。
「僕らは非営利団体なので、各自が本業をしながら運営に携わっていますが、自分の仕事と掛け合わせることができればベストですね。また、スケートボードだけでなく活動の幅を広げていきたいとも考えています。例えば、子どもにマネーリテラシーを教育するビジネススクールだったり、町の課題である耕作放棄地や放置林を生かした取り組みだったり。あと、スケートボードと飯綱町にあるものを掛け合わせられたらいいですよね。間伐材を使ってボードのレプリカをつくるとか」(眞喜志さん)
「いいづな若者会議」をきっかけに、若い人たちがやりたいことを見出し、周囲が彼らを応援し支えていく流れが生まれました。与えられたものをこなすのではなく、自分たちで好きなことややりたいことを自由に楽しげに実行していく姿は、若者のストリートカルチャーからオリンピック正式競技になったスケートボードに重なります。
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◎Unite up iizunaスケートボードパーク
利用料:1DAY:500円、5回券:2000円 ※回数券はシェアして利用することもできます。
営業日:Unite up Iizunaのインスタグラムで公開中。来場の際はご確認ください。
※4月29日(火・祝)には、プロによる初級・中級者向けのレッスンイベントを予定しています。